1.「今は一時的に現金が良い」
昨日のbloombergによると米ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏いわく「「債券やそういったものを所有したくない。今は一時的に現金が良いと思う」と語ったそうだ。ドルのMMF をお勧めしてきた私の考えと全く同じ。(注:現金と言っても彼の意味するところはMMFやTBといったもの)。ドルでも米長期債は、今後のインフレでせっかく為替で儲かってもドルの元本が減少してしまう可能性がある。さらに氏は「利回りが上昇した場合、金融当局は紙幣を増発して国債を買い入れるかをどうかを決めなければならないが、そうすればインフレ圧力が高まると語った」そうだが、これは財政ファイナンスの話で日本を見据えての発言だろう(といっても、日本を見据えるまでもなくオーソドックスな金融論では当たり前の話だが)。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-14/S0YTUQDWRGG001?srnd=cojp-v2-markets
2.「インフレ懸念、資源高で再燃」
本日の日経新聞1面トップの大きな記事。世界中の主要中央銀行がインフレ退治に紛争しているのに「まだインフレが十分でない」」と緩和を加速する「おめでたい」中央銀行などかってあっただろうか?遅れて始まったインフレを他山の石とし、「これ幸い」と早めの引締めが常識だ。植田総裁は頭のいい方だから充分それを認識しているだろう。しかしそれが出来ない。異次元緩和のツケで、今引き締めを行えば、始めた途端に日本経済がぐちゃぐちゃになってしまうからだ。インフレ対応が出来ない日銀は既に中央銀行の体をなしていない。
他国とくらべて異次元規模の量的緩和を行った日銀の危機レベルは他国の比ではない。結末はハイパーインフレ。ハイパーインフレの終結のための中央銀行のとっかえ(=円の紙くず化)の道筋だろう。私がずっとドルをお勧めしてきた理由
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74469730V10C23A9MM8000/
3.「原油価格高騰の影響」
WTIがついに$90を超えた。原油高は世界経済にとって打撃だ。しかし打撃度は異なる。今やシェールガスのおかげで世界最大のエネルギー輸出国になった米国は比較的ダメージは少ない。ただ長期金利の上昇要因ではある。米国は今やエネルギー、IT という二大資源の世界王者。基軸通貨国でもある。米国は強い。
4,「原油高で大変な日本」
一方の日本は原油高が直撃し、大問題となる。ガソリンをはじめとする物価高、経常収支悪化に加え、ガソリン補助金の出口問題の発生などだ。原油価格が当面終わらないのなら補助金のための財政支出は膨れ上がる。その額に値を上げて補助金を辞めれば、値を押さえつけていた分、突然のガソリン大幅高に襲われる。
5,「経済対策、物価上昇リスク」
何度も書くが、物価対策は日銀の主たる仕事。それによって大打撃を受けた人の救済が政府の仕事で、政府が前面に立って物価対策など聞いたことがない。オーソドックスな経済・金融論でも、そう。矢代教授のおっしゃるようにガソリン補助金は「火に油政策」だ。昨日の日経新聞で労働経済学の大家、昭和女子大の八代尚宏特命教授いわく「「インフレ対策として財政支出するのは逆効果だ」まさにその通り。マルクス経済学ではいざ知らず近代経済学では常識だ。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74426980T10C23A9EP0000/
6,「Treasury bill は良くて、Treasury note はダメか?」
一昨日、以下のようなリツイートを私のtwitterにいただいた。
Treasury bill は良くて、Treasury note はダメと言う事でしょうか?(あれ?逆でしたっけ?)]
以下のように返信した。
「そうです。私は米国のインフレはこんなところでは収まらないと思っています(もし30分後の数字でインフレが劇的に収まっていたのならごめなさい)(注:この返信は一昨日の午後9時に出しています)。もしそれが正しいのなら長期になればなるほどインフレで価格が下落しますので保有はやめておいた方がいいのです。ちなみにTreasury billは1年以内、Treasury noteは1年~10年未満、Treasury bond は10年以上の国債の名称です;
7.「iPhoneは値上げしておらす。ただしドル建てでは」
昨日、以下のtwitterを読んだ。
「日本人『iPhone高くなりすぎ!!ふざけんな!!』Apple『ずっと799ドルから変えてないんだが』
iPhone12 799ドル 85800円
iPhone13 799ドル 98800円
iPhone14 799ドル 119800円
iPhone15 799ドル 124800円 」
以下のように引用させていただいた。
「私が、昨日、円安による物価高ヘッジするには円安で儲かるものを買うしかない。円安でもうかるものといえばドル、と書いたことがよくわかる一例」
6,「昨日は久しぶりにテニス」
