「今後の為替予想」「浮かれすぎ・願望マーケット米国債市場に引きずられたドル/円」「大勝負をした結果がたった5億9千万円の利益?」「澄田日銀総裁(当時)の反省が参考になる」他

2023年12月03日

1.「今後の為替予想」

今後の為替予想に関して昨日、渡邊美樹さんとラジオで対談しましたが、ラジコでなくとも「ニッポン放送 Podcas」t」でPCまたはスマートフォンで無料で聞くことができます。

https://omny.fm/shows/jolf/playlists/yume5

 

2,「浮かれすぎ・願望マーケット米国債市場に引きずられたドル/円」

先週金曜日、米国10年物金利が4.198%まで下落した。現状、5.25 %~5.5%の短期政策金利が近未来にかなりのスピードで引き下げられない限り、さらなる米10年債の金利下落はあり得ない。日米金利差による短期的な円高は、もうおしまいということ。今週以降、円高容認が消滅し、円安/ドル高がまた大々的に始まると思っている。

 

3.「先週金曜日の米長期金利下落は市場の願望の結果に過ぎない」

パウエルFRB 議長のハト派的発言で長期金利が下落したようだが、発言後30分くらいは債券市場は発言をどう解釈していいかわからないとの動きをしていた。(=上がったり下がったり)30分後くらいからハト派的発言と断じたようだが、それほど明確なハト派発言ではない。「政策金利を下げて欲しい」との願望が勝っただけに過ぎない。もっとも金利差など今後はドル/円の将来を見極める要素としてはマイナー要因だとは思う。今後は「ばらまかれ続け価値が希薄化する」円と「回収の始まったドル」の差が重大要因になる。そして他国中央銀行に比べて格段に悪い日銀財務が焦点に。

 

4.「大勝負をした結果がたった5億9千万円の利益?」

今回の米長期金利急落は、かって債券王と呼ばれたビル・グロース氏が、債券に強気に転じ、大勝負をしかけたとのニュースが引きがねだったと理解していたが、12月2日のbloomberg記事「ビル・グロース氏巨額利益」を読んでずっこけた。びっくり仰天。こんなに長期金利が急落して大勝負をした結果が、たった5億9千万円の利益?何、それ?こんな人に債券市場が動かされていたの?ソロスのファンドマネージャーだったドラッケンミラー氏のファミリーオフィスやヘッジファンドオーナーたちの個人資金だったら、これだけマーケットが動いたのなら、5億9千万“円”の利益ではなく5億9千万“ドル”の儲けをあげても、きっと少額の利益を獲得した、と書かれるだろうに。私だってJPモルガンン時代は(会社のお金とはいえ)ディーリングで1日に30億円儲けたり30億円損したりの毎日だった。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-01/S4ZN8KT0G1KW01

 

5.「資産効果で米国経済の腰折れはない」

NY ダウの金曜日終値は$36,245.50と今年の最高値を更新しつつ、史上最高値(確か$36,500くらい)に迫りつつある。金融緩和観測が出るとすぐ株価が上昇するのでは、米国経済は下落などしない。金余りのせい。1985年から1990年の日本が狂乱経済だったのは土地・株・絵画等の資産価格の狂乱につきる。今の好調な米国経済はそれと全く同じ。当時の日本は円が毎年30円から40円ずつ強くなっていたから資産インフレだけでインフレは起こらなかったが、今の米国ではドルがそれほど強くなっているわけではない。資産インフレだけでなくインフレも今後再び激しくなろう。ボルカーのサタデイ・ナイトスペシャルのようにじゃぶじゃぶになっているお金を回収し資産価格を下落させないことにはインフレも資産インフレも収まらない。なお日銀はお金の回収はやれば日銀自身も政府も金融システムも終わってしまうから回収不能。円暴落、ハイパーインフレの道へ。私が日銀も円も、もう詰んでいるという理由。

 

6.「澄田日銀総裁(当時)の反省が参考になる」

バブルの後、日銀の澄田智総裁が反省をされている。氏は「資産価格だけが急騰して消費者物価指数が上昇しなかったというのは日本では初めてだったし、世界でもほとんど例がなかった。したがって、日銀は消費者物価指数ばかりに目を取られて資産価格の急騰に目を向けなかった。それで引き締めが遅れた」(〈真説〉バブル 宴はまだ、終わっていない」(日経BP社)FRB も澄田氏の反省を尊重しなければならない。資産インフレによる資産効果(株や不動産を保有している人がお金持ちになった気になり、お金を使う。)は強烈。今の米国で、緩和トーンを出すたびに株価が史上最高値に戻るようではいつまで模型機は落ち込まず、インフレはいつまでも続く。

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7.「逆イールドカーブは単なるマーケット参加者の予想」

前回のブログで「逆イールドカーブの出現は景気悪化の絶対的事実ではない」と書いたが、後半部分を削った原稿を出してしまっていたのに気が付いたので、全文を再掲いたします。

昨日、以下のリツイートを私の Xにいただいた。

「長期のほうが短期よりも安いのは、長期的なリスク、景気減速があると見てるってことでしょうか??短期ではそんなすぐに景気減速はないと市場は見てるのでしょうか?? なんか不思議な感じです」

