「植田総裁 債務超過は一時的、嘘ツケ」「『マイナス金利政策解除』ではほのかな利上げでしかない」「2020年1月に.▲0.66%だったドイツ国債は、いまや2.93%にまで上昇」(他)

2023年10月01日

1.「植田総裁 債務超過は一時的、嘘ツケ」

ブルムバーグによると植田日銀総裁は「金融緩和政策からの出口局面で一時的に赤字や債務超過になっても、政策運営能力が損なわれることはない」「中央銀行には通貨発行益が発生する収益面での特徴もあり、やや長い目で見れば、収益が確保できる構造にある」と説明したそうだ=>10年は「やや長い目」ではない。「シミ程度の利上げで現在の通貨発行”益”が、通滑発行”損”に変わり、通貨発行”益”に戻るまで最低10年はかかるだろう。その間、債務超過が継続し、利上げのたびに債務超過が極大化していくと思われる。そうであればどこかの段階で、日銀は信用失墜。政策運営能力があるといくら自分で言い張っても世界は、そんな中央銀行とその発行する通貨を信用しない。中央銀行のとっかえ、円は法定通貨で無くなる。円の価値はゼロ。その時期はかなり近い近未来だと思っている。

私が参議院議員時代、債務超過の可能性について黒田前日銀総裁に繰り返し質問したら、黒田総裁は最後には「一時的にはありうる」と認めた。若田部副総裁は「日銀が付利金利を引き上げても保有国債から上がる受取利息も上昇するので問題ない」と答弁された。嘘ツケだ。そんな非論理的なことを公言して学者としての矜持があるのか?と思った。私が現役の時の日銀保有国債はほぼすべてが3か月程度の短期債だったから3か月たつと高い利回りの国債に入れ替わった。しかし今は大部分が長期債、10年債が中心だ。固定金利だから10年たたないと受取利息など増えない。通貨発行”損”が10年近く継続し債務超過は解消されっこない。大きくなるばかり。その私の反論に若田部総裁は、いつも、むにゃむなゃ、だったが、マスコミは若田部副総裁の理不尽な答弁しか報道しない。その答弁に対する私の反論は載せないから、国民が日銀のごまかしに気が付かない。それが事態をここまで悪化させたと思っている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-30/S1OX3GT1UM0W01?srnd=cojp-v2

 

2,「『マイナス金利政策解除』ではほのかな利上げでしかない」

欧米中央銀行の利上げとは短期金利を0.25%又は0.5%あげることである。しかし日本での「マイナス金利政策解除」では、短期金利をたったの0,04%程度しか引き上げない。欧米人にいまだ円高論者がいるのは「マイナス金利解除」で大きく短期金利が上昇し、それが円高を促すと誤解しているせいだろう。彼らの落胆は大きい。

何度も言うように日銀の「短期政策金利のマイナス0.1%」とは、日銀当座預金の超過準備500兆円近くのうち、たったの約30兆円に適用されている金利だ。「一定以上、日銀当座預金に積みすぎると0.1%を払いなさいよ」とのペナルティー金利である。資金が余っている銀行は日銀当座預金に残しておいて0.1%を日銀に払う(▲0.1%)より、0.1%以下なら貸し出そうというインセンティブが働く(だからオーバーナイト(O/ N)コールレートは22日▲0.0039% 25日▲0.042% 26日▲0.051% 27日 0.064%、28日▲0.063%、29日▲0.062%))。しかしこのペナルティーを無くせば(=マイナス金利政策の解除)、余った資金はゼロ%の日銀当座預金に置かれる。たとえ資金不足の銀行があらわれても莫大な量の金をゼロ%の日銀当座預金に寝貸せる。少しでもプラスの金利を示せばゼロ%に寝ている預金のが怒涛のように押し寄せ、ペナルティー限りなく0%に収束する。したがってO/ Nは0%に収束する。したがって「マイナス金利政策解除」と言うと飛んでもない事のように聞こえるが、O/ Nコールレートは▲0.062%から0%に上昇するだけなのだ。人々を言葉で驚かせる効果はあるが、0.25%又は0.5%あげる欧米中央銀行の利上げと違い、実際の影響はスカなのだ、だから日銀は実行できる。しかし0.25%や0.5%の利上げは日銀には出来ない。何度も書くように、損あ利上げをしたら、日銀自身、金融システム、格付の問題等への影響が巨大すぎるからだ。

 

憲法に「均衡財政」を謳っており財政が日本に比べ圧倒的に健全なドイツの10年債利回りが2.93%まで上がってきた。ちなみに2020年1月10日を見ると▲0.66%。3.56%も上昇している。一方日本は同じ2020年1月10日に0.002%、今0.76%と0.762%しか上昇していない。YCCを完全に辞めても長期金利は0.8%くらいで止まるとの意見が金融界で主流のようだが、ちゃんちゃらおかしい。せめてドイツ債の動きを見てからモノを言うべし。(申し訳ないが)長期債の乱高下の修羅場をくぐったことのない現役トレーダーたちの妄想、超楽観論。私はYCCを完全に辞めれば長期金利は80%くらいにまで上昇し、政府は財政破綻。もちろん日銀はその前に消えて無くなっている(新中央銀行にとって代わられている=現在の円は法定通貨ではなくなっている=無価値)だろうが。

(いうまでもないことだが、「ならば日米金利差縮小、円高」などへそが茶を沸かすようなことはいわないこと)

 

4.「BSフジ プライムニュースのパーティー」

今週末はテニスを土曜日2試合、本日1試合。あまりに運動不足が続いたので、秋には頑張ろう。先週金曜日は、ホテルオークラで開かれたBSフジ プライムニュースのパーティーに招待いただき顔を出した。馬場維新代表に1年ぶりにお会いご挨拶をした。昔からよく存じ上げている高田日銀審議委員からご挨拶をいただいた。今年はセキュリティーの人たちが滅茶苦茶に増えたのには驚いた。

しかしこのパーティーも、昔は忙しくてなかなかお会いできない財界、日銀、財務省の人達と沢山会えるので、ある意味楽しかったが、最近は政治関係の人ばかりになって、私のとっては別世界になってしまった気がする。

2009年の放送開始直後はよく出させていただいたが、最近は招来されるのはTVではなくパーティーのみだ(苦笑い)。活舌が悪いせいだと思っていたが、昨年のパーティーでの日枝会長「この番組には3つの大原則があります。その1は過激な内容で世の中を煽らないこと」とのスピーチを聞いて、真の理由がよく分かった。やはり私の発言は過激だと思われているのだろう。私自身は「オーソドックスな金融論で考えれば私の主張は当然の帰結であり全く過激ではない。日銀のやっていることが、オーソドックスな金融論からすると、あまりにも過激なので、私の結論が普通の方からみると、過激に思えるだけだ」と思っている。