１．「為替介入は米国が認許可してくれていないのかも？」
神田財務官の昨日のコメントに市場は全く反応しなかった。口先介入の効果はなくなってきた。「一般論」と断り、かつ「国は」と自分の権限でないことを明確にしながらも「金利引上」に触れたのは、米国から為替介入の許可を得られていないからではないか？昨日の ハンスＩＭＦアジア太平洋局副局長の「（日本の為替）介入の必要性をＩＭＦは認識していない」との発言を考え合わせるとそう思えてならない。米国がインフレの継続・再燃で「（金利は）より高く、より長く」との言い回しがどんどん ポピュラー化していき、さらにはハマス・イスラエル紛争で原油高騰のリスクが出現してきた現在、インフレ加速要因となるドル安へのアクションを米国が簡単に許すとも思えない。ひょっとすると昨年の介入も「1回だけだよ」との約束で許可されたのかも。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-16/S2M3V7T0AFB401?srnd=cojp-v2-markets
２「外資の為替予想」
少し古い記事だが１０月１１日のbloomberg 記事。外資は（介入が１５０円超で入っても）為替介入を押しのけて円安ドル高が進むと予想しているようだ。ずいぶんおとなしい予想だとは思うが。
「ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらも８月の段階で、日銀がハト派姿勢を堅持すれば、円相場が半年で155円まで下落するとの見通しを示した。バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズも円が来春155円を付けて底入れするとみている」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-10/S2C39ODWLU6801?srnd=cojp-v2
３．「市場、財政悪化に警戒感」
本日の日経新聞、世界では長期金利上昇が財政規律悪化の警戒警報として機能している。「政治家さんよ、そんなにばらまくと国債増発により、長期金利が上昇してしまい。経済に悪影響を及ぼしますよ。それでもばらまきますか？』との警報だ。だから最悪の事態は避けうる。しかし日本は、日銀が長期国債を爆買いし金利上昇を徹底的に抑えてきた。したがってちっとも長期金利が上昇せず、財政規律崩壊の警戒警報が鳴らない。結果、日本は世界ダントツの財政赤字国になりはて最後にドンと混乱を迎える。市場経済の微調整機能を放棄した計画経済国家・日本の成れの果てだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB115ZX0R11C23A0000000/
４．「計画経済国家・日本」
本日の日経新聞「止まらぬ原油乱高下に備えを」。日経新聞によると「原油高影響は需要が急減した米ガソリン市場にとどまらない」そうだ。米国は価格上昇が需要を抑える資本主義経済。日本は補助金で値段高騰を防いでいるからガソリン需要が急減したとは聞いたこともない。そう言うのは資本主義経済とか市場経済とは言わない。計画経済国家。ツケは後で大きく出る。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75317680W3A011C2DTA000/
５．「なぜ日銀が政策金利を引き上げられないのに住宅ローンは固定金利の方がいいのか？」
昨日、私のtwitterに以下のリツイートが来た。
「日銀が短期金利を上げないなら、変動金利で良いのではないでしょうか？
なぜ固定金利のほうが良いのでしょう？」
以下のように回答した。
「長期金利は中央銀行ではコントロース出来ないのは日本を除く世界の常識ですが（ですから日銀以外に長期金利を政策目標にしている中央銀行はありません）。短期市場金利も日銀は制御不能になると思うからです。政策金利は上げずとも市中金利が暴騰する。こんな事態は日銀創設以来初めてですが」。
６．「大蔵検査・Feｄの検査」
本日の私の履歴書で高橋三井住友信託銀行名誉顧問が大蔵検査のことを書いていらっしゃる。たしかに私が三井信託銀行に勤務していた時、大蔵検査・日銀検査には、全行員がびくびくしていたことを思い出す。JP モルガンに移ってからもFED の検査は毎年あった。数人の米国人がNY から東京に飛んできての検査だった。おおらかなものだった。部下のウスイ嬢をヒアリングに出したら、返ってきて「検査官が『フジマキさんはいつも単純なデリバテイブしか使わないのに毎年大儲けしていて、すごいな～と思っているんですが、どうして複雑なのをやらないんですか？』と聞くので『頭が悪くて複雑なのは理解できないのだと思います』と答えたら、検査官、大うけでしたよ」との報告だった。こら～、ウスイ、まじめにやれ～！だった。