「英中央銀行の教え」「米国インフレが収まろうが収まるまいが、日銀に出口は無く、日々破綻に向かっている」「評価損の恐怖の他にお金を回収できないリスク」「保有国債の出口は絶望的もいいところ」

2023年11月26日

1.「英中央銀行の教え」

朝日新聞原真人編集委員の11月25日付け「多事奏論」。原さんいわく「日本銀行の貨幣博物館では江戸時代に200超の藩が出したお札に注目した。刷り過ぎて財政を悪化させた赤字藩の存在を知り、いつの世も権力者は紙幣増発の誘惑に流されやすいのだと納得した」 「英中央銀行が昨年、 国民向けに金融入門書を出した。(略)『どうしてお金をどんどん刷ってはいけないの?』という問いにはこんな回答があった。 『紙幣の増発にはおのずと限界がある。 中央銀行が際限なく紙幣を印刷したら、経済のなかにお金が増えすぎてインフレ率が急上昇するだろう。モノの値段はおそろしい勢いで上がり、新しく印刷された紙幣の価値はあっという間に下がってしまう』

https://www.asahi.com/articles/ASRCS5F2XRCPULZU00G.html?iref=pc_ss_date_article

 

2.「米国インフレが収まろうが収まるまいが、日銀に出口は無く、日々破綻に向かっている」

日銀の株ETF購入は2010年以来、最少金額となるペースだそうだ。これをもって日銀が出口に向かっていると解説する識者がいるが、とんでもない。購入額が減ろうが購入する以上、日銀当座預金は増加しお金はますますばらまかれている。出口に向かうとは市中にばらまかれたお金を回収することであり逆方向に邁進中。

 

3,「日銀が出口を出るとはどういうことか?」

「日銀が出口を出る」とは、日銀のバランスシートを量的緩和前の規模に戻し、伝統的金融政策が出来る状態に戻すこと。早急に戻さないと何が問題か?株にしろ長期債にしろ。今後未来永劫にマーケット価格が日銀の購入以上に位置し続ける

ことはあり得ない。市場価格が下がれば日銀は巨大な債務超過になり通貨の信認が崩れ去る。それがゆえに中央銀行が株や長期債を買ってはいかないというのはオーソドックスな金融論では当たり前だった。この金融論の常識を世界で断トツに大破りしているのが日銀である。株や長期債市場が崩れる前に残高を無くさねばならない、しかしその方法がない。

 

4.「バブル崩壊時の株価の動き」

バブル絶頂の1989年の日経225の終値は38,915円、それが2003年4月末には7,972円だ。同じような程度の株価暴落が起これば日銀の財務はとんでもなく悲惨なこととなる。そんなことが起こる前に日銀は保有株を無くさねばならない。しかし日本1の株保有者が売り出しを始めれば株式市場は暴落するだろう。誰も解決方法を見つけていない。

 

5.「評価損の恐怖の他にお金を回収できないリスク」

株にしろ日本国債にしろ保有を無くさなければいかない(=出口を出る)理由は、評価損が生じるリスクがあるとともに、これらを売却しないことには、じゃぶじゃぶにばらまかれたお金が回収できないことだ。インフレが加速しているときにお金を回収することは必須なのに、株も長期債も売れないのなら、お金の回収方法がない。インフレ加速時に何もできない中央銀行など中央銀行の体をなしていない。日本にはもはや中央銀行は存在しない。

 

6.「保有国債の出口は絶望的もいいところ」

日銀が保有株の出口を見つけることはかなり難しいという程度だが、日本国債に関しては、もはや絶望的だ。日本株に関して日銀は、日本一の保有者に過ぎないが、国債に関しては市場のモンスターになってしまった。モンスターの買い手が売りに回ったらどんな市場であれ市場は壊滅的となる(=長期金利は爆騰)だ。それどころか買いの手を緩めただけで大暴落(=長期金利上昇)。

なお、少し古いが私が国会議員の時に日銀に聞いた数字は平成29年度の政府の国債発行額は141.3兆円(新発債+借換債)、日銀の国債購入額は96.2兆円。私がデーラーだった頃は、日銀は国債市場に参加していなかったと言っても過言ではなった。

 

7「ルビコン河を渡った日銀」

ルビコン河とは一度渡ったら逆戻り出来ない川である。そのルビコン河を日銀はほぼ渡り切り、対岸の浅瀬まで来てしまった。戻れるわけがない(=異次元緩和の出口は無い)。私が中央銀行のとっかえ、円の紙くず化、新中央銀行券の発行が不可避、だからドルを保有し、危機に揃えろと警告している理由だ。

 

