1.「逆民営化」
3月9日の日経新聞「日銀ETFの含み益34兆円 株高で過去最大、活用策を議論」との記事。良く書かれているが、非常に多くの問題が浮き上がる。
最大の問題は「市場では政府系金融機関やファンドといった外部機関に日銀が保有するETFを移し、現物株式に転換した上で配当金を公的分野への投資に充てる案や国民へのETF配布などが取り沙汰されている」との記述。何だ、それ、逆民営化ではないか?長い歴史を経て資本主義国家になるために国営企業の民営化を進めてきたはずなのに、一気に逆戻りどころか社会主義国家へ一直線。
株、長期金利は日銀がモンスターとなりコントロールし(注・伝統的金融論では日銀がコントロール出来るものは短期金利としている。長期金利をコントロール出来ると考えているG20の中央銀行で日銀のみ。管理しようとして爆買いをするとハイパーインフレになる)。為替はルール違反の為替介入で財務省が管理しようとしている(これは失敗するだろうが)。さらには日本最大の株主が政府機関になるというアイディア。計画経済そのもの。社会主義国家(計画経済)が資本主義国家に負けるのは必然。円が安くなるのも当然。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0476Q0U4A300C2000000/
2,「一度でも売りオペでばらまいたお金を回収すれば評価損が実現損に」
3月9日の日経新聞「日銀ETFの含み益34兆円」で本質をついている記述部分は「念頭にあるのは、マイナス金利解除後の利上げ局面への備えだ。利上げで金利が上昇すれば、日銀が保有する国債の価格は下落し、多額の含み損が発生する。
国債を持ち続ければ損失にはならないが、日銀が量的引き締め(QT)に踏み出した場合は含み損を抱えた国債の売却で実損となる可能性がある。」との記述。
売りオペを下債権だけが実現損に変わるわけではない。先週木曜日の参議院予算委員会で私が質問したとおり、現在「償却原価法だから債務超過は大丈夫」との日銀の抗弁は、インフレ対策のためにお金を吸収(=保有国債の売りオペ)を行った途端、全保有国債が、評価損から巨大な実現損に変わる(会計基準)。
それが怖くて日銀は国債売りオペが出来ない。インフレが来てもお金をバラマキ続ける。他国はランオフ(満期国債を買い替えず償還させる)や売りオペをして、ばらまかれたお金を回収しているのに、日銀はランオフさえできない。インフレが来てもお金雄ばらまき続ける(=BS を拡大し続ける)。インフレが制御できない日銀はもはや中央銀行とは言えない、と私が言う理由。
3.
3月9日の日経新聞「日銀ETFの含み益34兆円」では「ETFは国債と違って満期がなく売却しない限り保有量は減らない。このため市場ではETFの扱いが注目されてい」とあるが、国債に関しても、日銀はランオフ(満期国債を買い替えず償還させる)さえできない。日銀が買い替えなければ、満期分の償還原資が不足し、政府がデフォルト(満期国債の現本返済資金が不足する)を起こすからだ。その点、株よりも保有国債残高の減少可能性の方が比較にならないほどの大問題。