.「エネルギー高の現在、円は売られやすい地合いにある」「2020年発行の米国債30年債が半値に下落」「金利はより高くより長く」他

2023年09月20日

1.「エネルギー高の現在、円は売られやすい地合いにある」

昨晩のbloombergニュース。「エネルギー高が為替レートに与える影響は、石油輸入国と輸出国の間で分かれる。バークレイズの為替分析責任者、テミストクリス・フィオタキス氏が『ユーロ、円、スウェーデン・クローナなどが特に売られやすい地合いにある』と指摘した」そうだ。現在。1バレル90ドルのWTIが「1バレル120-150ドルになっても驚かない」というJP モルガン・チェースのジェミー・ダイモンCEOの言う通りになったら日銀と円はthe end だろう。インフレの抑制策をもうすべて失っているから。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-19/S18LR0T0AFB401?srnd=cojp-v2-markets

 

2.「2020年発行の米国債30年債が半値に下落」

昨日のBloombergニュース。私がここ数年、ドル資産はドルMMF のように現金に近いものやTMV(債券ベアファンド。長期金利が上昇すると価格が上昇)を推奨してきた理由。2020年に1万ドルで買った米30年債は今、売却すると5000ドルにしかならないとのこと。満期になれば1万ドル戻ると強弁する人がいるが、今、魅力ある金融商品を買おうとしたり病気になってお金が必要になっても売却すれば半額しか戻ってこないということ。2年間それなりに高い金利で運用し、今30年債を買えば1万ドルで2倍の量が買えるということ(但し私はまだまだ長期金利は上昇すると思っているので購入はお勧めしていない。今はあくまでドルMMFやTBなど現金に近いものがいいと思っている)、又長期金利が高いということはインフレが加速していることでもある。1万ドルの元本が30年ごとに戻ってきても、タクシー初乗り1万ドルになっていれば、1万ドルを失ったも同然。

Bloombergニュースいわく「米国の30年国債(2050年5月償還債)の価格が18日の取引で一時49 29/32の安値を付けた際は、驚きをもって受け止められた。50セントを割り込むのは、過去2カ月で2回目だ。(略)今回のケースは、新型コロナウイルス禍で金利が最も低い時期に長めの国債に投資家が殺到した結果、その後の積極的な米金融引き締めで被った痛みの大きさを物語る」

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-19/S17FGJT1UM0W01?srnd=cojp-v2

 

3.「金利はより高くより長く」

昨日のBloombergニュース「全ての証拠が、世界の多くの地域でインフレが完全に落ち着いていないことを示唆しており、原油価格の持続的な上昇は、さらなる圧力への懸念をあおっている」―>今後の世界の金利は「より高くより長く」だろう(但し上げれない日本を除く)。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-17/S145WOT0G1KW01?srnd=cojp-v2

 

4.「銀行間当座預金への付利金利引き上げが唯一の市中金利上げ手段」

世界中の中銀が多少なりとも(日銀はとんでもないほどの)量的緩和を行ってしまった以上、市中の金利政策を引き上げるためには中央銀行当座預金への付利金利を上げるしか方法はない。皆その方法で利上げを行っている。それにより民間銀行間市場のコールレートに影響を与え、それを通じて市中金利への影響を探る。

 

5、「日銀は3層構造の日銀当座預金のうちたったの29兆円にしか真仁洙金利を適用していない」

前述のように、市中金利を引き上げるには、日銀当座預金への付利金利の引き上げが重要だ。ところで日銀当座預金残高(2023年1月16日~2月15日の平均残高)は 491兆円のうち206兆円にプラス金利、255兆円にゼロ金利が適用され、たったの29兆円にしかマイナス金利が適用されていない。この29兆円へのマイナスを停止したところで銀行間のオーバーナイトコールはシミ程度にしか動かないだろう。日本の政策金利とは他国中央銀行の定義で言えば、ゼロ金利または+0.1%と言うのが正しい。しかしゼロ金利または+0.1%が適用されているところの金利引き上げは衝撃が大きくて出来ないだろう。したがって、実際は何の経済的変化をも起こさないから日銀にとって都合のいい29兆円部分だけの金利を引き上げる。「マイナス金利解除」と言う仰々しい言葉だけで、円安を止めたいのだろう。しかし翌日、銀行間レートがシミしか動かないのを見て外国人は「なんだ、日銀。市中菅金利も動かせないのか。無能」との逆ショックが起こる・。そうなれば円はその日を境に大暴落。

 

6.「海外の金融機関は、日本の事情に詳しいか?」

昨日、以下のようなリツイートが私のtwitteに来た。

「いやー凄いですねw 海外の金融機関は藤巻さんがご存知の事を知らないで資金運用してるんですね。私は藤巻さんがおっしゃってる事なんてみんな知ってる事だと思いますよ」

