「『円売り/ドル買い』こそが『投資』で『円買い/ドル売り』は投機」「『円売り/ドル買い』こそが『投資』で『円買い/ドル売り』は投機」「景気が悪ければ金利を下げるべきだった」

2023年06月24日

1.「『円売り/ドル買い』こそが『投資』で『円買い/ドル売り』は投機」

日経新聞の中見出しには「投機筋の円売り」とあるが今、円売りドル買いをしている人を投機筋とは呼ばない。ファンダメンタルズに合致した経済行動なのだから。いずれ欧米の金利が下がるとの願望で円買いドル売りポジションを持っている人こそ投機家だ。願望に賭けており合理的行動とは言えないから。

ちなみに「顧客に損をさせた」として詐欺罪か何かで捕まった米国人が「人は儲かった人の行動を『投資』と呼び、損した人の行動を『投機』という」と逮捕された際、のたまったという話を記憶しているが、その定義からしても、現在の「円売り/ドル買い」こそが「投資」で「円買い/ドル売り」は投機。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72186570U3A620C2EA2000/

 

2.「日本のコアCPIは、本当は米国より高い。なのに大規模緩和継続。なぜ?」

本日の日経新聞。重要な文章がいくつか載っている。「より物価の基調に近い『生鮮食品とエネルギーを除く総合』は(略)第2次石油危機末期の81年6月以来、41年11カ月ぶりの伸び率となった」「総務省によると、政策効果(藤巻注:電気・都市ガス代の抑制や全国旅行支援等)がないと仮定すると5月は前年同月比4.3%のプラスとなり、4.0%だった米国を上回ることになる」米国はインフレ退治に躍起なのに、植田日銀はインフレ不安を否定し、中立政策どころか大規模緩和継続中だ。なぜか?緩和を辞めたら、円も日銀も即アウトだからだ。世界中が財政ファイナンスを、禁じ手中の禁じ手としていたのに、日銀が財政ファイナンス(=異次元緩和)を異次元規模で行っていた結果である。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA232WJ0T20C23A6000000/

 

3,

昨日、以下のリツイートを私のtwitter にいただいた。『過去のデフレ状況下で財政ファイナンスでマネーサプライを増やすべきではなかったとのことでしょうか。その場合どのようにしてマネーサプライを増やしてデフレに対峙すれば良かったのでしょうか?教えていだだけると嬉しいです。お願いします』

以下のように回答した。

「私は異次元緩和開始前から、異次元緩和は「ジリ貧(デフレ)を回避しようとしてドカ貧(ハイパーインフレ)になる」と大反対をしていた、だからと言って「何もするな」「何も出来ない」と言っていたわけではない。「伝統的金融政策に固着せよ」と言っていた。伝統的金融政策とは景気が悪ければ金利を下げ、景気が良くなれば金利を上げる政策だ。効果があることも(出口がないなどの)副作用がないことも実証済みだ。ゼロ金利になったのだから次はマイナス金利にしろと主張していたのだ。預金をすれば金利を払い、お金を借りたら金利をもらえるという世界だ。

なお、これは日銀当座預金を極小化することによって達成可能で、黒田日銀の「マイナス金利」とは180度違う。

私のマイナス金利論の当時の評価は「フジマキは頭がおかしくなった」だったが、最近はハーバード大のケニス・ロゴフ教授が同じことを唱えている。中央銀行デジタルが出来れば完璧だとの主張まで同じ。私はThe International Economy と言う世界的に権威のある経済誌にたびたび、この主張を書いているが、この経済誌は米国の経済学者たちにとっては愛読雑誌であり、かつケニス・ロゴフ教授は寄稿者を決めるレフリー会議のメンバーでもあるから、我が主張をパクってくださったと自負している。