(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)
1,「世界株式市場の下落は、今後の流動性供給減少予想のせいだろう」
あさって月曜日の日経平均は、米株下落と円高により、(多少は小さいかもしれないが)金曜日並みの大幅下落の可能性が高いだろう。
注意点はその後の月曜日の欧米市場が再び下落するか否かで、もし弱いようであれば世界の株価のトレンドは本格的に下落に向かったとみたほうがいいのかもしれない。
ただ欧米株は「この数日間の動きは売られすぎ」として戻す可能性もある。可能性がある理由は、日銀の流動性吸収はまだ計画段階で実行されてはいないからだ。
2日間に渡る米株の下落を「米国景気の悪化予想のため」と分析する人がいるが
理由はそんな単純なものではない。
世界的株高のよりどころだった世界最大の流動性供給国、日本の中央銀行が流動性回収計画(=国債買いオペの減額)を発表したからだ。日本の余剰流動性は日本の投資家によって世界中の投資に向かっていた。それが減少、回収されていくのだから、世界中の投資家が「人より早く逃げよう」と思うのは当たり前だ。
ただ、まだ計画発表に過ぎないから株価下落は当面この程度で収まる可能性もある。しかし、この数日の動きを見ると、実際に日銀が流動性回収計画(=国債買いオペの減額)を実行に移したらリーマンショックよりはるかに大きなショックが起きるかもしれない。それを予見する世界の投資家は、戻りがあるたびにポジションを減らしていくだろう、それがプロというもの。
「流動性が減少すれば、バブルははじける」は投資家にとって一般的な発想だし、過去のバブル破裂の主因でもある。
以下のロイター記事は2021年5月のものではあるが、この記事を見ればよくわかる。この時は世界最大の流動性供給国・日本が流動性供給を継続したから予想があたらなかったが、今回は日銀が回収に動く。今までとは違う。
ロイター記事曰く「クロスボーダー・キャピタルの見積もりでは昨年3月以降、主要中銀と政府は約27兆ドルと、世界全体の総生産(GDP)の3割強に相当する資金を市場に注ぎ込んできた。これに伴って世界の株価は85%上昇し、新型コロナウイルスのパンデミックで痛めつけられた景気は回復しインフレ期待も高まっている」―>この逆回転が日銀の行動で始まる。
https://jp.reuters.com/article/global-markets-idJPKCN2D20C5/
2.「株価下落の中央銀行への影響」
日銀の流動性供給減少(=国債買いオペの減額)により世界中の株価が下落を開始すれば世界の中央銀行はあわてる。が今まで引き締めてきた金融政策を再度緩和気味に傾ければなんとかことを逃れるだろう。
しかし日銀は違う。緩和に戻すといっても、量に関しては、まだ計画の発表段階でしかなく、金利もたった0.25%とシミ程度しか上げていない。金融政策を緩める余地はない。
更なる大問題は中央銀行の持続性に問題が生じることだ。株価の下落は日本最大の株主である日本銀行が巨大な債務超過に陥る可能性が出てくる点だ。
G20の中央銀行で金融政策目的で株を保有している中央銀行はない。正統派金融論が「このような事態に陥ることを避けるために中央銀行たるもの価格がラタイルなものを保有してはいけない」と教えていて、それを各中央銀行は守っていたからだ。
3.「果たして日銀は流動性供給減少(=国債買いオペの減額)計画を実行に移せるのか」
上記の環境にあって、日銀は、本当に流動性供給減少(=国債買いオペの減額)計画を実行に移せるのか?
上記の事態が怖くなって「流動性供給減少(=国債買いオペの減額)計画の実行や~めた」となれば、「日銀はインフレ対応能力は皆無である」ことを世界中にしらしめ円安が急速に進行するだろう。
もし実行すれば株価暴落で日銀はドボン、The end 。円は即、紙くず化だろう。
「日米金利差縮小、円高への方向転換」などと能天気なことを言っている場合ではない。日銀財務は日々悪化し、入れかわり立ちかわり難題が日銀に押し寄せる。