,「(正常化を始めるのが)2年後、3年後、4年後ということになる可能性も残念だがありうる」「正常化が2年後、3年後、4年後となる可能性も」発言の意味すること」他

2023年04月29日

1,「(正常化を始めるのが)2年後、3年後、4年後ということになる可能性も残念だがありうる」

昨日の金融政策決定会合で新聞の1面トップに来るような重大発言/事件は、植田総裁の「(正常化を始めるのが)2年後、3年後、4年後ということになる可能性も残念だがありうる」との発言だ。BS TBS報道1930」の打ち合わせで、それを聞いた時、「それを言っちゃあ、おしめえよ」とびっくり仰天。世界のトレーダーがこれを聞いたら、昨日のマーケットは円安への馬車道を突っ走ったことだろう。まさに植田総裁の本音ではあろうが、今までの総裁なら、マーケットの激震を恐れて言わなかった内容だ。この辺がマーケットの怖さを知らない学者総裁の弱点となるかもしれない。

 

2.「記者のマーケットセンス」

TBS の記者は、「正常化が2年後、3年後、4年後となる可能性も」発言にきちんと触れたわけだが、幸いなことに(?)日経新聞他のマスコミは、取り上げなかったようだ(私の読みおとしならごめんなさい)、取扱わなかったマスコミはあまりにマーケットセンスがない。どういうニュースに市場が反応するのか、すなわち金融・経済にとってどういうニュースが重要なのかがわかっていない。緩和検証など、重要なことから目をそむけさせる「目くらましの役割」しかない。

 

3、「正常化が2年後、3年後、4年後となる可能性も」発言の意味すること」

植田総裁が、「正常化が2年後、3年後、4年後となる可能性も」と発言したのが事実なら、いずれ世界に広く知れ渡ることになる。そうなれば円安が今後長期にわたり強烈に進む重大理由となりそうだ。発言が知れ渡らなくても、(正常化を始めるのが)2年後、3年後、4年後になるのなら、それこそ強烈な円安要因だ。

「YCC が解除できそうもないとの本音を、植田さんはこの発言で吐露しているのではないか」との堤コメンテーターの発言にはさすがだと思った。いつも冷静なコメントをすることで評判の方らしい発言だった。

 

4,「YCC を解除した時、どのくらい長期金利は跳ね上がるか?」

この番組では、「YCC を解除した時、長期金利は跳ね上がる」と堤コメンテーターは私の主張に近い感覚とおっしゃられた。ご自身では素人だが、と謙遜されていたが、さすがにマーケットがわかっていらっしゃると思った。

 

5、「日銀には整然として美しい出口は無い」

なお、昨晩のBS―TBS報道1930では、私は当然御ことながら、誰もが、日銀には、少なくとも整然として美しい出口は無い、との認識は共有していたようだった