以下のように回答した。

「私の経験からすると、知らないですね。皆、誰か日本人の言説を翻訳しているだけ。私が現役の時は私が教え込んでいましたけれど。少なくとも私が勤務していた時は、世界最高峰の銀行と言われたJPモルガンでも、誰も全くわかっていませんでしたけどね。私の解説を皆必死で求めてきました。海外に出張して日本のマーケット事情をJPモルガンの顧客に説明するときはこんなに下手な英語なのに超大物投資家が鈴なりでしたけど。「欧米人はユーモアを大切にするからユーモアを考えなくちゃ」と言ったら、部下のウスイ嬢から『必要ありません。フジマキさんのその下手な英語で充分、笑いが取れますから』と言われたものです」

なお、他の人から以下のリツイートもいただいた

「前にも呟きましたが以外と市場参加者は気づいていないことが多いしアホな側面は多様にあることは経験上感じます、影響力のある発信者に引き摺られてて直前まで知られずにアホみたいな動きしていることはよく見受けられます。実際バブルの時もリーマンショックの時もそうでした」

 

7.「Ray Dalio氏いわく『投資をするときは財政の健全な国に』

3連休に以下のリツイートを私のtwitterにいただいた。

「投資にチャレンジ中の方(自分も含めて)に最近のRay Dalio氏 (FOUNDER, BRIDGEWATER ASSOCIATES)の助言の一部分を貼っておきます。 …the three biggest considerations one should take when choosing a country to invest in. A country needs to have a good income statement and balance sheet…」

以下のように返答した。

「お、ダリオ氏、日本の危うさに気がついてしまったか?彼の影響力は大きいだろうからな~、どうなることやら。」

 

8.「バーナンキは『統合政府論者』か?」

3連休中、以下のリツイートが私のtwitterに来た。

「統合政府バランスシートについて >ノーベル経済学賞の受賞が決まったベン・バーナンキ氏は、こうしたことを何度も筆者に指摘してくれた。『それでも分からない人には、政府と日銀との損失契約でもやっておけばいい』と冷笑していた。

以下のように回答した。

「貴兄はバーナンキが統合政府論者だと断定している論拠を高橋洋一氏の文章にもとめているようですが高橋氏は『統合政府論』の言い出しっぺで元締め。高橋氏がバーナンキの発言を都合よく統合政府論に結び付けているだけ。大口を吐くのなら、もう少し自分で考える能力を磨いてから。バーナンキ氏も迷惑」

 

9,「なぜバーナンキ氏が『統合政府論者』ではないのか?

3連休中、以下のリツイートが私のtwitterに来た。

「自分で調べるべきとは承知しておりますが、バーナンキの主張のどの部分をどのように高橋氏は歪曲しているのでしょうか。高橋氏はバーナンキとバーナンキのノーベル経済学賞を盾に自身を正当化しているので、明確にして頂けるとSNSで誤解する人が減るのかと思いました」

以下のように回答した。

「世界中で禁じ手と言われている財政ファインは中央銀行が紙幣を刷ることによって(正確には当座預金を増やす)政府の歳出を賄うことです。政治家は増税しなくて済むのでこちらを選択しがちですが、過剰に紙幣が発行されハイパーインフレを起こします。財政ファイナンスとはまさに統合政府論の実践。バーナンキは不況対策として通貨の増刷は言ってはいるようですが通貨の増刷は何も国債を購入しなくてもすみます。たとえばアメリカではMB(民間発行の不動産担保証券)の購入がそれです。以前の日銀も長期国債などほとんど購入していなかった。通貨供給には民間発行の約束手形や3か月未満の短期政府証券を購入し通貨発行をしていました。異次元緩和開始の時、私はどうしても量的緩和をしたいのなら100歩譲って米国債購入ならまだOKと主張しました。米国債購入は日銀による日本政府の資金繰り援助になりません(財政ファイナンス=統合政府論ではない)でも誰も聞いてくれませんでした。日銀の米国債購入では財政ファイナンス(=統合政府論の実践)ではないので政府の財政破綻危機を先送りできなかったからでしょう。なにはともあれ通貨発行増で景気対策をしろとのバーナンキの主張を『中央銀行が政府の資金繰り援助すべし』と曲解すればバーナンキも怒るで、という話です」

 

10.「統合政府論は皆、切り捨て」

3連休中、以下のリツイートを私のtwitterにいただいた。

「この質疑応答がとても印象深かった。

以下のように回答yした。

「ありがとうございます。最後に私が『統合政府論をどう思うか?』と質問したら「言語道断」と答弁されましたね。私が国会議員時代に黒田前日銀総裁に『統合政府論についてどう思うか?』と聞いた時も、黒田氏はスパッと切り捨てましたね。しかし「自分で実践しているじゃないか」と私は思いましたけどね」

