「ゴルディロックス相場の反転リスク」「マイナス金利解除時期の予測をめぐる憶測の滑稽さ」「金融、実体経済に影響するのは市中金利。政策金利は市中金利を誘導する手段に過ぎない」他

2024年01月10日

1.「世界の金融市場、ゴルディロックス相場の反転リスク-HSBCが警鐘 」

昨晩のBloomberg ニュース。金利マーケットが多少なりとも熱狂しすぎており、反転リスクによるドル高の可能性がある点に、私も同意。もっともご存知の通り、私の考えるドル高の要因においては、これはマイナーな要因。私がドル高円安を考えるメインの理由は回収され始めているドルと未来永劫ばらまかれ続ける円との希少価値の差。そして最終的には中央銀行の財務の健全性の差。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-09/S6ZYLRDWRGG000?srnd=cojp-v2-markets%40business

 

2「欧州各国、賃上げスト長期化の兆し インフレ圧力再燃も」

1月4日の日経新聞「欧州各国で待遇改善を求める労働者のストライキが長期化する兆しが出ている。(略)賃上げの拡大でインフレ圧力が再び高まる可能性があり、欧州中央銀行(ECB)は労使交渉の行方を注視する」。

欧米では賃上げー>インフレ加速ー>賃上げー>インフレ加速という悪循環を心配している。一方、日本は賃上げによる好循環を期待している、真逆。本当に好循環で悪循環になることは無いのか?

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25CWC0V21C23A2000000/

 

3.「利上げを行わないエクスキューズに上昇しない労賃を利用しているにすぎない」

たとえサラリーマンの給料が上がっても次は自営業者の収入が上がっていないとの理由で日銀は利上げをしないのではないか?

欧米中央銀行は、一昨年、昨年と、労賃上昇<インフレ率なのに果敢に利上げを行ってきた。一方、日本は労賃上昇>インフレ率にならないと利上げを行わないそうだ。インフレ対策が遅れコントロール不能にならないのか?

今年は政府の意向に沿って上がったとしても来年も賃上げが継続するか疑問だ。

そもそも終身雇用制の日本では賃上げが起こりにくい。

金利を上げない本当の理由は、上げれば日銀が自死してしまうからのはずなのに、利上げを行わないエクスキューズに上昇しない労賃を利用しているにすぎないと私は思っている。

 

4.「賃上げがあれば利上げをするのか?」

たとえサラリーマンの給料が上がっても次は自営業者の収入が上がっていないとかの理由で日銀は利上げをしないのではないか?利上げが出来ない日銀が賃上げ条件をエクスキューズに使っているに過ぎないと思っている。

 

5「マイナス金利解除時期の予測をめぐる憶測の滑稽さ」

マイナス金利政策解除では、市中金利は全くと言ってもいいほど動かない。マイナス0.01%(注:マイナス0.1%ではない)の市中金利がゼロ%と0.01%上昇するに過ぎないからだ。預金金利、貸出金利、住宅ローン金利、スワップポイントに影響を与えるのは市中金利であるからして、政策金利であるマイナス金利解除では世の中、何も変わらないのだ。しかしその後のゼロ金利解除となると話は別だ。その点を理解していない評論家やマスコミの日米金利差議論は非常に滑稽に聞こえる。以下の1月5日の日経新聞が分かりやすく書いている。

「賃金と物価の好循環に自信を持てるなら年前半にもマイナス金利政策の解除を決断するとの見方が濃厚だ。その後の焦点は利上げを続けられるかに移る。

そのうえで、『マイナス金利の解除』と『その後の利上げ』という2段階の瀬踏みを求められる」「だが、市場では年末の段階でも政策金利は0.1%に満たない水準にしか上がらないと見込む。利上げ幅を0.25%とすれば、1回の利上げすら5割も織り込んでいないことになる。ここに市場の波乱の芽がある」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK28BLM0Y3A221C2000000/

 

6「金融、実体経済に影響するのは市中金利。政策金利は市中金利を誘導する手段に過ぎない」

上記の1月5日の日経新聞が、『マイナス金利の解除』と『その後の利上げ』とは別物であることを分かりやすく書いている。しかしながら「だが、市場では年末の段階でも政策金利は0.1%に満たない水準にしか上がらない」と見込む」の記述は疑問。私なら「だが、市場金利は年末の段階で既にマイナス0.01%と市中にはマイナス金利は既に存在しない。マイナス金利政策解除では市中金利は0.01%とシミ程度にしか上がらない」。金融、実体経済に影響するのは市中金利である。政策金利とはその市中金利を誘導する手段でしかなくそれ自体では金融、実体経済に何も影響を与えない」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK28BLM0Y3A221C2000000/