「日本人の個人が買うオルカンは為替ヘッジ無しだが日本株を買う海外勢は為替ヘッジ付き」「株価が史上最高値圏にある時に金融緩和への方向転換などとんでもない」他

2024年01月22日

(ここに述べる意見/分析は私が所属する政党の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

 1.「日本人の個人が買うオルカンは為替ヘッジ無しだが日本株を買う海外勢は為替ヘッジ付き」

木曜日深夜、以下のリツイートが私のX にきた。

「藤巻さん、オルカン人気は円安要因として囃すけど、「海外勢『本気』映す大量日本株買い越し 1月2週1.4兆円」(日経新聞)というようなニュースはスルーなんだよなあ。 まあ、議員復帰でお忙しいんでしょうけど。もっとも、日経は日本株高も円安要因だと言ってるけど」

以下のように返信した。

「日本人の個人が買うオルカンは為替N Oヘッジだからドル買い要因。日本株を買う海外勢は為替ヘッジ付きだろうから、為替にはN Oインパクト。これだけ日米金利差があると、海外勢が為替ヘッジをしなければ、逆キャリーで毎日損が増えてしまうのだから、よほどの円高が期待されないのならばヘッジをするのが当たり前。よほどの円高が期待されるなら、日本株など買わない。ちなみに表にある日本株の先物買は証拠金分しか円を必要としないのだから為替にはほぼ無関係」

 

2.「株価が史上最高値圏にある時に金融緩和への方向転換などとんでもない」

私の認識が間違っていなければ、先週金曜日の米国ではニューヨークダウとS&P 500がともに史上最高値を更新した。指数で取引している人はもちろん一般的にいって、米国人は皆が儲かっているということ。401k等のおかげで米国人は日本人よりよほどに株を持っているから、この史上最高値の資産効果(お金を持っている人たちが金持ちになったつもりになり、消費を増やす)は相当に強烈。資産価格が経済にものすごい+要因として働くことは日本の1985年から90年のバブルが証明している。当時、日本は消費者物価指数が0.5%ほどでしかなかったにもかかわらず、株と土地の高騰で狂乱経済となった。

そこで引き締めが遅れたのが失われた30年から40年をもたらした。この経験から推測するに株価が史上高値圏にあるときにFRBが金融緩和に転じたら米国もものすごい悪性インフレと狂乱経済を招いてしまう。株価の高騰はお金のばらまきすぎによる。お金を回収しないことには米国のインフレも沈静化しない。米国金利はより高くより長く続くだろう。日本は既に米国とは段違いにお金をばらまいている上に、今後ともばらまき続けざるを得ないのだから今後米国以上のインフレを経験していくことになるだろう。最悪なことにF R Bと違って、日銀はインフレをコントロールする手段を失っている。世界ダントツの異次元緩和による日銀財務の悪化のせいだ。私がハイパーインフレ(=円の紙屑化)が来ると言う理由。ドルを買って備えるに限る。

 

3.「澄田元日銀総裁の懺悔―消費者物価指数ばかりに目を取られて資産価格の急騰に目を向けなかった」

NY ダウとS& P500が史上最高値を更新しているときの金融緩和への転換など、とんでもないことだ。バブル当時の日銀総裁の「資産インフレを見落としたのは間違いだった」との懺悔を思い出すべき。このような時に、もし金融緩和をしてしまえば、経済狂乱/悪性インフレが再燃し、取り返しのつかない事態に墜ちる。FRBの幹部は充分に認識していると思う。当時の日銀総裁・澄田智氏は「資産価格だけが急騰して消費者物価指数が上昇しなかったというのは日本では初めてだったし、世界でもほとんど例がなかった。したがって、日銀は消費者物価指数ばかりに目を取られて資産価格の急騰に目を向けなかった。それで引き締めが遅れた」との反省を「〈真説〉バブル 宴はまだ、終わっていない」(日経BP社)の中で述べている。

 

4.「最近の株価上昇、長期金利低下を考えると追加利上げの可能性を排除すべきではない」

昨晩のbloomberg 記事。いわく「FOMCが利下げに慎重であることは、歴史も証明している。1970年代、インフレが本格的に収束する前に緩和政策を打ち出した。これは、米国で最も偉大なセントラルバンカーと広く認識されているポール・ボルカー氏でさえ、景気が軟化した1980年に犯した過ちで、その後に方向転換し、米国をより深刻な景気後退に追い込むことになった。

アトランタ連銀のボスティック総裁は18日、当局が政策金利を引き下げ、その後にインフレ率が上昇した場合に再度利上げを余儀なくされることが最悪の結果だと発言。『そうしたアップダウンや行きつ戻りつのパターンを望まない』と語った」

「多くの当局者は、インフレ再加速のリスク、ひいては再利上げの可能性は低下したと考えている。しかし、利下げへの期待から債券および株式相場が上昇しているため、タカ派のメンバーはこのガイダンスを放棄したがらないかもしれない」  「ダラス連銀のローガン総裁は6日、『ここ数カ月の金融状況の緩和を考慮すれば、追加利上げの可能性を排除すべきではない』と語っている」―>少なくともローガン総裁をはじめ、FRB のタカ派のメンバーは「資産インフレ」」の強烈さを理解している。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-21/S7LRJ2T0G1KW00?srnd=cojp-v2-markets

 

5.「日本の財政金融政策はどうあるべきか?」

昨日、以下のリツイートが私のX にいただいた

「先生のご見解をこちらで拝読させていただいております。では、日本の財政・金融政策はどうするべきか、ここからの巻き返し案を先生に期待されていらっしゃる方が多いかと思います。 是非、現場の批判のみならず、具体的・建設的な巻き返しのご提案をいただけると幸甚です」

以下のように回答した。

「日本の財政金融政策はどうあるべきか?に関してはこの20数年間、いやと言うほど実務家の立場から発言しております。本、新聞その他にも書いて参りました。そのあるべき姿から全く逆の方向の政策(財政規律無視、異次元緩和と言う財政ファイナンス)に20年以上政府、日銀が邁進してきている以上、もう巻き返しは不可能と言っているのです。きっと市場の暴力と言われる事態を経て日本はどん底から再スタートすることになるだろうと思います。市場の暴力と人びとは表現するでしょうが、これは長い間の政策ミスという人災です。ならば国民は早めにそれに備えたほうが良いのではないかと警鐘を鳴らしているに過ぎません。もちろんその警鐘を聞くか聞かないかはご自身の自由です。この期に至っては、大混乱時にいかに将来の青写真を描けるかに、日本の将来はかかっていると思っています。すなわち世界最大の社会主義国家から真の資本主義国家への転換です」。

 

6,「債券の供給増加が長期金利押上げへ」

18日のBloombergニュース。「債券の供給増加が世界的に利回り押し上げへ-ゴールドマン 」とのこと。―>そうでしょうなぁ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-18/S7FS3DT1UM0W00?srnd=cojp-v2-markets