(ここに述べる意見/分析は私が所属する政党の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)
1.「金融政策と物価対策、方向が逆向き、なにそれ?」
本日の日経新聞1面トップ記事。岸田首相は国会閉会後の記者会見で物価高に対応して8~10月電気・ガスの補助を継続すると表明したそうだ。日経新聞いわく「これらの措置による消費者物価指数の押し下げ効果について首相は『年末まで月平均0.5ポイント以上とすべく検討する』と訴えた」そうだ。日銀は消費者物価2%を確実にするために超超超緩和を継続し、首相は『年末まで月平均0.5ポイント以上押し下げるよう努力する』。なにそれ?日銀と政府は逆方向に思いっきり綱を引っ張り合う。電気・ガスの補助で財政赤字は更に膨らみ、財源として増発された国債を日銀が買い取ることによってお金が更に市中にばらまかれ円安は進み物価は上昇する。もうこの国の経済・金融政策は。はちゃめちゃ。すべては「バラマキで財政規律を無視し、禁じ手中の禁じ手の財政ファイナンス(政府の歳出を中央銀行が紙幣をすることによって賄う)を行った結果。伝統的金融論(=正統派金融論)の教えをことごとく無視したツケはすさまじい。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO81581780S4A620C2MM8000/
2.「財政出動はあり得ない」
政府が昨日、閣議決定した「骨太の方針」に対して今朝の日経新聞に載った吉川洋
東大名誉教授のコメント。
「物価上昇率が2%台で推移し、完全雇用のような状態にある。財政出動はあり得ない」。まさにその通り! (僭越ながら)私と吉川教授は昔から考え方が似ている。
なお、吉川氏は財務省財政制度審議会会長、日本経済学会会長を歴任された超大物。確か植田日銀総裁と東京教育大学付属駒場(現筑波大学付属駒場)中学・高校で同期のはず。余計なことだが1978年、イエール大学の学食(私は大学院の授業が始まる前、イエール大附属の語学学校に1か月ほど通っていた)で「貧相な日本人が孤食しているな~(失礼)」とお声がけをしたのが私の初めての吉川教授との出会い(私は輪をかけて貧相だったと思う)。一時帰国をされていた奥様が米国に戻ってこられご自宅に呼んでいただいたのだが、奥様の美人ぶりにびっくり仰天。
叔母に手紙を書いたら返信で「私の教え子よ(四谷雙葉)。ミス雙葉と言われた人(かつ東大卒)。超一流な人(吉川教授)は何事にも情熱的で超一流の人をもつかむのね~」と感心していた。それ以来、お互いに尊敬している(と思っている。吉川教授が私を本当に尊敬してくださっているかはか確信がないが、私は吉川教授を間違いなく尊敬している。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO81582210S4A620C2EA2000/
3.「政治の世界に戻ってきてフラストレーションが沸くこと」
昨日で今国会が閉会した。政治の世界に戻ってくると滅茶苦茶にフラストレーションがたまるから、閉会後は心静かな日々を送れる。ペンディングとなっている私事の仕事が山積してしまっているので物理的には超忙しい日々が続くのではあるが。
政治の世界に戻ってきてフラストレーションがわく理由は、この財政・金融の危機的状況に至っても多くの議員が「金は天から降ってくる」と思ってお金をばらまくことに熱中すること。「ばらまかねば次の選挙に受からない」と思っているとしか思えない」。故石博光元一橋大学長&財政学者のお言葉を思い出す。「日本では、ばらまかないと選挙に受からないけど、ドイツでは違うんだよな~。ばらまく政治家は落選する。国民が、ばらまけばインフレになることを知っているからね」