「債務超過に陥った中央銀行の国では多くのケースで高率のインフレーションが発生」「マイナス金利は、日本でも昨年中に消滅」他

2024年01月03日

1,「債務超過に陥った中央銀行の国では多くのケースで高率のインフレーションが発生」

20年前の2003年10月28日の日本金融学会で当時日銀の審議委員だった植田現日銀総裁は「(債務超過に陥った中央銀行は)現実には多くのケースで物価安定の目標を追求することが困難になり、高率のインフレーションが発生している」と講演されている。その危機に直面している日銀と日本経済と円。日銀が利上げを出来ない理由。

 

2「植田氏は中央銀行の債務超過の怖さを熟知している。だから金利を引き上げられない」

また同じく2003年10月の日本金融学会で植田現日銀総裁は「中央銀行の財務基盤が悪化することは、物価安定だけでなく、政府の銀行、決済システムの円滑性の維持という中央銀行の役割を脅かすことにもつながるリスクがある」とも講演されている。植田総裁は問題を熟知。インフレが加速しても日銀が債務超過になるのを恐れて金利を引き上げられない理由。円安は加速する。

 

3.「私と危機意識をずっと共有してきた植田日銀総裁」

植田日銀総裁は東大教授時代の2015年8月6日に日経ヴェリタスに「近づく国際買いオペの限界点」という論考を書いていらっしゃる。植田教授(当時)は「財政の維持可能性が明らかに懸念されるような事態になると、民間の投資家は驚くような高金利でないと国債を買わなくなる。そうなれば政府は中央銀行に国債購入を強制するようになり、インフレは止まらなくなる可能性が高まる」と書いている。この論考発表後、8年、日本の財政はコロナ期を経てさらに格段に悪化し日銀は国債をとんでもなく買い増してしまった。植田教授が「買いオペの限界」と記した当時の日銀の保有国債額は280兆円前後、現在は約590兆円。それが私が日銀は絶望的な状況という理由。危機が分かっている植田氏は私以上に頭を抱えていると思う。インフレが加速しても日銀が債務超過になるのを恐れて金利を引き上げられない理由。円安は加速する。

 

4.「マイナス金利は、日本でも昨年中に消滅」

昨年末、以下のリツイートを私のXにいただいた。

「マイナス金利を0%にすると、当座預金の付利が0%と0.1%になるので、0%を超えるのが妥当は予想かと思いました。いかがでしょうか?」

以下のように回答した。

「マイナス金利解除ではO/N無担保 コールレートはゼロ%になるだけ。今、0%を超えるお金を借りる金融機関が存在するのは、日銀当座預金にたった30兆円程でもマイナス0.1%の金利が適用されているから(お金が余り過ぎている銀行へのペナルティーレート)にすぎない。お金が余り過ぎている銀行は日銀にマイナス0.1%払うより、他行にマイナス0.01%で貸し(マイナス金利なので0.01%を払う)損失を少なくしようとする。一方、借りる方は(まだぺナルティー枠まで余裕があるので他行から借りて0.01%を他行からもらい、それを日銀当座預金に置いてゼロ%か+0.1%を貰う。いわば金利裁定をしている)

このマイナス0.1%のペナルティー金利を廃棄(これをマイナス金利政策の解除と日銀はまやかしの言葉で世を欺いている)と上記の金利裁定を働く金融機関は消え失せる。銀行間市場で現在お金の足りない銀行などないから金利を払ってもお兼を借りようという金融機関はいなくなる。したがってO/N無担保コールレート(世界の金融界でいう政策レート)はゼロ%に張り付く。日銀の言葉のごまかしを理解していない(あまりに世界の金融用語と異なる使い方をしているから)世界の金融マンは、エ、マイナス金利解除で政策金利を上げても、たったの0.01%しか上がらないのと驚く。反動がすごいと思う」