「為替介入の無力化の証明になった昨晩の介入」「今後のドル円予想」他

2024年07月12日

(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

 

1,「為替介入の無力化の証明になった昨晩の介入」

朝6時のNHKニュースで「介入があったかも?」と言っていたが、明らかにドル売り介入があったと思う。

米国CPI の数字が出る日本時間昨夜9時半直前のドル円は161円60銭だった。CPIの数字をみてドル円は160円80銭あたりまで下がり、そこでいったん下落が止まった。ここまでがCPIの数字をみた市場の瞬間的反応でこれからまたじわじわと円安が進むのだろう思っていた・

しかし、一周の静寂の後、160円60銭あたりから始まった動きは、介入としか思えない。ビット(買い気配値)を大きく下まわるドル売り、買いが優勢になるたびに戻ってくるドル売りなど、損得を考えない注文が頻繁に入ってきたからだ。

この結果、ドル円は1時、157円40銭まで下落したが、すぐ切り返し、1ドル158円80銭レベルで東京市場に戻ってきた。

要は、満を持して行った介入は現時点でたったの1円80銭程度しか効果が無かったのだ。一時的に3円20銭ほどあった効果も、たった1晩で1円40銭はげ落ちた。 介入の効果がますます無くなっている。市場が介入があるたびにドル買いのチャンスと史上が認識するまでも、もうすぐだろう。

 

2.「米国から許される介入枠は使い終わったか?」

何度も書くが資本主義経済圏/市場経済圏において、どのマーケットにおいても政府・日銀の市場介入は禁じ手だ。「見えざる手」による資源配分の効率を妨げるからだ。

 ましてや為替は相手国がある。ドル円なら相手国は米国だ。米国は(もし本当にインフレが鎮静化しつつあるとしても)、ドル売り介入でドル安が進展してしまえば現在の米国経済最大の問題であるインフレが加速してしまう。

 現在、自国通貨安進行防止のためにドル売り介入をしたい国は多々あるだろう。日本だけに大規模介入を認める理由もない。4月、5月と10兆円近くの介入を既にしてしまった日本は、米国から許されたドル売り介入枠をほぼ使い果たしてしまったと私は思う。

 

3.「介入は7月31日に日銀が空鉄砲を打った時の最後の防衛策を使い切ってしまった」

マスコミや総裁自身の発言により7月31日の日銀政策会合に市場(特に外国人)の期待が非常に高まってしまっている。しかし日銀自身の債務超過を気にして、日銀は空鉄砲か豆鉄砲しか打てないだろう。 為替介入は、その時に(効果はなくとも)政府・日銀は「仕事をしている」とのエクスキューズとして使うと私は思っていた。今回の介入で介入枠が枯渇し、その武器をもで失ってしまったと思う。

7月31日の日銀政策決定会合ではシートベルトを一層強く、しかもガチンガチンに締めなくなっただろう。

 

4.「今後のドル円予想」

昨日の米CPIの数字が予想より弱く、米国では9月と12月の2回の利下げが主流予想になったようだ。一方日本の市場では7月31日の日銀政策決定会合での大巾国債買いオペ減額&(ひょとする)と利上げ決定を期待している(特に外国人)。

これらを織り込んだ為替が現在の158円80銭である。どちらかが期待外れになれば円の急落が予想される、170円など簡単だろう。

もし市場の期待通り「大巾国債買いオペ減額&(ひょとする)と利上げ」を行えば長期金利暴騰で日銀の債務超過が視野に入り、日銀も円も終わりだろう。1ドル1億円、1兆円(=円の紙くず化)は目の前だ。

もっともそのような動きを国債市場がした場合は、日銀は再度「国債買いオペ額増額」を行わざるを得ない。日銀自身の債務超過の他に、財政破綻や変動型固定金利で受託ローンを借りている人たちへの悪影響、格下げのリスクなど様々な大影響があるからだ。そうなると恥を世界にさらし、日銀は信用失墜、1でドル1億円、1兆円は射程範囲に入る。