.「7月31日の日銀政策決定会合に更なる難題」「銀行の国債保有余力を踏まえた減額幅とは?」他

2024年07月28日

(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

 

1.「7月31日の日銀政策決定会合に更なる難題」

先週の日経平均の動きを見て「緩和状態の方向転換のやり過ぎは株価暴落のリスクがある」ことを植田日銀総裁は嫌というほど痛感したことだろう。株価暴落は日銀の含み益を急減させ長債券評価損の拡大と相まって日銀に債務超過、しかも「過激な債務超過」を日銀にもたらしかねない。

7月31日の日銀政策決定会合は「長期金利が暴騰しないほどの小規模な国債買いオペ減額」と「円が暴落しない程度に大幅な国債買いオペ減額」との相反する命題を満たす解を見つけるという難解な連立方程式を解く必要があると書いてきたが、それにかけて加えて「株価が暴落しない程度の小規模の国債買いオペ減額」という命題も加わり、連立3元1次方程式を説くという超難問を解かねばならない場となってしまった。間違った解を出せば、日本経済、日銀&円ともにドボンの可能性もある。

日経平均が1000円下落するごとに1.6兆円の含み益が減り、長期金利0.1%上昇ごとに2.9兆円の評価“損”が増える(既に19兆円の含み損があると推計される)、

 

2.「銀行の国債保有余力を踏まえた減額幅とは?」

Bloomberg いわく「日本銀行が来週の金融政策決定会合で決める国債買い入れの減額計画に関し、国債の発行当局である財務省は、銀行の国債保有余力を踏まえた減額幅になることが重要で、段階的な実施が望ましいと考えている」――>(メガを中心とする)銀行はこの10数年間で国債を日銀に売りまくり続けてリスクを減らしてきたから「銀行の国債保有余力」はいくらでもある。しかし余力があっても買うか否かは別の話だ。経済学部の学生は1年の1学期にSD(供給需要)曲線を学んだはずだ。

金利が上昇すれば買うだろうが低ければ買わない。特に金利が上昇期、(減らしたとはいえ)保有国債の評価損が膨らみ続けているときに新たに買い増しをするのは極めて難しい。これ以上金利が上昇しないとわかるまで買いの手は出ない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-26/SH7FRWT1UM0W00

 

3.「社会主義国家・日本」

先日の植田東大教授との議論で意見が一致した重要な点の一つは「需供要調整は価格によって行う」との市場経済の大原則が守られていないという点だ。価格の替わりに規制や補助金で物事を解決しようとする。ポピュリズム政策もいいところ。ガソリンやマスクがよい例。日銀が長期国債を爆買いして金利を低位に抑え込むから無駄な公共事業なども減らないしバラマキが起こるのも同じこと。私が日本は世界最大の社会主義国家という理由の一つ。他には市場原理の働かない中央銀行があらゆるマーケットでモンスターになっているのも私が、日本は資本主義(=市場経済)ではないという理由。

 

4.「人口減少対策への疑義」

昨日の日経新聞の経済論壇は「人口減少に歯止めをかけることができると考えるのは幻想だと断じる」との元経企庁調査局長・小峰隆夫氏の論考を取り上げている。

「人口減少を止めるという目標を掲げて過剰な政策資源を投じるのではなく、現状に合わない幻想を捨てて、人口減少を所与として『人口が減っていっても、国民のウェルビーイングがより高まる』というスマートシュリンクを目指すべきだ」

――>これは昔からの私の主張と同じで、もう10年近く前に「週刊朝日」の連載に書いてきたし、国会でも質問した。

そもそも私が小さかったときは「人口が将来増えすぎて、日本人は住む陸地が無くなり海に押し出されておぼれてしまう」と言われたものだ。ブラジル、ハワイへの移民も推奨された。それが今は「人口減少問題」。

人口問題はケセラセラでいいのではないか?が私の主張だ。子供が欲したいが経済的に困難な人であれば、その人たちを援助するのはいいが「国のために生めよ、増やせよ」では軍国主義時代と変わらない。

それより「一人当たりがより豊かになればいいではないか」と思う。

数年前、少子化大臣に「毎年、少子化対策にいくら使っているのか?」と聞いたら「GDP の1%」との答弁を得た。ならば年間5,5兆円強だ。

少子化で何が最大の問題かと言えば年金だろう。それならば年金を確定給付型から確定拠出型に変えるためにその金を使った方がいいのではないか?」と問いたのだ、

ところで私が「人口問題はケセラセラ」というのは1,2年前に亡くなったシカゴ大学のノーベル経済学者、ゲーリー・べーカー教授の「人は豊かになると一人当たりの教育に時間とエネルギーと金を使うので少子化が進む」との説を信じているからだ。

日本はいずれX デイが不可避だ。そうなれば国民は貧乏になりベッカー教授のおっしゃるように少子化は解消される。かつ介護保険も崩壊するだろうから子供に頼らざるを得なくなる人が出てくる、と思っている。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82342990W4A720C2MY6000/