8.「ルビコン川の手前の浅瀬でユーターンを開始している他国中央銀行」

他国中央銀行は、日銀を「炭鉱のカナリア」とみて日銀を観察しながら、こわごわとかなりの後方、手前の浅瀬に踏み込んだ程度の場所にいた。日銀がやばくなったらすぐUターンしようとしていた。そしてやばさを感じて既にユーターンを開始している(=お金の回収)。お金の回収に入ったドルと今後未来永劫にバラマキが続かざるをえない円では希少価値が著しく異なる、円暴落。

希少価値の出るドルを売り、印刷機で刷れば作れる円を購入する「ドル売り介入」は時間稼ぎの幸洋しかなく、ドルの無駄使いで愚の骨頂。

 

.「世界の若者は財政膨張に反対。しかし日本の若者は?」

日経新聞11月24日のエコノミスト360°視点の中で中空さんは「財政の膨張に懸念を強める声は、日本に限らず世界の若者らに共通している」と述べている。財政膨張は、我々高齢者が残した大借金を返すために、若者が税金を払うためだけに生きていかねばならなくなるのだから、世界の若者が反発を強めるのは当然だ。

しかしながら、日本の若者の中には、「我々が借金返済の面倒を見るから今は『もっと、ばらまけ、もっとばらまけ』と自分たちの首を絞める主張をしている人が多いと感じ驚かざるを得ない。編あ人や理論にごまかされていることに気がつかねばならない。

もっともこのまま紙幣を刷り、ばらまきを続けるならば、貨幣価値が棄損し、ハイパーインフレになり、究極の財政再建が図れるからOKと思っているのかしらん?しかし、それは若者を含め国民には地獄だぞ。

 

10,「仕事が溜まってしまった1週間」

この1週間は遊びまわっていたので仕事が溜まってしまった。今週は一緒懸命仕事をせねば(よってSNSはおろそかになるかも?)。先週火・水・木と新潟岩室温泉へ。金曜日は14時から一橋大のクラス会へ。土曜日は午前中テニス、18時半から某氏のパーテー@都内ホテル。今朝はテニスに行こうとしたが雨で断念。

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11.「大学クラス会」

金曜日の大学ロシア語クラス会は14時に8人が国立駅に集合。まずは文化祭が開かれている校舎を探索。大学の正面近くは文化祭でにぎわっていたが、少し奥に入ると相変わらず静寂な武蔵野が残っていた。一橋大学の環境は抜群だといつも思う。環境は全く変わらない。変わったのは女子学生の数。私の大学時代は全学年720名で女学生はたったの13名。現役で先に入学した高校の女子同窓生を見つけて話しかけようとすると、囲んでいる男子学生の輪の外から、つま先立ちをしてオーイと呼びかけねば話も出来なかった。私が経済学部で「現代経済ⅡC」の授業を担当していた1999年から2012年でも女子学生がえらく増えたなと思っていたが、更に増えた感じだ(もっともよく考えると他大学の応援だったかも?)

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歩いていたら子供連の方から「藤巻先生、あの当時はお世話になりました」と挨拶された。損保に勤める**さんだった。教え子が活躍しているのを聞くのは大変うれしい。

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15時からは矢野前財務省事務次官の講演@インテリジェントホール。

80「財政は楽観できない状態」との講演かと思ったら「一橋と私」との題目で学生時代の思い出話だった。しかし、それはそれで、かなり面白かった(面白いとの表現は失礼なのかもしれないが)。私が議員の時から矢野さんは気骨のある官僚だと思っていたが、Yesマンから脱皮したきっかけの話他、現役学生には非常にためになったと思う。一緒に聞いていた我がクラスメートたちも絶賛だった。又「あれだけ偉くなったのに、腰の低い態度は見上げたものだ」との評も。

なお、矢野さんが入場してきたとき、目が合ったら、目礼してくださり、講演中には「本日は藤巻先輩がいらっしゃるので」と名前までお出しくださった。光栄でした。

16時からは4名が加わり、結局32名中12名の参加のクラス会となった。授業に出ていなかった人ほどクラス会には参加するという法則も私は見つけ出している。大学を卒業した後の最初のクラス会で、高校同窓の中野君(通産省入省)に私が「あれ~、ナカノ、どうしてここにいるの?」と聞いたら中野君曰く「何言ってるんだ。オマエは授業に出ていなかったから知らないかもしれないが、オマエとオレとは同じクラスだったんだよ」、飲み会では「去年だったか文藝春秋でフジマキという名の人が書いた『円は紙くず化』という文章を読んでショックを受けたけど、あのフジマキって藤巻だったのか!」などの会話をしながら楽しい2時間半はあっという間に過ぎた。しかし国立は遠いな~。特に飲んだ後は。

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12「あまりの楽観論」

財務に一番詳しいといっていいはずの矢野財務次官が職を賭してまで文藝春秋に「財政の危機」を訴えたのに全く無視され、2年もたたないうちにこれほどの規模の補正予算が組まれるのはなぜか?あまりの楽観論にあきれるばかり。