「一昔前なら、メガバンクは決して載せなかった文章」「日本は緩和を加速中。同レベルの緩和を継続中ではない。マスコミ・識者の誤解」「日米金利差よりも、中央銀行が『回収する』か『バラまき続けるか』の差の方が為替には重要」他

2023年09月16日

1.「一昔前なら、メガバンクは決して載せなかった文章」

今朝、以下のリツイートを私のtwitterにいただいた。

「あのメガバンク、三菱UFJ銀行も「ハイパーインフレ」について言及している。「方法3 自給自足で生活する」はいいね👍 ジャガイモ🥔作ってます」

以下のように回答した。

「確かに、おっしゃるとおり、三菱UFJ銀行職員の論考ではありませんが『日本もなるかもしれないハイパーインフレに備える方法』という記事をウェブページに載せていましたね。良心的だと思います。「今後ハイパーインフレになる可能性もゼロではない、と指摘している経済評論家もいます。国の財政が急激に悪化し借金が増え続け、日本の信用力が急低下すると日本円の価値が低くなる可能性があるからです」「発生する確率が低いとはいえ、負担にならない程度に備えておきたいものです」。銀行ですから「発生する確率が低いとはいえ」と抑えたトーンで書いてありますが、一昔前なら、こんな文章をメガバンクは決して載せなかったでしょう。その事実からも危機を読み取りましょう」

https://www.bk.mufg.jp/column/shisan_unyo/0023.html

 

2.「本日の日経新聞の大機小機」。

本日の日経新聞の大機小機いわく「日本の消費者物価(生鮮食品を除く)は、2021年9月から上昇している。つまりインフレだ。22年4月からは16カ月連続で日銀が目標とする2%を上回り、9月以降ほぼ1年間3%台での物価上昇が続いている。(略)インフレが生活を脅かしていることが明白だ。にもかかわらず、白書はデフレ脱却いまだ成らずと言う」まさにその通り。

ただ、この著者が結論づけているように「デフレ脱却と言うことは、「異次元緩和」を含め「アベノミクスよ、さらば」と言うことでもある。いまだにそこから脱却したくない人がいるのだろう(大機小機氏)」という単純な、政治的なものではない。

量的緩和解除をやりたくでも出来ないのだ。異次元緩和にさらばしたら途端に金融機関も日銀も日本経済もThe ENDとなるからだ。財政ファイナンスの咎はかくも大きい。私が長年「日本は景気が回復して(デフレ脱却したら)お仕舞」と言い続けてきた理由であり、歴史の教えでもある。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74511350V10C23A9EN8000/

 

3.「日本は緩和を加速中。同レベルの緩和を継続中ではない。マスコミ・識者の誤解」

伝統的金融政策では「下げてきた金利をさらに引き下げると」と金融緩和の加速、「下げてきた金利を引き上げに転じる」と緩和の解除/引き締めに変換、「下げてきた金利がそのままで、金利を上げも下げもしない」ならば「緩和政策の同レベルでの維持」という。

量的緩和は「ばらまいてきたお金を更にばらまく」と金融緩和の加速、「ばらまいてきたお金の回収に入る」と緩和の解除/引締への変換、大量にばらまいてきたお金を更に増やさない(=中央銀行のバランスシートをさらに大きくしない)と「緩和政策の同レベルでの維持」という。

日銀はいまだバランスシートを日々膨らませている(=国債買いオペでお金をばらまいている)、金融緩和の「加速」であり、「(既に極限状態の)同レベルでの継続」ではない。この点を日本のマスコミと識者はきちんと識別できていない。

「まだ十分なインフレではない」から「緩和政策の同レベルでの維持」なら100歩譲れば、まだわかる。しかし、この期に至って、量的緩和の「加速(バランスシートの拡大)」は全く理由が付かない。しかし加速(=国債買いオペ)を辞めると長期金利が跳ね上がり日銀の自死となる、だから出来ない。日銀はインフレ制御の術がなく、円は暴落していく。

 

4.「日米金利差よりも、中央銀行が『回収する』か『バラまき続けるか』の差の方が為替には重要」

私は日米金利差はますます開いていくと思っているが、米国のインフレが収まり米金利が低下、日米金利差が縮小して円高にと考えている人もいるようだ。

しかしながら米国のインフレが再加速していけばもちろん、2%で鎮静化する目途が立たないとなると、「なぜだ?」の話になる。「そうか1980年のボルカーショック(またはボルカーのサタデイナイトスペシャルという)と同じだ、という話になる。インフレが鎮静化しないのはばらまかれた貨幣量が多すぎるからだと看破し政策目標を「金利」から「お金の回収」に変更した1980年のことである(現在は当時よりもお金のバラマキが異次元に多い)。そうなるとFRB(=お金の回収)と日銀(=お金のバラマキを加速)の差は日米金利差どころの話ではなくなる。皆が「毎日天から降ってくる木の葉のような円」を希少価値の高まるドルへ競って転換しようとする。マーケットだから多少の綾はあるにしろ、円高トレンドに変わる理由は一つもない。