「JPモルガンのダイモン氏が説くFFレート7%のリスク」「ドルは唯一無二の逃避先」「為替の口先介入の効果」日経新聞、ブルムバーグ記事、どちらを信じるか?」他

2023年09月27日

1.「JPモルガンのダイモン氏が説くFFレート7%のリスク」

JPモルガンの CEOで米金融界の論客ダイモン氏が、FFレート(銀行間1日間のレート)が7%に上昇するリスクを説いています。1980年のボルカーショック(=ボルカーのサタデイナイトスペシャル)の再来を予想する私は同意見。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-25/S1KE0DDWLU6801

 

2.「JPモルガンのダイモン氏の金利に関するコメント英語版」

「金利は、政策決定者がインフレの再加速と景気低迷に直面しているため、金利はかなり(=quite a bit further)上昇する可能性がある(藤巻勝手訳)」

(KEY POINTS)JPMorgan Chase CEO Jamie Dimon is warning that interest rates could go up quite a bit further as policymakers face the prospects of elevated inflation and slow growth.“I am not sure if the world is prepared for 7%,” he told The Times of India in an interview.

https://www.cnbc.com/2023/09/26/dimon-warns-that-fed-could-still-lift-interest-rates-sharply-from-here.html?__source=iosappshare%7Ccom.apple.UIKit.activity.CopyToPasteboard

 

3「ドルは唯一無二の逃避先」

昨日のブルームバーグ記事。「ドルが唯一無二の安全な逃避先であることが、再び証明されつつある」私の考えと同じ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-26/S1KMNAT0G1KW01?srnd=cojp-v2-markets

 

4.「為替の口先介入の効果」

昨日夕方149円19銭レベルで鈴木蔵相の口先介入。148円75銭程度まで下がった。丁度、米金利が下落していたので円安に戻りにくかったのだろう。しかし今朝起きたら149円10銭。元に。「(介入)やるぞ、やるぞ」と言われるたびに反応が無くなっていくのは抗生物質の効き目と同じ。

 

5「日経新聞、ブルムバーグ記事、どちらを信じるか?」

本日の日経新聞。「住宅ローン金利の高止まりが(新築住宅の)需要低下につながったとみられる」この記事を読むと、米住宅産業は需要減退で、米景気は不況に落ちそうな印象を受ける。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26DAC0W3A920C2000000/

一方ブルームバーグ記事では「(米国の住宅価格)は過去最高を記録した。物件不足で売り手市場になっている様子が浮き彫りになった」この記事を読むと米住宅産業は需要旺盛で、米景気は下落の様相など全くないように思える。どちらが正しい?どちらを信じるかによって、ディーリングや投資の成績は雲泥の差となる。お金がじゃぶじゃぶの現在、私は当面、後者の分析を信じている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-26/S1LGO4DWLU6801?srnd=cojp-v2-markets

 

6「為替介入の仕組み」

本日の日経新聞「大機小機」。為替介入の仕組みに触れているが、読みようによっては正しくも読めるが、読みようによっては誤解してしまう。為替介入は「財務省の判断とお財布」で日銀が「業務を代行して」行う。要は、財務省が頭で、日銀は手足と言う役割分担だ。ちなみに介入のプロセスが複雑だとは私は思わない。面倒なのは米当局のお墨付きが必要なこと(こ米当局のお墨付きが必要か、私は確たることを知らないが、過去の財務官の言動からは大機小機氏のいうとおりだと思う。

「大機小機」氏は以下のように書いている。「為替の安定は財務省の専管事項だ。ただし、財務省の専管事項である為替介入を財務相の指示に従い、日銀が代行して行うこともある。為替介入については、方針決定から為替市場への介入実行の過程はかなり複雑だ。日本の財務省が為替市場に過度な変動が見られ、介入の必要があると認めた場合、米財務省など米国当局と打ち合わせる。米当局と了解に達した段階で、日本の財務省が市場状況などを勘案して介入を実行する。こうした複雑なプロセスを刻々と変化する市場を見極めながら、臨機応変に実施している」

誤解回避のために藤巻が赤入れするとなら「ただし、財務省の専管事項である為替介入を財務相の指示に従い、日銀が代行して行うこともある」―>「ただし、財務省の専管事項である為替介入に関しては財務省の指示に従い、日銀が代行して行う」

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74767070W3A920C2EN8000/

 

7「『短期金利』と『短期政策金利』とは似て非なるもの」

昨日書いたように、「短期金利」と「短期政策金利」とは似て非なるもの。短期金利に関しては2010年に「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す」と決めてから、それと異なる政策変更など聞いたことがない。短期金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を政策目標から外したのかもしれないが、日経新聞が書いたようにマイナス0.1 %に変更したということはない。しつこいようだが、私が9月22日の日経新聞夕刊記事は誤報だという理由。以下、日銀ホームページより。

「2010年(平成22年)に開始された「包括的な金融緩和政策」のもとでは、金融市場調節方針は「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す」

https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/seisaku/b42.htm

 

8「住宅ローンは変動がいいか固定がいいか?」

昨晩、以下のリツイートが私のtwitterに来た。

「過去20年、住宅ローンで1番得したのは変動金利。いましか響かない固定金利トーク」

以下のように回答した。

「あたり一面の大火事て隣の家が既に燃えており、我が家に火の粉がばんばん飛んできている。そんな時に『私は今日満期を迎える20年の火災保険をかけてこなかった。でも火事は起こらなかった、火災保険料を得したぞ』と言っているに等しい。自慢している間に早く火災保険入ったほうがいいぞという話」