(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)
1,「7月31日の日銀は連立3元一次方程式を解けなかった」
本日の日経はまたもや大崩れしそうだ。
ところで7月28日に以下の文章をSNS に載せた。
「7月31日の日銀政策決定会合は「長期金利が暴騰しないほどの小規模な国債買いオペ減額」と「円が暴落しない程度に大幅な国債買いオペ減額」との相反する命題を満たす解を見つけるという難解な連立方程式を解く必要があると書いてきたが、それにかけて加えて「株価が暴落しない程度の小規模の国債買いオペ減額」という命題も加わり、連立3元1次方程式を説くという超難問を解かねばならない場となってしまった。」
7月31日の日銀は一見、ベストの解を見出したように思えた。しかし3番目の命題「株価が暴落しない程度の小規模の国債買いオペ減額」を満たすことが出来なかったようだ。
私の計算では日経平均が1000円下落するごとに、日銀の株ETF 評価益は1.6兆円ずつ減る。
2.「世界的株価下落の原因は日銀の流動性回収のせいかも?」
昨日の米国債市場では長期金利は大きく下落し、「今年0.25%の利下げを3回完全に読み込んだ」そうだ。それなのに昨日のNYダウは大幅に下落した。
今までの世界の株価上昇は「日本の流動性供給によるもの」との分析も主流なものの一つだったのだから、日銀が流動性の供給を絞る決定をした以上、世界の株価が逆回転を初めてもおかしくはない。
もしそうなっても、他国の中央銀行自身にはなんのダメージもないが、日銀だけは話が違う。日銀自身が大規模な債務超過に陥り、信用失墜(=円の紙くず化の可能性がある。なにせ価格が大幅に上下する株を大量に保有(日銀は日本最大の株主)しているのは世界でも日銀だけだから、だ。
3,「先々の為替を予想するための2大ポイント」
2024年3月末の日経平均株終値は40,369円。国債10年物金利は0.732%
株の評価益は 37,2兆円
保有国債評価損は9.4兆円
内部留保 13兆円
したがって日銀は約41兆円の純資産だった。円が大暴落していないのも理解できる。
ところで私の計算によれば長期金利は0.1%上昇するごとに2.9兆円の評価損が増える、株価は日経平均1000円下落するごとに1.6兆円評価益が減る。
だとすると
本日の日経平均が36,500円。長期金利0.98%で終了すると、
株の評価益 31兆円
保有国債評価損 ▼ 16,6兆円
内部留保 13兆円
したがって純資産は27.4兆円。
純資産は今年3月末の41兆円から27.4兆円と急落した。
株価が30500円まで下がり長期金利が1.6%まで上昇すれば日銀は債務超過だ。
繰り返すが、株の評価益に頼って債務超過を逃れていた中央銀行などAgreeもいいところ。中央銀行たるもの信用失墜を防ぐために価格が上下する資産など保有しては行かないとは正統派金融論では基本のキ、だ。
日米金利差でドル円がどうこうなどというデイトレーダかプログラム売買みたいな発想で為替予想をする次元ではない。パブロフの犬ではないのだから頭を使わなければならない時。注目しなくてはいけないのは、ばらまかれたお金の回収度合(他国との比較)と、いつ日銀が債務超過になってしまうのか、の2点に尽きる