「賃上げ減税を延長へ」「賃金と物価は本当に『好循環」なのか?』「きらりと光るそごう・西武問題の記事」「GDPが2倍になれば大雑把に言って国民は2倍豊かになり、政府も2倍豊か(=税収が2倍)は正しいか?」他

2023年09月02日

1.「賃上げ減税を延長へ

本日の日経新聞1面トップ記事によると政府は、賃上げ促進税制の期限を延長する方向のようだ。政府が企業の賃金に直接的に関与していくのは資本主義国家のすることではない。まるで計画経済、社会主義経済国家だ。国家がすべきことは出しゃばらないこと。小さな政府(=少ない税金で済む)にして、税金を少なくし、規制を無くし企業にアニマルスピリッツを持たせること。それにて企業が競争力を上げ収益を増やし賃上げを達成させるのが資本主義国家のなすべきこと。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0148P0R00C23A9000000/

 

2.「賃金と物価は本当に「好循環」なのか?」

なお賃上げと物価の関係の考察に関しては元日銀理事の山本謙三さんが昨日書かれた以下の論考を参照されたい。「では、なぜ『(賃金と物価の)好循環を見極める』などと言うのか。物価上昇への国民の批判をかわしつつ、金融正常化を先送りするためのレトリック(言辞)と考えるのが自然だろう。耳に心地よいレトリックを、異次元緩和以来、日銀は多用してきた」

https://www.kyinitiative.jp/column_opinion/

 

3「きらりと光るそごう・西武問題の記事」

本日の日経記事の記事。1企業に関しての記事ではあるが、ところどころにきらりと光る記述がある。記事曰く「日本の消費者は欧米に比べ所得差が小さい。百貨店のユーザーもコンビニに行くわけで、十分な相乗効果がある」――>当時のセブン&アイの鈴木敏文会長のお言葉。日本では格差税制が金科玉条のように語られるが、他国に比べれば格差などない。海外で働き生活してみれば一目瞭然。、格差の無い究極の社会を目指すのは共産主義国家。

記事曰く「同時にバブル処理の後遺症を引きずり、停滞感から抜け出せない日本経済の姿に重なってみえる。巨額の財政赤字を含め、改革の先送りはろくな結果をもたらさない」――>企業だろうと国家だろうと原理原則は同じ。ちなみに借金に関し「国家と個人は違う。」と主張する人がいるが違いは徴税権があるかないかだけの違い(政府の借金は増税で返済できる)日本も明日から消費税を40%に出来るのなら大借金は問題ではないが、日本の政治では出来っこない。だから踏み倒し(=ハイパーインフレ)になってしまうだろうと私は言っている。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74118130R00C23A9TB0000/

 

4.「GDPが2倍になれば大雑把に言って国民は2倍豊かになり、政府も2倍豊か(=税収が2倍)は正しいか?」

昨日、以下のリツイートが私のtwitterに来た。

「税収弾性値(97~2021年度の平均的は2.74)が1より大きい場合、名目GDPの伸び率よりも、税収の伸び率が高くなります。 赤字法人が利益を出すようになり法人税を納めるようになったり、職を得たり賃上で所得増などによります」

以下のように回答した。

「『GDPが2倍になれば大雑把に言って国民は2倍豊かになり、政府も2倍豊か(=税収が2倍)になるのが普通』と言う私の主張にケチをつけたいのでしょうが、そのような時に税収弾性値を持ち出さないでいただきたい。ある年GDPの1%の伸びに対し税収が10%伸びると税収弾性値は10である。翌年GDPが1%下落し、税収が10%減ればこの年も税収弾性値は10である。しかしGDPは元に戻り税収も戻ったのだ。でも2年間の平均税収弾性値は10である。このような税制弾性値という数字を使ってGDPが伸びれば税収は10倍になると予想をするのは極めて三スリーディングである、と国会議員時代に数学者の詭弁を指摘したことがある。それと同じ言葉を貴兄にお返しする」

 

5.「為替の安定は日銀のメインの仕事でないのか?」

昨日、以下のリツイートが私のTwitterに来た。

「日銀の主たる責務は物価と金融システムの安定で、少なくとも為替の安定はメインの仕事ではないかと」

以下のように回答した。

「日本銀行法第一条1『日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする』『日本銀行は(略) 通貨の量を適切に管理して通貨価値(対外的価値を含む)を安定させ(略)端的に言えば日本銀行の主たる目的は 通貨価値の安定 と信用制度の保持育成である』(日本銀行の機能と業務)(日本銀行金融研究所:1992年10月発行)―>最近マスコミで散見される日銀は為替に責任を持たなくていいという論調は誤りである」

 

6,「各国の中央銀行が外国為替相場の安定を志向する理由」

上記の記述に対して以下のリツイートが私のtwitterに来た。

「日本は法治国家。藤巻氏レベルまで誤解しているのは驚くが、外為法上、円の対外価値安定の責任を持つのは日本政府(財務大臣)。国債の乱発も日本政府の問題。今の日本の問題は、そんなことまで全部日銀に押し付けて金融政策で何とかしろとなっていること。国債も外為も日銀が問題の本丸では無い」

以下のように回答した。

「何をおっしゃるのか?固定相場制で24時間介入をして固定為替レートを維持しなければならないのなら為替管理は財務省の仕事と言えるだろう。しかし今は変動相場制下だ。たしかに現在でも為替介入は財務省の権限と財布で行い日銀は手足にしか過ぎない。しかしながら、為替介入で為替をコントロールしようとしても通貨の需給にほんの少し影響を与えるだけでコントロールなど不可能。財務省の出来ることは他にない。金融政策を通じて貨幣価値(対外的価値を含む)を保つのは日銀の仕事。「ただし今日の変動為替相場制度の下においても各国の中央銀行は外国為替相場の安定を引き続き志向している(略) 中期的にみても、為替相場水準が「各国経済の物価上昇率、経済成長率、経常収支などの基礎的諸条件(いわゆる「ファンダメンタルズ」) を反映して決まってくる均衡水準から大幅に乖離する場合には国際的にみた資源配分の非効率等が問題となることがあるからである」(日本銀行の機能と業務)(日本銀行金融研究所:1992年10月発行)