「ドル/円の動きと日米金利差との連鎖が非常に薄れた」「今後の為替マーケットの焦点は通貨の需給」「保有株の評価益で債務超過を逃れている中央銀行など極めて異常」「保有株の評価益で債務超過を逃れている中央銀行など極めて異常」他

2023年11月19日

1、「ドル/円の動きと日米金利差との連鎖が非常に薄れた」

この2~3週間はドル/円の動きと日米金利差との連鎖が非常に薄れたことを確認することとなった。米国債が5.0%を付けた10月23日から先週金曜まで日米金利差(10年)が0.47%縮小したにもかかわらず円高は30銭しか進まなかった。今後、かなり日米金利差が縮小したとしても円高の動きはたかがしれているだろう。もっとも私は今後、日米金利差は再度拡大をはじめ、最終的にかなりの日米金利差は広がると思っている。

 

2,「今後の為替マーケットの焦点は通貨の需給」

日米金利差は今後のマーケットの中心命題ではなくなるだろう。年初にいくつかの週刊詩、雑誌に書いたように、ドル/の決定要因は日米金利差から、通貨の需給(=供給が止まらない円と回収に入ったドルとの希少価値の差)に変わり、最後は中央銀行の財務内容の差になるだろう。日銀に出口がない以上、円の紙屑化は「なるかならないか」の問題ではなく「いつ起こるか?」という時間の問題にすぎない。

 

3.

日銀の令和4年度の保有国債利回りは0.246 %に過ぎない。日銀は今までに無茶苦茶に高い値段で、無茶苦茶な額を購入してきた。単純計算でいえば、このレベル以上の金利になる(=値段が下がる)と評価損が発生することになる。現在の0.75%なら内部留保をかなり上回る巨大な評価損額である。それでも債務超過になっていないのは巨額な株式評価益のおかげだ。中央銀行の財務として極めて異常事態である。そもそも中央銀行たるもの通貨の信任確保のために値段がボラタイルな資産を持ってはいけない。それがオーソドックスな金融論の教えであり、世界の金融界の常識だ。したがって金融政策目的で株を保有している中央銀行は日銀以外にない。しかも日銀は日本一の株主になるほど保有している。

 

4.「米景気が下落すると日本株の下落で日銀債務超過の危機に」

来年になると米国景気が低迷し米金利低下により、日米金利差縮小で円高になるという論者がいる。何をかいわんや、だと思う。米国に景気低迷が起きれば日本株も下がる。米国がくしゃみをすれば日本は風邪をひくとの格言はいまだもって健在だ。長期金利がよほどに下落しない限り、日本株が下がれば日銀は債務超過に陥る可能性が大だろう。なれば円は紙くず化。

 

5.「米国長期債金利が低下しようが、日銀財務は日々悪化し、円はばらまかれ続ける」

「米国長期金利が下がれば、日米金利差は縮小するので円高」と言う人がいるが「日銀/円は何時でも信用が保たれる」と信じている人の妄想。いくら円高になって円の紙くず化が迫っている以上、円高を期待するのは無理筋。たしかに米国長期金利が下がれば、日米金利差は縮小する可能性はあるが、だからと言って日銀の財務悪化が止まるわけではないし、お金のばらまきが止まるわけでもない。私が日銀が危ないと言い始めたから日銀財務は日々悪化しており好転したことはないし、お金を回収出来たこともない。日々お金をばら撒けなければ日本の財政、金融システムが破綻してしまう。それらの破綻なしに日銀財務の悪化を食い止める方法を見出した人もいまだ、誰一人いない。パンパンに膨れ上がった風船の中に水を注ぎこんでいるようなもので、いつ破裂するかわからない。私は日銀が純資産の時はまだ弾性が残っているが債務超過になれば弾性が著しく減じて風船と同じ状態になると思っている。

 

6.「市場金利の下落によって再度、市場金利の引き上げも」

最近の米長期金利の低下は、金利下落を熱望していた人が舞い上がっているにすぎないと思っている。この舞い上がりのせいで長期金利は0.5%近く下落し、FED が歓迎していた市場長期金利上昇による金融引締まり剥落してしまった。これでは政策金利を引き上げなくてはならなくなる。

 

7.「世界的インフレの原因は資産効果」

大部分のエコノミスト、アナリストが今後のインフレ動向のキーファンクターは労働市場の引締具合と分析しているが、私は資産家価格の動向だと思っている。日本のバブルの時と同じ。当時、私は金余りによる資産価格の急騰が狂乱経済の原因だと主張したのにCPIが(円が毎年30円~40円ずつ高くなっていた)ゆえに)低位安定していたがゆえに無視された。しかし、その後、澄田日銀総裁(当時)は、自分の分析謝りをお認めになった。その反省を、皆忘れている。

1980年にお金を回収することによりインフレを収めたボルカ―の分析をも忘れている。私が世界のインフレが簡単には収まらないと主張する理由だ。史上最大にばらまいたお金を回収し終わらないことにはインフレはいつまでも続く。

 

8.「ヘッジファンド、円に対し22年4月以来最も弱気」

昨晩のBloomberg ニュース。「ヘッジファンド、円に対し22年4月以来最も弱気-米CTFCデータ」だそうだ、

短期的な熱狂に惑わされず、ロジカルに考える人なら、普通、そうするでしょうな。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-18/S4AUG9T1UM0W01

 

9. 「JPモルガンCEO、そんなに速いペースでのインフレ収束考えにくい 」

一昨日のBloomberg ニュース。JPモルガン会長で米金融界の論客ダイモン氏いわく「そんなに速いペースでのインフレ収束考えにくい 」そうだ。130%Agree.

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-15/S44VJMT0G1KW01

 

10.「来年の米利下げ観測は『行き過ぎた熱狂』リスク」

一昨日のBloomberg ニュース

ピムコのCIOが来年の米利下げ観測を「行き過ぎた熱狂」リスクと断じたそうだ。130%agree.

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-15/S46A80T0G1KW01

 

11,「ベートーベン 交響曲5番「運命」

昨日は追いかけをしている小泉和弘さん指揮の都響の演奏会(14時開演)@静岡

を聞きに日帰りで。 短時間の「行って来い」は最近のドル/円相場みたいだった。

なじみのある曲ばかり。ベートーベン 交響曲5番ハ短調作品67「運命」、ヴルック「ヴ23 11ァイオリン協奏曲第1番ト単調作品26」他