1.「ダッチロールを始めた日銀」
日本株の下落が激しい。日米の金利上昇が原因だろう。株の急落は日銀の財務内容の悪化にもつながる、日銀にとっても放置しては置けない重大事態だ。長期金利が1%まで上昇すると、日本の金融システムが危険域に突入してしまう。シリコンバレーバンク銀行問題でFRBに利上げ一時中止論が出てきた理屈と同じだ。これ等の事態を回避するために長期国債爆買い(国債買いオペをするとは購入代わり金を日銀当座預金に振り込むことなので)を品保厚保刷れば、円のバラマキをするので、円安を推し進めインフレが加速してしまう。
膿がいたるところで破裂し始めたが、それをばんそうこうで一所懸命、押さえつけているが、コントロール不能だ。日銀は、すでに操縦かんが機能しなくなり、ダッチロールを始めた飛行機と同じだ。
2.「日本人の米長期債売りは米長期上昇を加速するが、それに伴う円買いは大したことない」
米長期金利の上昇は相変わらず米長期債を安値で買い、最近の金利低下でさらに買い足してしまった邦銀にとっては評価損増大で非常に頭の痛い問題となるだろう。彼らが手放せば、更に米長期金利は上昇する。最近、日本国債の金利上昇で、日本人の投資が日本に戻る、したがって円高だというトンチンカンな外国人投資家がいる。しかし丹保院人の投資は、個人を除き、大部分が為替ヘッジ付きだ。もしくは銀行のようにドル短期資金調達のドル国債投資だ。長期国債売却でドル長期金利は上がるが、それに伴るドル売るは、少なくあまり影響がない。金利差拡大の円安要因の方がはるかに強烈である。
3,「今晩の米雇用者統計が強いと悲惨になる人も」
日本の新聞では米国格下げを米長期金利上昇の理由としているが、そのような分析は米国ではあまり聞かない。実際あまり関係ないだろう。主因は、発行上限問題がクリアされて米国債が今後大量に発行されることが明確になったこと。今年のFRB利下げ予想に踊らされて米国債を買い続けた日本人をはじめとする人達の米長期債からの退却売りのせいだと思われる(先ほど述べたように円買いは、このことによっては、それほとん発生しない。米国債売却により金利上昇の方が為替に影響)。
今晩の米雇用者統計が強いと米国債を売りそこなった人たちには悲惨な状況をもたらすかも。
4「米長期金利更なる上昇予想」
米国10年物金利がついに4,18%まで上昇した。日銀の長期金柔軟化決定の前の陽の安値(3.839%から0.34 % も上昇した。特に期間の長いところの上昇が激しく逆イールドカーブが急速に純イールドに戻りつつある。アックマン氏の意見に私は賛成。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-03/RYSKV7DWLU6801
5.「TMV(債券ベアファンド)がやっと日の出を見始めた」
お金のバラマキ過ぎで全世界の法定通貨は弱くなる(=インフレ加速のため)。しかしながら為替は相対論。どちらの通貨がより弱くなるのかで決まる。お金の回収に入る米国の通貨ドルは お金が未来永劫バラマかれ続ける国の通貨円に比べれば、(相対的に)断然まとも。だから大巾ドル高/円安。そのうちインフレコントロール能力を失っている日銀の信用失墜で円は紙くず化。この予想がゆえに私はドルとTMV (ドル建て債券ベアファンド:20年金利)をお勧めしてきた。ドルは円の紙くず化対策用、TMV(金利が上昇すれば価格が上昇し儲かる)はインフレ対策用だったが、やっと予想通りの動きになってきた。TMVは年初来高値を更新してきた。まだまだ行くと思っている。
6「ヘッジファンドの雄・ダリオ氏の予想通りの道を歩む日銀」
7月31日にも書いたが、昨年11月にヘッジファンドの雄ダリオ氏が私の主張とそっくりの内容の発言をしていた。ダリオ氏いわく「いずれにせよ、インフレは起こってしまった。紙幣をばら撒き過ぎたので紙幣の価値がなくなり、紙幣ではものが買えなくなってしまった。(略)この状況になれば中央銀行は難しい立場に置かれる。(債券が投げ売りされて)金利が高騰し、資産価格や経済にダメージが及ぶことを許すか、紙幣を印刷して債券を買い支え、紙幣の価値が下がることを許すかのどちらかしかない。そしてこの選択に既に迫られている国がある。例えばイギリスの債務をめぐる大混乱(藤巻注:昨年のトラス政権の早期崩壊。ポンド、株、国債のトリプル暴落)は一番典型的な状況だろうし、より目立ってはいないが日本の紙幣印刷と円の減価は同じ状況だと言える」(ダリオ氏)今、まさに日銀は、ダリオ氏(ついでに私の)予測した通りの道を歩みつつある。Fasten the seat belt Please.
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/30502