以下のように回答した。

「長期のほうが短期よりも低い(=逆イールドカーブ)」というのは「景気が将来悪化すると」という歴然たる事実の証拠ではありません。「マーケットが、将来景気が悪化するとみている」との単なるマーケット予想を表しているにすぎません。当然間違いがあります。長いディーりング生活で、逆イールドが激しい時が2度ほどありましたが純イールドに戻ると確信してイールドカーブスワップで大儲けしました。

逆イールドが発生する理由を説明します、今日から来年の応当日までの1年間の金利が2%だとします、マーケットが今後景気が悪くなると予想し、来年の今日から再来年の応当日までの1年間の金利は今の1年間より低い1%と予想したとします。すると今日から1年間の金利は1%、今日から2年間の金利は1.5%となり((2%+1%)÷2)(単利計算)、逆イールドカーブが発生するのです。これからお分かりのように逆イールドカーブの発生したら絶対的に景気が悪くなるということではなくマーケットではそうよむ人が多いというだけの話です」

 

8.「私の履歴書」

日経新聞の私の履歴書。今回は倍賞千恵子氏。まだ3回目だが。前回の黒田前日銀総裁に比べて格段に面白い。黒田氏は最初の2回くらいと最終回を読んだが、最終回の以下の記述には頭にきた。「一方で民間部門からは長年の金融緩和による副作用の指摘もあった。だが、デフレを脱却して物価安定を実現するための有効な代案はあっただろうか。私なりに国益を追い、最善を尽くしてきたつもりだ」―>代案はあったが、黒田氏は耳を貸そうとしなかっただけ。私は当初から、『効果も副作用がないことも実証されている伝統的金融政策に固着せよ。歴史的に必ずハイパーインフレを起こしている財政ファイナンス(=異次元緩和)は絶対ダメ。やるなら出口があることを示してから』と強く主張していたのにそのような実務家の意見を無視した結果ではないか?なお伝統的金融政策では景気が悪くなったら金利を下げるのが常識。私の主張はゼロ%で景気が浮上しなかったら▲1%にすること。それでもだめなら▲5%、それでもだめなら▲10%とするという政策だった。黒田日銀のマイナス金利政策とは180度方向が違う。異次元緩和を始めた後は、私の主張した政策を取ることは不可能。黒田日銀のマイナス金利政策は日銀当座預金を極“大”化する政策であり、私の主張するマイナス金利政策は日銀当座預金を極“小”化する政策である、なお私と同じ主張を2~3年前から、ハーバード大のケネス・ロゴフ教授が始めている。

 

9・「CDS レートが低くても財政が健全とは言えない」

昨日、以下のリツイートが私のX に来た。

「日本の財政はとても安全で、世界一のアメリカよりも破綻率は低い。これが事実。破綻危機を煽って人々を不安にさせてる詐欺師が貴方。一族もろとも詐欺師扱いされればあなたは諸悪の根源。そろそろやめなよ。(クレドットデフォルトスワップ(CDS)の国ごとのレートが添付されている)」

以下のように返信した。

「偉そうに言う前に基本のキから勉強しましょうね。恥を晒すだけ。この主張は高橋洋一氏が国会で同じようなことを主張し私が追及したら論旨を変えて逃げた。それ以来、彼はその主張を取り下げたのでは? CDSは国がデフォルト起こした時にだけ保険金が出る取引。ハイパーインフレになっても保険金は払われない。日本は財政ファイナンス(国の歳出を中央銀行が紙幣を刷ることによって賄う)大規模に始めてしまったから政府が資金繰倒産(デフォルト)するわけない。したがってCDSレートは低い。しかし紙幣の刷りすぎでハイパーインフレのリスク。そういうリスクがある国のことを財政が健全な国とは言わない」

 

10.「バランスシートはバランスシートしていないのか?」

昨日、「CDS レートは低いから日本財政は健全」と主張する氏から、再度、以下のリツイートが私のX に来た。

「バランスシートがバランスしてる事実も、破綻率がアメリカの半分である事実も、アナタにとっては恥なんですね。そりゃ破綻ビジネス上がったりだし。大変な人生だね、死ぬまで嘘吐き続けるのは」

以下のように返信した。

「バランスシートがバランスしているのは当たり前。借方、貸方がバランスしていないものはバランスシートとはいわない。昔、大蔵省で後にえらくなった人が入省直後の研修終わりのテストでどうしても貸借が合わず誤差脱漏という項目をいれて貸借バランスさせたと言う話がある。頓知には感心するが、そういうのはバランシートとは言わない。もう恥をさらすのは、おやめになったら?」

 

11.「バランスシートがバランスしているから国の財政派は全化?」

またまた、同じ人が絡んできた。

「散々債務超過がどーたらこーたら喚き散らしてきた割に、『バランスシートがバランスしてるのは当たり前』という自己否定入っちゃうんだね。策士策に溺れるとはこのことか」

以下のように返信した。

「もう恥さらすだけだからやめなさいと言っているでしょうが。なんどいったらわかるのか?多くの企業は純資産ですが、彼らのバランスシートは、繰り越し利益剰余金でバランスさせている。債務超過の企業の場合は繰り越し損失でバランスされている。貸借バランスしているからバランスシート!債務超過でもバランスシートはバランスする」

 

12.「5時です」

一昨日、以下のリツイートを私のX にいただいた。

「日誤飲?日銀理伯父?大薮利?」

以下のように返信した。

「室令.5時です」