1.「時に中央銀行の判断が間違っていると分析し逆張りをすることが莫大な利益を生み出す」
以下、昨年7月9日の私のSNS。FRBがしきりに「インフレは一時的だ」と主張していた時、「そんなことはない」と主張していたときのもの。
「月曜から水曜まで東京を留守にしていたので、昨日、まとめて日経新聞を読んだ。一番面白かった記事は7月5日の「FRBの金利予測大外れも。市場揺らす危うい中銀幻想」の記事の中の以下の文章だ。「『中央銀行の経済予測能力は、良くいって民間エコノミストと同程度であり、それを大きく上回ることはないと思う』。やや古いが稲葉延雄元日銀理事は14年7月の講演でそう語った。日銀で金融政策立案部門の経験が長かった人物の貴重な言葉として印象に残っている」清水記者がとりあげた稲葉君のこの発言にAgree。「俺は中央銀行マンだ~」との尊大さがないのも好感が持てる。ところでこの記事に出てくる稲葉元日銀理事と私とは、中学・高校の同級生だ。たしかに彼は1浪で東大に行き、私は1浪(現役の時は東大紛争で入試が無かった)でも行けなかったし、中学1年の時は、図書委員長の彼に対し、私は図書書記長でしかなかった。成績も稲葉君のほうが私よりほんの少し上だった(ということは、たいして出来なかったということ(笑い))。ということからしても、稲葉君の方が、私より各段に市場分析能力が高いとは思えない。彼は日銀で金融政策立案部門の経験が長かったと言っても、私も30年以上マーケットの第1線で戦ってきた。一番の違いは、私やヘッジファンドのオーナーたちは過去に血反吐を最低5度は吐いたことがあると思うが、彼らにはないだろうと思うこと。日銀マンは(申し訳ないが)しょせんサラリーマンであり、判断ミスがあっても(出世の道は無くなるかもしれないが)首の心配はない。私は終身雇用制まっさかりの時代のリスクテーカーで、儲かれば多額のボーナスを得られるが、失敗すれば路頭に迷う立場だった。ヘッジファンドのオーナーたちも、大金持ちになるか自己破綻になるかの判断をいつも下さねばならない。だから脳から髄液が絞り出てしまうるくらいにマーケット分析に頭を使い勉強し、考えていた。だから、少なくともグローバルマクロのヘッジファンドオーナーたちは誰一人として中央銀行マンたちより自分たちが劣るとは思ってはいないだろう。逆に言えば中央銀行マンの方が能力が上だと思うような人はディラーとしてこの世界には残れない。時に中央銀行の判断が間違っていると分析し逆張りをすることが莫大な利益を生み出すからだ。私は「インフレは一時的だ」とのFRB の分析を日本のバブルの経験から信じていない」
この判断は当たっていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD020UK0S1A700C2000000/
2.「勉強と恋愛 競ったライバル」
昨日「晩酌しながら7時のNHKニュース見ていたら「NHK次期会長に元日銀理事の稲葉延雄氏」とのこと。え、え、え、イナバ? 2か月前に『お前、ちょっとも日銀総裁候補に名前、出てこねえじゃねえか』 と彼に言ったばかり」と書いた。直前のSNSでは彼と私の市場分析能力に差はない。むしろ、実戦で鍛えてきた分、私の方が上だと自負していると書いた。さらに言えば、若い頃には、女性の心理分析の面ではお互い全然劣等生だった。おかげで2人も振られた。
以下、1999年2月16日の「日経金融新聞「朋友録」。「日経金融新聞と巴、今の日経ベリタスの前身。
「勉強と恋愛 競ったライバル」
小学校から高校までを過ごした東京教育大付属(現筑波大附属)は 色々な意味で私のルーツと言える。 米国人は自分がいかに勉強したかを自慢するが、英国人は勉強していないのにできることを誇りにする。 もちろん陰で猛然と努力するわけだが、勉強にしろ、運動にしろ、いかに余裕を見せるかがカッコよさの基準だった。同窓の中に私が勝手にライバルと目している友人がいた。大蔵省を経て宮澤喜一蔵相秘書官となっている宮沢洋一君(現衆議院議員)と日銀参事の稲葉延雄君だ。小学校 中学と同じクラスだった宮沢君とは級長を争った仲。言ってみれば人気者決定戦だ。当時の人気は女性に対して私の方があったと自負しているものの 男性に対する人気は勉強が出来て親分肌の彼だったように思う。
稲葉君とは恋のライバル。中学3年の図書委員の時に 年下の女性とを巡って火花を散らした(とわたくしは思っている)。二人とも片思いに終わったが、この恋はその後のディーラー生活の糧となった 。ラブレターを書いて自分をプレゼンテーションすることを学び、逆境に耐えるすべ術も知った 私の結婚直前に彼女に会ったら「若い頃はあなたの良さがわからなくてごめんなさい」との言葉をいただいた。努力はいつか報われるーー。この気持ちもディーラーには欠かせない。 そんな私のよき相談相手だったのが野村総合研究所経済研究部主任研究員の小林正樹君だ。 高校時代に打ち込んだテニスのダブルスパートナーでもあり、なんでも話し、ずいぶん愚痴を聞いてもらった 勉強から失恋まで、妻を除けば私の失敗談を一番よく知っている人間だ。
三人の共通点は東大に入学し、その後経済分野に進んだこと。 東大受験に失敗した私にコンプレックスがなかったわけではないが「陰で猛然と努力する」校風を守らなかったのだから仕方ない。 もっともディーラーに必要な運が少しばかり私にあることは素晴らしい母校に入学したことで証明済みだ」
それまでの朋友録とはだいぶ毛色が違うとの評判であった
3.「心理が読めないサッカーのゴールキーパー」
やはり高校のクラスメートでゴールキーパーをやっていた男は、PK戦でいつもキッカーが蹴るのと反対に飛び、セーブ出来たことがない。コーチに「お前、もう少しキッカーの心理を読めよな」と怒られていた。その彼が東大教授になった。それもなんと心理学の教授。そして日本心理学会の会長にもなった。だから私は心理学を信じない。