「財政は限界」「本来、税収の増加や特別会計の剰余金などは赤字国債の発行を減らす資金に全てをあてるべき」「高橋洋一氏とのバトルを所望されたが、かってやったことがある」他

2023年12月23日

1.「財政は限界

本日の日経新聞。慶大・白井さゆり教授いわく「日本の財政は限界を迎えており」

「いずれ来るであろう次の危機に備える必要がある」。元日本銀行政策委員会審議委員だったがゆえに「日銀も限界を迎えている」とは言えないのだろうが、危機感は相当お持ちのはず。限界を超えた財政の危機を先送りするために「異次元緩和財政ファイナンス」をしてしまった日銀も、もはや限界を超えている。あとはいつ破裂するかだけ。円は紙くず化。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2247S0S3A221C2000000/

 

2「本来、税収の増加や特別会計の剰余金などは赤字国債の発行を減らす資金に全てをあてるべき」

同じく本日の日経新聞。野村証券・西川昌宏チーフ財政アナリストの「本来、税収の増加や特別会計の剰余金などは、恒常的に発行している赤字国債の発行を減らす資金に全てをあてるべきだ」も正しい。ただ時、すでに遅し。財政危機を異次元緩和(=財政ファイナンス)で先送りしてしまった以上、日銀の債務超過によるハイパーインフレで、国民(債権者)から国(債務者)への実質的富の移行という国民にとっては悲惨な財政再建の道しか残っていない。財政規律を無視したツケ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2247S0S3A221C2000000/

 

3,「インフレで通貨の実質的価値が毀損されても、債務者は額面通りの金額を返済でOKか?」

昨晩、以下のリツイートを私のXにいただいた。

「インフレで通貨の実質的価値が毀損されても、債務者は額面通りの金額を返済すれば良い、と言う昭和36年の判例があります。なので元本部分については当初の契約の通りに返済していけば良いです。

住宅ローンを固定にすべきか変動にすべきかですが、利息制限法による上限があるので、もしこの規制が変動金利借入の金利の修正にも適用されるなら、上昇には上限があり、うなぎ上りで上昇はしないことになります。実際に裁判にならないと、結論は判りません」

以下のように返信した。

「極めて合理的な判決ですね。現代は当時以上に情報が取得しやすくインフレのリスクを学び取ろうと努力すれば得られますし、ドルを買うなどヘッジ手段もあります。固定金利に変更することもできます。学び正しい判断をした人と、何をせずインフレなど来ないと馬鹿にしていた人に差がつくのは当たり前」

 

4.「政治家に正しい経済観念や倫理観等を持ち合わせている人はどのくらいいるか?」

昨晩、以下のリツイートを私のXにいただいた。

「感覚として、政治家に正しい経済観念や倫理観、為政者としての哲学的思想を持ち合わせてる方はどれくらいいる印象ですか?」

以下のように回答した。

「身近なところでは維新の浅田均先生がそうでした。あと共産党の大門さんは今の財政・日銀の惨状をお分かりでしたね。私は大門さんに「大門さんが共産党でなかったら友達になれたんだけどね」と申し上げたことあります。自民党の渡邉美樹さんは党は違っても戦友でした。河野太郎さんも理解されていました」

 

5.「高橋洋一氏とのバトルを所望されたが、かってやったことがある」

昨晩、以下のリツイートを私のXにいただいた。

「藤巻さんと反対のことを言ってる元財務官僚の高橋洋一氏とどこかでバトルしてほしい」

以下のように返信した。

「昔やりましたよ。参議院時代、調査会が高橋氏をお呼びし、彼の持論を開陳いただきました。その後一人ごく短時間ずつしか割り振りがありませんでしたが質問をしたわけです。「日本の財政が大丈夫なのはCDSが低いのを見れば明らか」とおっしゃるから「CDSはハイパーインフレのリスクを勘案していませんけど」と質問したら、頓珍漢な答えをされていましたが。今、本業が忙しくて探し出す時間が無いのですが、いずれ、探し出して参議院の公式議事録をお見せいたします」

 

6「高橋洋一氏との参議院でのバトル」

「高橋洋一氏とのバトルの参議院の公式議事録を後で探し出します」とX のリツイートに書いたら、すぐ探し出してくださり教えてくださった方がいらした。ありがとうございました。

第189回国会 参議院 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第3号 平成27年4月15日

藤巻健史先生

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118914332X00320150415/31

高橋洋一先生

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118914332X00320150415/32

 

7,「高橋洋一氏との参議院でのバトル説明」

参議院の議事録を読んでいただくとわかりますが、高橋洋一氏は財政が大丈夫という理由をCDS の低レートで説明していたのに「私がCDSはハイパーインフレを反映していない」と質問したら「CDS の話は、これは話のやつに使っただけでなので、もし財政残高で説明しろと言われたら」と自分の誤りをごまかして逃げています。しかも、その逃げが「もし財政残高で説明しろと言われたら」との逃げですが、私は「財政残高で説明しろ」などとは要求していません。その逃げも「普通は債務残高じゃなくてネット債務残高で計算するんですけど」と説明されていますが。これまたインチキです。学者も実務の世界でも普通は債務残高で判断します。

ネット債務残高で財政の健全性で判断するとの主張は森永卓郎氏と同じですが、それは私がいつも主張するように間違いです。昨日ご紹介した東洋経済誌での森永卓郎VS土居丈朗慶大教授の紙上討論で、土井教授が明確に否定されています。

又プライマリーバランスの件ですが、私はドーマーの定理からすると基礎的財政収支が黒字化しても長期金利>経済成長率ならば借金残高は拡散してしまう。今の低金利は日銀の国債爆買いのせいである以上、日銀が爆買いを辞めれば長期金利が上昇し、長期金利>経済成長率となり、財政は決して安心な状態ではない」と質問したのに全く答えになっていない回答をされました。

最後にインフレ目標さえあればハイパーインフレにはならない、というようなことをおっしゃっていますが、(再質問する時間はありませんでしたが、もし時間があれば)「日銀の財務が劣化していったとき、どうやってインフレを抑える?方法は?目標さえあれば目的が達成されるなら私は、今頃東大卒だ」と言い返すつもりでした。

なお、この時は、高橋氏が準備された原稿を基に意見陳述をされた一方、私は、(持論とは言え)、その場で作った質問です。