1.「正気の沙汰とは思えない日銀の行動」
今朝の日経新聞によると、日銀は、昨年12月から今年1月にかけて34兆円の国債(=お金のバラマキ)を購入したそうだ。ほとんどが長期債だろう。お金をばらまき金利上昇を抑えるのだから、超インフレ加速行為。ところで私の現役時代、1992年の日銀の国債保有額は23.3兆円でしかない。しかもそのうち15兆円は満期3か月以内の政府短期証券だから長期債は8兆円しかないということ。これは年間購入額ではなく保有額だ。昔の日銀の保有国債額の4倍を1か月半で買っちゃった。私の言うことを過激だという人がいるが、日銀がやっていることが超過激なのだから結論が過激(=日銀のメルトダウン)になるのはやむを得ない。もうハチャメチャ。正気の沙汰とは思えない。崩壊したくないからもう必死なのだろうが、国民にとっては被害を大きくするだけ。
2.「為替予想」
今時、日米金利差でドル/円を予想している人は、津波警報が出ているのに「こっちの波がいいかあっちの波の方がいいか」と考えているサーファー」と同じだと私は思うのだが。早く非難した方がいい。
3.「ライヒスバンクと日銀」
朝、起きたらJPモルガン時代のドイツ人の同僚から「タケシ、円買い、日本国債売りのポジションを作ろうかと思がどう思う?」メールが来ていた。今、彼は米国でヘッジファンドのオーナー。「日本国債(JGB)ショートはOK.円買いはやめておけ。円は紙くずになる。貴国(ドイツ)で第2次世界大戦後に何が起きたかを思い出せ。ライヒスバンク(旧中央銀行)がブンデスバンク(新中央銀行)に取って代わられ、ライヒスバンクの発行紙幣は流通不能になった。それと同じことが近じか行われるだろう。今の日銀は、もう死に体だ。時々刻々と事態は悪くなっている。メルトダウンする」と書いた。ちなみに彼はヘッジファンドのオーナーであるともに、ルマン24に参加チームのオーナー兼3人のドライバーのうちの一人だ。10年近く前、富士スピードウェイでルマン24が開催(時間短縮)された時は、ピットに入れてもらい、レース後、ドライバーたちと食事をした。
4,「債務超過の危機と格下げの危機」
大方の予想通り、日銀は長期金利の変動幅を広げなかった。当たり前である。0.5%は債務超過防衛ラインだからだ。これを破られれば日銀の債務超過という実態や、その巨額さが世界に知れ渡り、日銀はThe end だからだ。自死行為をするわけがない。格付け会社首脳が日銀がYCCをやっているからこそ、日本は現状の格付けを保っている(=イタリアより財政事情が悪いのに彼等より高い格付け)と言っているのだから、変動幅拡大でYCC撤退のイメージが着けば格付下落のリスクもあったからだ。何はともあれ、日銀はもう死に体。日に日に事情は悪くなる。メルトダウン状態。
5,「次の日銀首脳は白装束で切腹覚悟?」
ここまで状況が悪くなって、雨宮副総裁他、日銀内部の人間は次期総裁を引き受けるのだろうか?いかに日銀の状況が劣悪なのか、メルトダウン寸前なのかを内部の人間ほど分かっているからだ。な~んにも、知らない外部の能天気な人しか引き受けないだろう。もし、日銀内部人間にとって垂涎の的である。総裁職を誰も引き受けなかったら、日銀倒壊まじかだと思った方がいい。先日、その話を日銀OB と議論したら(注:日銀OBほぼ全員に黒田日銀の金融政策は大不評だ)「責任を取って雨宮さんが引き受けるしかないだろう。ただし切腹覚悟の白装束を着て」と言っていた、
6.「資金運用部ショックを思い出せ」
「YCC を辞めてもせいぜい1%くらいしか長期金利が上昇しないからやめても大丈夫」と言う人がいるがとんでもない。1%金利が上昇すれば日銀は28,6 兆円もの債務超過に陥る。それに1%の金利上昇で終わるわけがない。
1998年12月、資金運用部ショックがあった。これは個人的にも、ものすごく記憶に残る出来事だった(理由は週末等、時間があるときに書く)。宮沢蔵相が、当時、国債の最大の買い手「資金運用部」の国債購入を辞めると発表したのだ。長期金利は0.6 %から2.4 % に急騰した。大慌てした大蔵省は、購入停止を中止し、購入継続を表明し、市場は平静に戻った。もし、そのまま購入停止を決めていたら、長期金利は軽く5%~10%くらいに上昇していただろう。
