「『大規模な金融緩和策の柱』が『マイナス金利政策』などちゃんちゃらおかしい」「マスコミや指揮者に蔓延している大きな誤解」「マイナス金利政策が解除されたらどうなるか?」他

2023年09月11日

1.「『大規模な金融緩和策の柱』が『マイナス金利政策』などちゃんちゃらおかしい」

一昨日の読売新聞の単独インタビューで植田日銀総裁がいずれ「大規模な金融緩和策の柱である『マイナス金利政策』の解除を含めいろいろなオプション(選択肢)がある」と語ったそうだ。植田総裁もインフレを加速させる円安進行がかなり気になるようで、何とか言葉だけでマーケットを操作しようと試みているようだ。だが無理。実際の手段がない。「大規模な金融緩和策の柱」が「マイナス金利政策」などちゃんちゃらおかしい。マスコミや海外勢の誤解を利用して「蟻」を「恐竜」に見せようとしている。ここの理解を誤るとマーケットで大やけどを負うことになるだろう。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230908-OYT1T50416/

.「マスコミや識者に蔓延している大きな誤解」

日銀以外の中央銀行が政策金利とするのは1日間(今日から明日)の銀行間の賃貸のレートであるコールレート。たとえば「米国中央銀行(FRB)の政策金利5.25%~5.5%」とは、実際に銀行間で取引するコールレートなのだからこの上下は即、金融機関の収益や行動に影響を与える。一方、日銀の「マイナス金利政策」とはこのコールレートをマイナスにするという政策ではない。「民間銀行が日銀に預けている日銀当座預金のうち政策金利残高部分にマイナス0.1%の金利を適用する」と言う政策だ。そう明言している。しかし、マイナス金利が適応されている日銀当座預金の500兆円弱のうちたった30兆円程でしかない。この辺りを0%にしたところで銀行の収益、行動に何ら大きな変化などあるわけがない。

 3.「マイナス金利政策が解除されたらどうなるか?」

マイナス金利解除」の報道が出れば、「日銀の短期政策金利がコールレートだ」と誤解している外国勢や日本のマスコミは、「金融緩和政策の方向転換、金融市場に金融引き締め影響が表れるだろう」と騒ぎ立てるだろう。しかし実際は日銀当座預金残高500兆円弱のうちたったの30兆円程のレートが0.1%上昇するだけだ。銀行業界全体の減少する年間利益など私がJPモルガン時に稼いでいた年間純利益にも及ばない。こんなことで金融引き締め効果(=コールレートの跳ね上がり等)が起こるわけがない。逆にコールレートの跳ね上がり(=日銀の損の垂れ流しの開始)などが起きっこないから「日銀当座預金へのマイナス金利」は解除できるのだ。要は「マイナス金利政策」など実の無い言葉遊びだったのだから解除しても為替などのお金の動きに何の影響も与えない。私が日銀が今後出来るのは(辞意差に南尾影響も市場や日銀に与えない)「マイナス金利の解除くらい」と言っている理由だ。

 

4,「量的緩和を加速しているときに金利を上げる政策など出来ない」

他国中央銀行は急激な金利上げの段階に入っている。しかしそれはテーパリング(=中央銀行バランスシートの拡大終了=お金をもうこれ以上ばらまかない)が終了してから出来ることだ。お金をバラマキ続けながら金利を引き上げることなど出来ない。ブレーキとアクセルを同時に踏むことになるからだ。日銀は今後、未来永劫にお金をバラマキ続なければならない(=国債買いオペを継続)。そうしないと長期金利が暴騰するからだ。ならば金利を上げることなど出来ない。

日本でインフレが進んでも日銀はなす術がないと私が言っている理由。日銀はもう摘んでいる。と言うことは円の未来ももう無いということ。