1「マイナス金利解除は豆鉄砲に過ぎない」
何度も書くが日銀のホームページのメインぺージの一番下の部分を確認しよう。金融市場調節の方針は「短期政策金利:▲0.1%、長期金利(10年物国債金利):ゼロ%程度」とある。これが日銀が誘導の目標する金利すなわち金融政策の根幹である。多くのマスコミや識者が、この「短期政策金利と言う言葉を誤解している。ここにある短期政策金利とはFED のように誘導すべき銀行間レート(銀行間取引のO/N のレート)のことでも英国中央銀行のように、中央銀行当座預金のほぼ全額に付利するレートでもない。3層に分けた日銀当座預金の中で断トツに残高が少ない部分に「政策金利」と名づけただけでここにマイナス金利を適用しているだけの話。500兆円弱のうちのたった30兆円だ。ここのマイナス金利を解除しても▲0.049%(21日)がゼロ%になるだけ、たったそれだけの話。それ以上のことをやると日銀や日本の金融システムへの影響が怖すぎて出来るわけがない。
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2,「豆鉄砲(=マイナス金利政策解除)を打てるか?」
本日の金融政策決定会合での注目点は日銀が持っている最後の武器である豆鉄砲(=マイナス金利解除)を打てるかどうかだ?だ。豆鉄砲を打たなければ、昨晩円売りポジションを落とした海外勢がポジションを閉じた分にかけて加えて円売りを加速させていくだろう、それが合理的な判断をする人の行動のはず。
3,「豆鉄砲を撃ち込まれたらどうなるか?」
豆鉄砲に当たったハトは、きょとんして目を丸くするだろうが、ただそれだけ。
豆鉄砲を打てば銀行間オーバーナイトコールレート(=FRD のいうところの政策レート)は▲0.049%(21日)がゼロ%にはなるだけ。それ以上高めに銀行間O/Nコールレートを誘導すれば日銀はたちまち損の垂れ流しになってしまう。
更に高め誘導すればとんでもない損の垂れ流しとなる。そんな中央銀行など他に無い。
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4,「豆鉄砲を打った羅、その後はインフレ対応の武器は無くなる」
日銀当座預金残高は548兆円(8月末)。540兆円弱の超過準備に0.1 %の金利を支払えば0.1%あたり5,000億円+の金利支払い増だ(注:現在は、日銀当座預金残高548兆円のうち200兆円強に+0.1%が適用されているからゼロ%から+0.1%への付利金利引上時だけは約半分の金利支払い増)
令和3年度の税引き前当期剰余金は1,6兆円。金利面からはたったの1.1兆円だ。(他に0.84兆円が株式ETF 注:株に利益を頼る中央銀行など見たことない。損をする可能性が大きいものを中央銀行が持っていいの?という話。)昨年度は、今までの実績から突拍子もなく増えて当期剰余金は2兆円を超えている、株式からの増益が大きいのか?)
金利収入がけた外れに大きいFRBと違い、日銀はまめ鉄砲を打ったとすると、インフレに対抗する武器がほぼ無くなる。
5,「日銀の仕事①:物価の安定」
日銀のホームページのメインぺージ、写真の下に「日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を目的とする、日本の中央銀行です」と歌っている。物価対策を政府に任せ、そっぽを向いている日銀は仕事しているのか?したくてもやれば自死だから出来ないだけ。
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6「日銀の仕事②:金融システムの安定」
日銀のホームページのメインぺージの写真の下に「日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を目的とする、日本の中央銀行です」と謳っている。長期金利が1%まで上昇すると、多くの地銀が債務超過で金融システム不安に陥る。さらには日銀自身も危険。だからいくらインフレになろうと長期金利を必死で抑える。日銀はもはや中央銀行の体をなしていない。w
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7.「日米金利差は円安/ドル高のマイナー要因」
米国の金利は「より高く、より長く」、日本は「超低金利維持、より長く」
マーケットだから多少の綾はあるだろうが、円が強くなる理由が全く見当たらない。
今後の最大の円安/ドル高の理由は「回収されていくドル」と「未来永劫バラマキが継続する円」との差。私は今後とも日米金利差は拡大すると私は思ってはいが、こちらの要因の方がはるかに重要。さらに、その後のさらに大きな円安/ドル高の理由は「総じて健全なFRBの通過・ドル」と「中央銀行をとっかえざるを得なくなる日本の通貨・円(=紙くず化)」との差
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74647620S3A920C2MM8000/
8「米長期金利更なる上昇への警告」
サマーズ氏、グロース氏、ジミーダイモン氏、ダリオ氏等金融界の大物が続々と、米長期金利に警告を鳴らしている。ご存じの通り私の主張と同じ。米10年金利はついに4.5%に乗せ、私が推奨しているTMV(債券ベアファンド;長期金利が上昇すると儲かるファンド)も急騰している。年初来ドル建てで31%アップ、ドル円で13%アップだから約5割アップのはず。以下、昨日のブルームバーク記事。「グロース氏は21日公表した投資見通しで、債券市場は前例のない3年連続のマイナスリターンに向かっていると指摘。根強いインフレや財政赤字拡大が理由だとし、政府支出について『ヘリコプターからマネーを投下している』も同然だとの考えを示した」――>基本同意だが、日本に比べれば米国のヘリコプターマネーに比べれば赤んぼ程度。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-21/S1CC0RDWRGG001?srnd=cojp-v2-markets
9.「サマーズ氏の警告」
昨日のブルムバーク記事「サマーズ元米財務長官は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が示した最新の経済予測について、政策当局者は楽観的過ぎると指摘(略)「今は人々が少し楽観的過ぎて、FOMCもその楽観に引き込まれているとみている」と語り」―>インフレについては同意。スタグフレーションは?今の米国は日本のバブル時と同じで「資産効果」が強力な後押しをしており
日本のバブルの時のような自国通貨高という強烈なデフレ要因が存在していないからから景気の腰は強く、インフレ圧力は強烈に強いと思っている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-21/S1CATXT0AFB401?srnd=cojp-v2-markets
10.「『資産運用特区を創設』は成功するか?」
今まで、何度も何度も「金融立国」案が出てきた。そして毎回泡のように消えて行った。最近では小池都知事の東京金融立国案が記憶に新しい。あれどうなっちゃ淡だろう。私が金融庁審議会専門委員審議員だった時も同じようなテーマで議論した。私は「金融立国はその国の経済が強くならなければ無理。経済が強くなってもインフレが無くては無理。したがって今、インフらを整えるのは日本経済が強くなった時の準備と捉えるべきで、インフラを作ったから今日明日に金融立国になれるわけではない」と主張した。その主張は今も同じ
財政赤字が世界最大(隊GDP比)の今の日本に海外のお金が流れ込むとは思えない。数日前にtwitterの読者から教えていただいたダリオ氏の言葉を思い出す。
he three biggest considerations one should take when choosing a country to invest in. A country needs to have a good income statement and balance sheet…
今、資産運用特区を作れば日本の金融資産は海外金融資産を求めてドッと外に流れ出すだろう。平時ではそれは望まし事なのだが、今、やると円安加速で日銀にとって致命的になるのでは?
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA20CY50Q3A920C2000000/