 

11.「日本の健康保険システムは米国の健康保険システムより人道的だ。しか~し」

もちろん日本の健康保険システムと米国の健康保険システムを比べたら、日本の方が格段にいいに決まっています。誰だってそう思うでしょう。しかしそれと維持可能かは違います。世界最貧国の一つ、ハイチに「人道上、日本のような社会保障制度を作れと言っても無理なものは無理」なのと同じです。

米国がなぜ日本のような健康保険の仕組みをつくらないか?オバマケアがやっとなのか?を考えてみるとよいと思います。導入すれば財政が持たない、かつ西部開拓の歴史から自助努力を第1義に考えているからでしょう。なお日本に格差などないことは世界で働いたり住んでみればたちどころにわかります。

 

12.「若い日本人留学生は健康保険料が安い。日本と同じ?」

9月17日に書いた、私の健康保険、年金保険についての記述に多くの反論リツイートが来た。一つは、

「けっこう違います。どこからの情報ですか?10人くらいの日本からの米国の留学生に聞けばけっこう違うってことわかりますよ。そのくらいの若い子たちの人脈ありませんか?」

以下のように反論した。

「それは語学留学とかの話では?Bビザで研究留学しようとすると一定以上の(=トンデモなく高い)きちんとした医療保険に入るのが要求されその加入証明が無いと受け入れ先が受け入れ書を発行出来ません。とするとビザは発行不能。Bビサは米国での勤務が禁止ですから収入ゼロ。でも保険料は高額所得者と同じ」

 

13 .「米国では高額所得者と低所得者の健康保険料は同じ?」

以下のリツイートが同じ人から来た。

「保険料は高額所得者と同じなんでしょうか。例に出しましたが一年で$3000いかないくらい、月に2〜3万円です。それが高額所得者と同じなんでしょうか。絶対に違いますw。もちろん額は学校によると思いますが」

以下のように回答した。

「知らないのに『絶対違います』などと言わないこと。米国は日本のように公が健康保険を運営し格差是正の役割を果たさせているわけではありません。公が面倒を見ているのは高齢者と超低所得層だけです。この保険では受けられる医療が最低レベルです。大部分の国民は民間のやっている保険で、健康保険に入っています。民間で競争ですから入る健康保険尾会社によって保険料も受けられる医療機関も異なります。収入によって保険料を変える理由は全くありません。企業単体が保険会社のような仕組みを持っているところもあり、その会社が給料に応じて保険料を変えているのがあるかもしれません。自由ですから。しかしそれは格差是正の目的でも何でもなく、企業を魅力的にして、勤労者の獲得競争に勝つためでしょう」。

 

14 .「米国には受けれる医療で保険料は違う。しかし所得では保険料は変わらない」

以下のようなリツイートもいただいた。

「藤巻さんのおっしゃる通りです。F-1ビザで来る留学生の場合は学校を通しての医療保険がだいたい年間$1700くらいで買えますが、その他の方は年齢によって高くなる医療保険が必要です。家族がいれば家族の分も必要です。保険があっても、医療費の自己負担最高額が$9000位です」

以下のように返事を書いた。

「そうですね。もう一つ注意するべきことは、安い保険では安い医療(受診できる病院も違います)しか入れないということ。同じ保険に収入が低いからと言う理由で安く入れるわけではありません。警官と犯人が銃撃戦をして負傷したら救急車が2台来ても、犯人(=低い医療しかカバーできない保険)にし入っていない)を乗せる救急車と警官(=警察として高い保険に入っている)を乗せる救急車が向かう病院は別だという話はよく米国人から聞きます。要は良い医療を受けたかったら高い保険料を払わねばならないということ。同じ保険では年収の差はない」

 

15.「日本の健康保険は公。米国の健康保険は大部分が民」

同じ方から、まだ絡んできた。

「もちろんそうですw。それが保険ビジネスのコアの仕組みですw。偉そうなこと言ってすみませんが、若い子にアクセスするネットワークがないんですか?」

以下のように回答した。

「何度言ったらわかるのか?日本の健康保険は公、米国の健康保険は大部分が民(公が面倒みるのは高齢者と超低所得者層だけ)。民である限り自由競争。いろいろな保険がありどの保険に入るかは個人の自由。しかしながら選んだ保険内では収入によって保険料は変わらない。日本の火災保険と同じ。

保険会社によって保険料の違いはあるしどの程度の手厚い保険(地震保険を付けるとか水害保険を付けるとか免責額を変えるとか)をかけるかは個人の自由だが、ある保険を選べば、その中では収入による保険料の差はない。民間企業には格差