「金利差などという小さなことが円安進行の主因ではない。それを見誤ると為替の取引でたいへん痛い目に合う」

2024年05月15日

「金利差などという小さなことが円安進行の主因ではない。それを見誤ると為替の取引でたいへん痛い目に合う」

本日の日経新聞「経済教室」は「日本総合研究所主席研究員の河村小百合さんの論考だ。河村さんは日銀OGだけによくわかっていらっしゃる。危機感の強さは昔から私と同じ。結論だけは「彼女自身が思っているより、かなり抑えて書いていらっしゃる」とは思うが。

河村さんいわく

「日銀が超低金利状態を維持することなしには、もはや日本の財政運営が回らない状態に陥っていることが背景にあるのではないか」

「だが日銀のオペレーションの方向性は(世界の他の中銀とは)まるで逆だ。日銀の資産規模は主要中銀の中で突出して大きく、日本の財政事情は世界最悪であることも海外勢には自明だろう」

「どの国でも、国民の痛みを伴う財政再建には後ろ向きだし、市場金利が上昇して初めて本腰を入れて財政再建に取り組まざるを得なくなる。放漫財政状態が続けば、いずれ高インフレ状態が抑えられなくなり、国民はインフレ税の形での重い負担(藤巻注=ハイパーインフレ)を余儀なくされる。そうならないために中銀は資産縮小による正常化を進め、市場の価格発見機能を最大限尊重する必要があるというのが(藤巻注:日本を除く世界の)共通する考え方だ」

「他の中銀は22年上半期ごろを境に資産縮小を進めている(図参照)。日銀のみがコロナオペの終了を除けば、国債買い入れを続け、資産規模を縮小しない状態を続けている。金融政策決定会合で正常化の方針や進め方に関して具体的に議論した形跡も見当たらない」

以上河村さんの論考だが、読めば円安進行の理由の一つがお分かりだろう。

他国はばらまかれたお金の回収ステージなのに、日銀だけはバラマキ続けている。円の価値が他通貨に比べて棄損していくのは当然だろう、金利差などという小さなことが円安の主因ではない。それを見誤ると為替の取引で大変痛い目に合う。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD078LU0X00C24A5000000/