1.「日銀元理事との金融放談」
文藝春秋 電子版は、5月9日(火)19時より、私と元日銀理事の山本謙三さんによるオンライン番組「伝説のディーラーと日銀元理事の金融放談 どうする? 植田日銀」を配信します。事前に読者からの問を募集しています。ぜひ質問をお寄せください、詳細は↓
https://twitter.com/gekkan_bunshun/status/1651331414879776769?s=61&t=741V43QY18_LfRmPOdEz8g
2「財政ファイナンスがヒットラーの無謀の一因」
ドイツは財政均衡を憲法で規定している。財政赤字の拡大が激しいインフレを催すのと同時にヒットラーが起こした戦争が、財政ファイナンス(=統合政府の実践)でもたらされたと認識しているからだ。知人のドイツ人がそう言っていた。英国が戦費を増税で賄ったのと対照的だ。勝利して敵国の財産を分捕れば借金は返せるが、敗戦すれば通貨の暴落で補うしかなくなる。これは高橋是清が初の赤字国債を発行し、軍備を補ったのと同じ。
3「無謀な国家運営は戦時国債の巨額引き受けが一端」
昨日の日経新聞「春秋」は秀逸。まさに財政ファイナンス(=統合政府論の実践)が日本でも戦争を引き起こした一大原因であることを書いている。異次元緩和は、The 財政ファイナンス。「春秋」いわく「無謀な国家運営はなぜ止まらなかったのか。一端にあったのが、日銀による戦時国債の巨額引き受けだ。本来は無理筋の戦費支出が、国債で賄えてしまった。異次元緩和が政府の大盤振る舞いを許す現状も、時にダブって映る。むろん防衛も社会保障も入り用だ。ただ財政規律を無視すれば行く末を誤る」。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK283II0Y3A420C2000000/
4.「1985年から90年のバブル再来か?」
今の日本は、お金がじゃぶじゃぶで起きた1985年から90年のバブル時の様相を呈しはじめている。今はあの時よりも格段に、お金がじゃぶじゃぶ、なのだ。それで日銀はお金を異次元に供給し続けている。せめて拡大を辞めなければならないのに、その方法がない。失われた30年ではなく失われた100年になるのか?
5「バブル再来を懸念している原真人朝日新聞編集委員の記事」
原真人朝日新聞編集委員が4月28日の記事で「バブル再来を懸念した記事を書かれている。是非読んでいただきたい。
「さらに問題なのが緩和マネーが株や不動産などの資産価格を押し上げている点だ。日本の不動産価格の上昇は海外に比べれば穏やかだと言われてきた。だがそれでも賃金の上昇ペースに比べれば、はるかに高い伸びを示している。
象徴的なのはバブル状態と言ってもいいほどの昨今の首都圏のマンション価格の高騰だ。不動産経済研究所が18日に発表したマンション市場動向によると、22年度の首都圏の新築分譲マンションの平均価格は6907万円と前年度比8・6%上昇し、史上最高値を大幅に更新した。東京23区内に限っていえば、平均価格は「億ション」に迫る9899万円で、前年度比17・2%上昇した。
もはや平均的な給与所得者が夫婦共稼ぎでも、手が出るレベルではなくなっている。1980年代後半から90年代初頭にかけての土地バブル時代に「東京で持ち家は高嶺(たかね)の花」と言われた時代の再来である。
この状況をもたらした最大のエンジンが、10年にわたって続けられてきた異次元緩和であるのは間違いない。植田総裁が慎重に事を運ぼうとしているのだとしても、足元の物価高と資産バブルは待ってはくれない。出口戦略着手を急ぐべきだろう。
https://www.asahi.com/articles/ASR4X4T8PR4XULZU009.html?iref=pc_ss_date_article