1.「日銀は「奴雁(どがん)ではなく鈍感(どんかん)か?」
本日の日経新聞の「大機小機」。「政治の財政ポピュリズムと日銀の財政ファイナンスが結合した『双子の危機』で、日本は巨額の財政赤字を抱え新陳代謝なき停滞国家に転落した。主要7カ国(G7)の座も危うい」「(累積債務は対GDP比)世界最悪の260%超に膨張した。多少の税収増ではとても間に合わない」との分析は極めて正しい。しかし私の分析とは少し違う点もある。
第1は「いま双子の危機の克服に立ち上がれば、停滞国家から脱出できる」との点。私は、時、すでに遅し、だと思っている。市場の暴力が迫っている。
意見相違の第2は「中央銀行は奴雁(どがん)であれ」のはずなのに「奴雁(どがん)ではなく鈍感(どんかん)だ、との分析。日銀、特に植田総裁は金融緩和の修正が必要なことは完璧に分かっている。しかし出来ないだけ。日銀が債務超過に陥り、取り付け騒ぎで金融システムが揺らぎ、格下げ問題も起こるからだ。政府デフォルトの可能性も出てくる。X デイの引き金が引けないだけだ。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73009730U3A720C2EN8000/
2.「日銀が債務超過になっても金融政策の遂行能力が棄損することはないのか?」
昨日「日銀はお金を刷れる。したがって債務超過になっても金融政策の遂行能力が棄損することはない」との、雨宮副総裁の国会答弁の動画を添付した以下のようなリツイートが来た。「この人、中央銀行の信用って、中央銀行の財務状況だと思ってるからね…FRBも豪州中銀も債務超過してるが、それでも何にも起きてない。その現象については全くコメントしないし、雨宮副総裁の発言も自身に都合の良いように紹介してるだけ」
https://twitter.com/i/status/1683377934005055489
以下のように返答した。
「もし私が雨宮さんの立場だったら同じことを言って逃げる。日銀の信用を守るべき副総裁の立場なら、この答弁以外に答弁のしようがない。この発言で一番のポイントは「短期的に生じても」「一時的にであれば」との言葉を使い、うまーくごまかしている点。私が国会議員なら『一時的でなかったらどうか?』と聞く。黒田総裁に『日銀は債務超過になるか?』と質問していた時に、ついに『一時的にはありうる』と白状した。あくまでも『一時的』だ。数年来、何十回と書いてきているが、中央銀行が債務超過になっても大丈夫な3条件がある。①市場が債務超過が一時的であると認めた時、②金融システムの救済のために債務超過になったが、中央銀行自身は健全であること③国の財政が健全化に向かっており、いずれ税収を中央銀行の赤字穴埋めのために充てる事が出来ると市場が認めていること。他の中央銀行の債務超過と違い、日銀はこの3条件を全く満たせていない」
3「アベノミクス は何を殺したか」
「アベノミクス は何を殺したか」(朝日新聞出版社)の広告が、昨日の朝日新聞朝刊に掲載されました。
4.「日銀の信失墜は円の暴落、ハイパーインフレを引き起こす」
昨日、以下のリツリートが私のtwitterに来た。
「ハイパーインフレは中央銀行の財務内容如何で起こります そんな論理は見た事も聞いた事もない。超オリジナル理論」
以下のように回答した。
「自分の知識がないだけなのだから偉そうな口きくな。オーソドックスな金融論の常識。雨宮前日銀副総裁の日本金融学会での講演でもとりあえず読め。雨宮氏いわく『もちろん中央銀行への信用が一たび失われればソブリン通貨(藤巻注:法定通貨)といえども受け入れられなくなることはハイパーインフレの事例が示す通りです』要はハイパーインフレは中銀の信用失墜で起こるということ。27日、28日の日銀政策決定会合でシミ以上の政策変更を行えば、保有株の含み益をぶっ飛ばし(保有株の含み益に頼る中央銀行など前代未聞だが)債務超過となる。それこそ日銀の信用失墜。
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2018/ko181020a.htm
5.昨日、以下のリツリートが私のtwitterに来た。
「このままだといつか死ぬ!→82歳で亡くなる→ほら私の言った通りだ!
ですかね」
以下のように回答した。
「違います。オーソドックスな金融論に沿ったまともな財政政策(=財政規律の順守)や金融政策(=財政ファイナンスをやらない等)をしていたら両者は不滅です。何年も言い続ければ破綻が当たるというモノでもありません。不滅のモノが、こんなことしたら、いつか死んでしまうぞと言っているのです」
6.昨日、以下のリツリートが私のtwitterに来た
「日銀も地銀も、保有している国債を満期保有債券とすれば、償却原価法の評価になるので、会計上、多大な評価損は発生しないと思います。これは、会計の話をしてるのですよね?」
以下のように回答した。
「違います。評価する人、預金をしている人がどういうときにて預金先から逃げ出すか?という話をしています。銀行が100円の預金を基に買った国債価格が10円に下落したら預金者は逃げ出します。100円の預金のうち10円しか預金返済能力がその銀行に無くなったからです。私なら人より先に降ろしますね」