昨日は朝2時間ほど仕事をして、その後、テニスへ。風は涼しくなったが日差しは強く、まさに残暑。8月は運動をほとんどしなかったので1試合はやりたい、しかし暑いから1試合だけと言い張ったのだが参加者が4人しかいなかったので強制連行され2試合。コートわきのベンチにいるとパラソルの下でも、海岸で焼かれているのと同じ感触。最近は、シングルスだと歳でスコアーを覚えきれないので4人で覚えようとダブルスしかしなくなったが、昨日はスコアの件で2度も言い争いになった。Thirty fortyだ。いやthirty allだと。これではスコアー覚えるためにさらに人数ふやして3人ずつのペアで試合にしなければいけないかもしれない。そうすりゃ、だけれは一人くらい右派覚えているだろう。しかし、皆、スコアに皆執着しなくなり、「いいよ、いいよ」と淡泊になり過ぎると、これまた面白くないので、このくらいスコアに執着した方がテニスを楽しめてよい。
7.「相撲観戦」
昨日はテニスを2試合した後、昼食、1時間昼寝をし、その後国技館に行って三井信託千葉支店時代の仲間の武藤君、有泉君と大西先輩とで恒例の相撲見学。数日前、TV で元日銀の幹部がたまりに座っているのを発見(彼は10年以上前に日銀を退職、民間企業に10年ほど勤めて最近退職)。彼は見識があるから安心していたが、我々だったら、バカ騒ぎをしていた千葉支店時代のノリでTVに向かってV マークをするのではないかと心配だった。しかしながら、ご安心あれ、我々は2階席。
「高安」が勝ったときは、「株価が“高”いのは円が“安”くなったせい」と経済の話をしたり、「スポーツに政治を持ちこんではいけないが、ロシア出身の狼雅対ウクライナ出身の獅司野対決の時は、皆、どちらを応援するのだろう」と政治の話をしたり、「正代かわいいキャラだけど、あの化粧まわしは可愛すぎないか?」と芸術の話をしているうちに楽しかった3時間は過ぎた。両国のソバ屋で一杯ひっかけて解散。しかし外国人観客が増えた。
8.「外国人が喜ぶ相撲の稽古」
私はJPモルガン時代、接待するのも接待されるのも嫌いだったが、仕事がらたまには接待されたり、したりした。接待の定番は日本人相手では、まずサントリーホールでクラッシックを聞く。1曲目が終わるとクラッシックお宅の東大数学科卒の部下ハマちゃんに電話する。浜ちゃん「曲と識者の名を教えてください」。私「識者は誰誰で局は**」。浜ちゃん「それなら演奏時間は43分30秒です」。それを聞いてその時間ぴったりに支店長車を玄関口に横図けさせ食事へ。これが日本人向け定番接待。外国人向けは最初は相撲見観戦。しかし外国人は相撲観戦より、相撲部屋見学の方を喜ぶことに気が付いた。見学に行き土俵で力士と押し相撲を取らせてもらい、「ほら、ちっとも動かないでしょう」とやって、その後、力士と一緒にちゃんこを食べる。外国人は大喜びだった。
9.「なんだ、力士もサラリーマンと同じ」
ある時、外国人の接待で相撲の稽古を見に行った。その日は北海道に新人力士のスカウトに行っているたけ親方は不在と知らされてはいた。外国人に「3日後から本場所が始まるから熱のこもった稽古を見られますよ。迫力ありますよ」」と大いに期待を盛り上げておいたのだが、なんと稽古は15分で終わってしまった。え?なに、それ。期待外れの結果はマーケットでは常日頃なので馴れてはいたのだが、ショック。何だ、力士もサラリーマンも同じじゃないか。ボスがいないと働きゃしない。リモートワークが定着しないと私が思っている理由はここに原点がある。
10、「相撲見学の思い出」
砂被りで高見山と小錦の巨漢どおしの対戦を見たが、頭のぶつかるゴツンという音が印象的だった。後日、元住友銀行の役員で全日本ラクビーの監督もされた故宿沢さんと、東京アメリカンクラブで食事をした時、小錦と出会った。宿沢さんがしきりに小錦を見ているので「どうしたのですか?」と聞いたら、「小錦をどうやったらタックルで倒せるか一所懸命考えていた」とおっしゃる。(注:宿沢さんはラクビー選手としては小柄な方)。人にはそれぞれの考えがある。マーケットもそれは同じ。皆同じようなことを考えていると思うのは大きな誤り。
11.「宿沢さんの思い出」
元住友銀行の役員で全日本ラクビーの監督もされた故宿沢さんとはロインドン時代からディーラー仲間としてお付き合いが始まった。我が家を建てる時(金融危機の、貸しはがし時代で融資を受けるのがとても難しかった)、住友銀行の審査部が、「水商売のリスクテーカーにお金を貸して大丈夫か?」と疑問を呈したが、役員の宿沢さんが「藤巻さんなら大丈夫」と太鼓判を押してくれたので審査が通ったんですよ、との話を担当者から聞いた。なお、融資が無事降り、建築が始まってから、ゴールデンウィークで工事が止まった。予定通りの工事休みだと知らない裏に住む日経新聞の記者の方から後日「私、藤巻さんが、どんなリスクテークをしているかわかっていたから(当時で、世界中でも珍しい自分のポジションを公開するリスクテーカーとして有名だった)、あの時は、ひょっとして資金繰りがつかなくなり作業が中断してしまったかと思い心配でしたよ。近所に建ちかけのまま朽ちていく家が残されると我が家の地価評価も下がってしまいますからね」言われたものだ。・