(ここに述べる意見/分析は私が所属する政党の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)
1.「マイナス金利解除で為替は円安にすっ飛ぶかも?」。
「日銀、マイナス金利解除へ 賃上げ拡大で17年ぶり利上げ」というのが今朝の日経新聞の1面トップ記事。このニュースが通信社からリーク(?)された後、逆に円安が進んだ。ひょっとすると「マイナス金利政策解除」の正式決定でドル円が急激にドル高円安にぶっ飛ぶのかも。当然と言えば当然だ。政策金利の変更はON FED 金利(米国)やON コールレート(日本)という市場金利の変更を誘導するために行うモノ。しかし誘導するターゲットのON コールレートは既にほぼゼロ%(昨日はマイナス0.005%)。マイナス0.1%の政策金利を解除したところで誘導ターゲットのON コールレートは0.005%しか上昇しない。こんなのを利上げとは言わない。マイナス金利解除などと実質的意味のないことをマスコミや一部ド素人評論家が騒いでいただけ。その事実を知った海外勢が大慌てで円を売ることになる。
ただし政策金利のゼロ金利からの解除になると市場金利もその上げ幅通りに動くから日銀に債務超過の危機(=日銀の自死)が迫まることになる。したがって日銀はよほどのことが無いと政策金利をプラス金利には持っていけない。
今回のマイナス金利解除はなんとかして金利上げを回避しようとしてひねり出した、達成不可能と思われた「労賃大幅値上げ」が日銀の意図に反して実現してしまったので、今までの経緯からやむを得ずに行うに過ぎない。しかし前述したように実質的になーんにも金融環境に変化はなく、日銀が債務超過という問題にも直面しないから出来たもの。空鉄砲。
2.「間違った知識を広められるのはよろしくない」
池田信夫さんが昨日の私のX での反論に反論してこられた・
「米山さんも藤巻さんも国債の満期が償還だと思っているが、それは債券を別の債券に置き換えるだけ。政府債務はこの30年以上、償還したことがない。 彼らが財政破綻というのは、政府がデフォルトすると思っているからだが、日銀が国債を引き受ける日本で、そんなことは起こりえない」
ばかばかしかったが、間違った知識を広められるのはよろしくないから以下のように反論しておいた。
「国債の満期には政府は償還しなければならない。実務務を知らない方がいくら言い張ってもモノ笑いにされるだけなので、辞めた方がよろしいかと。世の中に誤った言説を広めるのはよろしくない。池田さんのおっしゃるように「政府はこの30年間償還したことは無い」ではない。「政府債務はこの30年以上、償還されなかったことはない」が正しい。政務債務が償還されなかったら、それはデフォルト。この30年間、デフォルトは起きたことは無い、きちんと満期に償還されている。我社が保有していた10年国債が満期を迎えれば、新たに国債を買う意図があろうとなかろうが、元本は必ずわが社の口座に振り込まれる。国債は償還されたのである。その戻されたお金で新たに借換債という名の債券を買うか買わないかはわが社の自由。しかし借り換え債を誰かが買ってくれなかったら政府は満期を迎えた我が社保有の債券を返す元本が不足しデフォルトが起きる。幸い、その事態はこの30年一度も起こらなかった。誰かが返済原本の国債を買ってくれていたからだ(今はそれは日銀)国債は償還され、(満期債を返す原資を調達する)借換債という名の新しい国債が発行されたということに過ぎない。自転車操業。10年債を買って、いつまでも償還されないのなら誰も10年国債など買わない。10年後にきちんと償還されることが分かっておるから買うのである。
そのデフォルトを避けるために日銀は借換債を買い続けざるを得ないだろう、だからデフォルトは起こらないだろう、という点は、その通り。しかし、それはいくらインフレが激しくなってもばらまいたお金を回収できないということ。日銀は詰んでいると私が言う理由の一つ」
3「単に会計上の話」
池田信夫さんがまたまた反論してきた
「それは『満期』であって『償還』ではない。藤巻さんはそれを銀行の側から見ているだけで、財務省からみると、どこの銀行から借りても『借り換え』。
一般会計の「債務償還費」として計上しているのは60年目の償還費だが、これも国債整理基金特別会計に繰り入れて借り換えるので、償還されていない」
以下のように返信して置いた。
「池田さんのおっしゃることは会計上の話に過ぎない。政府の会計上では国債を60年間で償却するのは事実であるが。それを持って国債を60年間償還していないとは言わない。個人所有の賃貸用コンクリート建物は税務上(確か)50年の定額減価償却をしなければならないが、その建物が30年で朽ちたところで、原価消化がまだ終わっていないからその建物はまだ朽ちていないとは言わない、のと同じ。
ちなみに国債を60年間で償却するという会計にも、かなりの問題が指摘されている。一般会計が苦しかったときに見栄えを良くするために作られた方式。橋や道路を作るための建設国債は橋や道路が60年間もつと考えれば資金調達サイドも60年間で償却するのも百歩譲ればわからなくもないが、社会保障費のような出費で出来た赤字を賄う赤字国債を60年間で償却する理由は全くない。
そもそも財政法上、建設国債はどうしても発行しなければならないのなら発行してもしょうがないが、赤字国債は絶対に発行してはならないことになっている。
ところが今の日本の発行国債は赤字国債が大部分。60年国債償却の会計方式が作られたときは財政法からして赤字国債が発行されるなど念頭に無かったのだろう。
今は特例国債法案という財政法(普通法)の上位にある特例法案を五年ごとに国会で通し(昔は毎年)赤字国債を発行し、それを60年間で償却するなど言語同断。日本の財政問題は見た目以上に深刻。
本来は2013年か14年頃に財政破綻をしていたところ財政ファイナンス(政府の歳出を中央銀行が紙幣を刷ることによって賄う)という禁じ手で危機を先送りしているに過ぎない。
その危機先送り作によって財政破綻懸念が日銀破綻懸念に変わってしまった。私が円が紙屑化するからドルを買ってヘッジをしておいたほうがいいと言い続けている理由でもある」
4,「ありがとう!木久扇ラーメン」
本日から発売の「ありがとう!木久扇ラーメン」。
昨日、仲良くさせていただいている林家木久扇師匠、木久蔵師匠から送っていただいた。