「長期金利が上昇すれば格下げが心配(神田財務官)」「金利上昇よりも、より直接的な格下げの理由」

2024年07月03日

1.「長期金利が上昇すれば格下げが心配(神田財務官)」

Bloombergニュースによると、神田財務官は昨日「報道各社の取材に対して、今後、長期金利が一段と上昇する可能性があるとし、日本国債について『気をつけなければいけないのは格付けだ』との見解を示した」そうだ。

あれ~、普段私が「日銀が利上げが出来ない理由」の一つとして挙げていることではあるが、これを政府から言われてしまったら、日銀は一掃「国債買いオペ減額」が出来なくなる。格下げになったら日銀の責任になってしまう。

今までの格下げは影響がなかったからと言っても、今後の格下げはそうはいかない。崖から転落する(=ジャンク債扱いになってしまう)可能性も出てくるからだ。企業の格付けは原則国の格付けを上回れない。日本国債がジャンク債に陥ったら、企業や邦銀はドル調達など出来なくなる。円建て社債の発行も難しくなる。株価も下落するだろう。日本国債の買い手はそれこそ日本人しかいなくなるから金利も急騰。日本&円の危機。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-02/SFZOC5T1UM0W00?srnd=cojp-v2-markets

 

2.「金利上昇よりも、より直接的な格下げの理由」

神田財務官の述べるように「長期金利が一段と上昇して格付けが下がる恐怖」よりも、より直接的な問題は日銀の「国債買いオペ減額」だろう。(長期金利急騰は、国債買いオペ減額が契機となるだろう)

日本の格付けは、財政が、日本よりはるかにマシなイタリアより高い。なぜか?

格付けは、倒産確率だから、日銀が、国債を安定購入している限り資金繰り倒産の可能性は低いからだ。だから格付けは上がる。しかし日銀が手を引けば、当然、話は変わる。

2022年12月25日の日経新聞にはフィッチで国債格付けを担当するクリスヤニス・クルスティン氏の発言を載せている。

「フィッチで国債格付けを担当するクリスヤニス・クルスティン氏は日本経済新聞の取材に『日銀の国債購入は格付けを支える要因の一つ』と明言。YCCの解除といった出口戦略は、国債格下げのリスクを徐々に高めるものになる」

(なお、下の格付けの表は、この記事中にあったもので当時(2022年12月25日)のもの)

ダブルB以下がジャンク債。