当時の資金運用部は年間国債発行高の19%の購入だった。しかも、金利が急騰したら、ラストリゾートとして日銀が購入してくれるだろうとの安心感が市場には存在した(注:当時の日銀の国債購入額はゼロに近い)。現在、そのラストリゾートの日銀自身が年間国債発行量の60%~90%を購入しているのだ。その巨大購入者がいなくなったら、どれだけ値段が下がる(=金利上昇)するのだろう。私は20%くらいまで軽く上昇すると思っている。
7,「財政はいつか破綻(はたん)するのではないかと心配」
朝日新聞の原編集委員の一連の記事は必読。朝日新聞原真人編集委員、朝刊の昨日朝刊「多事奏論」で曰く「旧経企庁OBで経済白書の執筆者だった小峰隆夫・大正大教授(75)は『官庁エコノミストの重要性は今も変わらない』と言う。(略)」 とはいえ、それも結局は政権に都合のいいデータ集めに利用されるだけではないのか。小峰氏にその疑問をぶつけてみた。――あなたがいま官庁エコノミストだったらおかしな政権方針を批判できますか?『いや無理でしょう。私も財政はいつか破綻(はたん)するのではないかと心配だし日銀の政策もどうかと思う点が多い。でも官僚は表だって時の政権の方針を批判できません』」
https://www.asahi.com/articles/ASR1K6226R1DULZU00P.html?iref=pc_ss_date_article
8「国家や中央銀行といえども市場には太刀打ちできない」、
朝日新聞原真人編集委員曰く(7月18日)いわく「激しい国債売り圧力を強める投資ファンドと、買い支えの「防衛線」を張って抵抗する日銀。最近の日本国債の流通市場を言い表すとそんな構図だろうか(略)。(連続指し値オペは)これまでの金融政策の常識を逸脱する、常識はずれの手法である。こうなると想起されるのは1992年の英ポンド危機の教訓である。市場の大勢にあわない不自然な金融・通貨政策は市場から狙い撃ちにあう。そうなったら、最後は国家や中央銀行といえども市場には太刀打ちできず、結局、介入から撤退せざるをなくなる」。
https://www.asahi.com/articles/ASR1L4525R1LULZU001.html?iref=pc_ss_date_article
9.「負債の大きな中央銀行は効果的にインフレと闘う能力を失ってしまう」
朝日新聞原真人編集委員いわく「大ベストセラー『国家は破綻(はたん)する』の共著者であり著名な経済学者のカーメン・ラインハート米ハーバード大教授がインタビューにこう答えていた(日本経済新聞1月12日付朝刊)。「負債の規模が大きくなると、中銀は金融の安定性を懸念して引き締めを行うことがより難しくなる。本来あるべき水準より金利を低く保つ可能性がある。中銀は独立性を失い効果的にインフレと闘う能力を失ってしまうのではないか」 これはまるで日銀の置かれている苦境を語っているかのような指摘である」
https://www.asahi.com/articles/ASR1K6226R1DULZU00P.html?iref=pc_ss_date_article
10.「日銀の全面降伏論」
ついにブルムバーグも日銀の全面降伏論を書き始めた。外国人に広がっていくだろう。「パインブリッジ・インベストメンツ・シンガポールの日本を除くアジア債券共同責任者オマール・スリム氏は、市場の圧力に屈すれば、『それを最も必要とする時期に信認を損なうことになる』とした上で、『あらゆる方向転換を引き起こす力が進行中だが、段階的に起きるだろう』と分析した」そうだ。
日銀が信認を失うということは円も信認を失うということ。格下げ下落や外資の日銀当座預金閉鎖(=円のドルとのリンク切断)の危機が迫っている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-18/ROPD54T0G1KY01?srnd=cojp-v2