「膨張マネー撤収半ば 消えぬインフレ再燃の芽」「ブラード氏、政策金利6.5%への引き上げ必要にも」「米国向け航空郵便 27%の値上げ」他

2023年10月14日

1.「膨張マネー撤収半ば 消えぬインフレ再燃の芽」

本日の日経新聞2面の記事。必読。他国中央銀行は「道半ば」にしろ「膨張したマネーの撤収」を始めている。一方、日銀はいまだマネーを膨張し続けているどころか、撤収する意図も方法もない。撤収すれば自死だからだ。

1980年ボルカー元FRB は「インフレファ収まらないのはバラマキすぎたお金のせい」と看破し、政策目標を金利からお金の回収に変更した。そのせいで金利はFRB のコントロール下から放たれ、長期金利は20%、FFレートは24%まで上昇した。この日経の記事は、私が「現在はその時よりお金をバラマキ過ぎている。ボルカーショックの再燃はありうる」と主張しているバックグラウンドを説明してくださっているような記事だ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK28CQJ0Y3A920C2000000/

 

2.「ブラード氏、政策金利6.5%への引き上げ必要にも」

昨晩のbloomberg ニュースによると前セントルイス連銀総裁のブラード氏は「市場はインフレを過小評価しており、インフレ率が再び上昇し始めた場合、FOMCは政策金利を最高で6.5%に引き上げる必要に迫られる可能性がある」との見解を示したそうだ。お金をバラマキ過ぎている米国の現状を鑑み、Agree。JOモルガンのダイモン氏も1か月ほど前に、7%になっても驚かないと言っていたし。

もっとも私は、1980年のように米市場金利は更にうわっ跳ねるとは思ってはいるが。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-13/S2H0VPT0AFB401?srnd=cojp-v2

 

3.「内部で責任追及の対象になっている低利国債の爆買い」

10日のbloomberg記事によるとバンクオブアメリカ(注;米国の民間銀行)の株価がさえないそうだが、理由は低金利の長期の米国債や住宅ローン債券を爆買いしてその評価損が巨大化したからだそうだ。どうりでBOAが「米金利は来年低下する」との予想をしばしば出していたわけだ(笑い)。ポジショントークじゃないか。

bloombergによれば「この問題は、今、BofA内部で責任追及の対象になっている」そうだ。

発行済国債の半分以上を低利時代(=ベらぼうに高い値段)で、しこたま買い込んだ日銀が「まだまだ十分なインフレではない」と強弁しているのと同じじゃないか。このまま保有国債の評価損が莫大になっていくとき、当然、責任は追及されるんでしょうな。そもそも「やってはいけない」と金融界でもオーソドックスな金融論でも基本のキだった財政ファイナンスを大胆に大規模にやってしまい、これから起こる惨状を招き寄せたのだから。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-10/S2ALY4T0G1KW01?srnd=cojp-v2-markets

 

4.「日本の債務残高は世界でも突出」

時事通信によると、IMFのガスパール財政局長(元ポルトガル財務相)いわく「IMFのデータによると、日本の政府債務残高は2022年時点でGDP比260%を超え、世界でも「突出している」。外国人でさえ認識しているのになぜ日本の政治家、財務大臣は無関心なのか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/e7db3514a07c4a0df92c727a8085718dbefdb543

 

5.「中国でさえ国債発行額はGDP比3%のルールあり」

10月11日のブルムバーグ記事。このニュースで私が一番驚いたことは中国でさえ国債発行額をGDP比3%以内に収めるというルールを持っていたこと。今、停止中とはいえEU諸国もマーストリヒト条約で平時には同じ制約を強いられる。一方、日本はそんな縛りさえなくバブル崩壊以降、6~8%(コロナ気は20%近く)の財政バラマキ状態。財政拡張論者が日本を緊縮国家というならば中国は超超超緊縮国家となる。それなのに中国は40年間でGDPは220倍、一方日本は1.5倍の超低空飛行。日本は緊縮だったから成長しなかったと説く輩は、これをどう説明する?

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-11/S2CRU0DWLU6801?srnd=cojp-v2-markets

 

6.「三菱UFJの米モルガンスタンレーへの出資」

本日の日経新聞記事。「三菱UFJファイナンシャルグループが米モルガンスタンレー(注:私が勤務していたJP モルガンとは別会社。当時はJPモルガンの方が断然格上だったと自負している)への出資で2013年以降の10年間で2兆1000億円強、出資額の2倍以上に上る純利益を上げた」そうだ。この買収は当時、あまり評判も良くなく当初は利益も上がっていなかったと記憶している。当時の三菱UFJの幹部が「失敗だったかな~」と幾分落ち込んでいたので「そんなことは無い。すばらしい判断だ。私があなた方の立場にいても同じ決断をする。今、ドル資産を買うのは賢明だ」と話したことを思い出す、あの幹部の方、覚えていてくださるだろうか?どうでもいいけれど。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB134BB0T11C23A0000000/

 

7.「米国向け航空郵便 27%の値上げ

水曜日に110円の切手の切手を貼って投函した米国向けの航空郵便が、昨日「基本料金30円不足」との付表が添付されて返ってきた。郵便局に電話して「110円切手を80円切手と見間違えた?プロならしっかりしろ」とクレームの電話を入れたら、10月1日から値上げになったとのこと。あちゃ~。しかし27%の値上げ!それじゃー、植田日銀総裁に「金利を引き上がげろ、日銀の責務を果たせ」と文句を言おう!あ、でもそれじゃあ日銀に自死を迫ることになっちゃうよな~。日銀はいくらインフレになっても金利引き上げは出来ない。円はとどまることのない下落。

 

8.「G9の会」

昨日は出張で帯広(素晴らしかった。詳細は明日)から羽田に17:15に戻り、そこから直行でG9の会@如水会館へ。30分遅れで参加。G9の会は一橋大出身のマーケット参加者たちの集まり。3~4か月に一度集まっている。昔はマーケットでブイブイ言っていた人たちでGreat 9をもじってG9と(僭越ながら)命名した。大多数はbuy side の重鎮ばかりだったのでSell sideの面々はどんな話題を話しあったのか興味津々だったと聞いているが、今や皆、リタイア組。爺さんばかり9人の会になったのだから『爺さん9人の会』をもじってG9人にしましょうよ」と言ったら、「そんなこというと除名ざれるぞ」と怒られた(笑い)。すみません。皆、まだまだ血気盛ん。昨晩はN先輩と激論した。金融界のかっての重鎮たちの考え方は「フジック君のロジックはよくわかる。しかし日本は欧米諸国にとって重要な国。だから彼らがX デイにまでは至らせない」とおっしゃるのだ。激しく反論したが、あとでHさんから「フジマキ君の反論、迫力あったよ」とお褒め(?)の言葉をいただいた。本日はこれから仕事があるので、その反論した内容は明日、書く。しかしHさんから「フジマキ君こうやって君の持論に真正面から反論が出てくる会はそうはないだろう。楽しいだろう?」とのお言葉をいただいた。たしかに。

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