「タダ(に近い低利)のお金が米国と日本の資産インフレをあおってきた点については、終わりを迎えつつある」「円は瞬時にドボンか、未来永劫、価値下落(=円安)が継続するか?」「日銀が買わなくなった国債、誰が買う?」他

2024年08月14日

(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

1.「タダ(に近い低利)のお金が米国と日本の資産インフレをあおってきた点については、終わりを迎えつつある」

本日の日経新聞に載っているFinancial Timesとの提携記事。一読をお勧めする。

日本のマスコミや日銀は、今回の世界的株価の下落は「米国の景気悪化懸念」などと甘っちょろいことを言っているが、他国の知識層は、もう気がついている。

Financial Timesいわく「米国と欧州の金利水準によって度合いが大きく振れたものの、低利の円建てローンは日銀が1990年代後半にQEに乗り出して以来ずっとグローバル金融の燃料になってきた。

だが、キャリートレードは2021年暮れ、米国がQEとゼロ金利から脱却し始めた時に爆発的に増加したとみられる。そして、今年に入って日銀も金融の引き締めを始めた時、この取引の根拠が揺らいだ。

この転換の規模は計り知れない。国際決済銀行(BIS)は国境を越えた円建ての借り入れが21年の終盤以降に7420億ドル(約109兆円)増加したと報告している」

「いずれにせよ、重要なのは、タダ(に近い低利)のお金が米国と日本の資産インフレをあおってきた点については、終わりを迎えつつあるということだ」

「だが、最も興味深いのは、長年無視してきた(つまり、正常な状態として受け止めてきた)末に、日本人以外の投資家がこの問題に気づき始めたことだ」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB120DT0S4A810C2000000/

 

2.「円は瞬時にドボンか、未来永劫、価値下落(=円安)が継続するか?」

ウォーレンバフェットが円債を日本で発行(=円資金の調達)した時、ウォーレンバフェットが日本株に投資すると日本中が騒いだが、私は「低金利で得たお金を米国資産の購入に充てるのだろう。円が紙くず化すればただ同然の借金をしたことになるとの思惑もあっただろう」とコメントしていたのを覚えている方も多いだろう。Financial Timesが本日書いた「低利の円建てローンがグローバル金融の燃料となっていた」のまさに一例だ。

ちなみにファイナンシャルタイムズが書いた種類のキャリートレードだけでなく、日銀は他にも、どでかくグローバル金融の燃料を供給してきていた。たとえばYCCにより長短金利差が無くなったので邦銀は日本では(それまでの邦銀の最大収益源であった)短期調達/長期運用での金利差が取れなくなった。仕方がないので欧米に出ていき、(米国では)ドル短期調達/ドル長期運用を過熱化させた。この結果、ドルの長期国債に異常な買い圧力が加わり米国債バブルを生みだしているのだ。

もし今後、日銀が本当に量的緩和の解除を進めるのならば世界中の株式市場&国債市場から過剰流動性が回収され世界金融市場は大震撼を迎えるだろう。特に世界の中央銀行の中で唯一(スイス中央銀行が別の理由で間大ているケースを除く)

株を保有している日銀尾ダメージは計り知れない。過剰流動性が回収を開始すれば、日銀も円もその瞬間ドボンだ。その引き金を引く勇気は日銀にはなく、日銀は過剰流動性を世界に垂れ流し続けるだろう、結果、円は未来永劫、価値下落(=円安)が続く。

 

3.「日銀が買わなくなった国債、誰が買う?」

日経新聞いわく「日銀の国債買い入れ減額を受けて財務省は海外投資家の開拓を急ぐが、相場安定につながりやすい海外のリアルマネー(長期投資家)をどれだけ引きつけられるかは不透明だ。市場参加者は、日本国債が「買い手不足」状態に陥るリスクを意識しつつある」

世界最悪の財政状態の国が発行する国債を世界最低金利で誰が買う。日銀が買いの手を緩めれば、買い手がいなくなり暴落(=長期金利上昇)。発行国債の53%を保有している日銀はとんでもない債務超過に陥り、日銀も円もドボン。

買い続得れば円は巷に満ち溢れ円は未来永劫、下落を継続する、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB122GY0S4A810C2000000/

 

4.「日銀が債務超過になったら、政府が資本投入するだろうから心配ないのか?」

大手暗号資産取引所ビットフライヤーの創業者・加納裕三氏がX に「日銀が債務超過になったら、政府が資本投入するだろうから債務超過になるかならないかの議論は無駄」と書かれていたツイートを発見したので以下のようにリツイートしておいた。

「時価評価でなくてはいけない、簿価評価で良いなどと議論するのは無駄なことです。信用を審査する側がどういう基準で評価するかがすべてです。欧米の金融機関において、相手の信用を審査するのに簿価会計を採用しているところはありません。それは相手が中央銀行であろうと政府であろうと同じです。信用供与に値しないと思えば、米銀は日銀当座預金を閉鎖します。そうなると円をドルに変換する手段がなくなり円はドルとのリンクを外れローカル通貨化します。ドルとのリンクを無くした通貨など、世界中の人は誰も相手にしません。中央銀行が債務超過になったときに政府が資本投入をすればオーケーと他国が判断するのは財政が黒字国または近き将来財政黒字に戻る、すなわち税金で中央銀行の損失補填ができる場合に限ります。財政赤字が世界最悪の国において、中央銀行の損失補填に、中央銀行が国債を買って資金を供給するなどというタコが足を食うようなスキームを発表すれば発表した途端にその国は終わります。金融学的に中央銀行が債務超過になっても大丈夫な条件は3つありますが、日銀はその1つどれ1つとってもみたしていません」

 

5.「日銀が債務超過の額を加速していったら、解決策は中央銀行のとっかえ」

その後、大手暗号資産取引所ビットフライヤーの創業者・加納裕三氏が再度、「国民に負担がかかるが資本投入した方がまだまし」とX にリツイートしていたので、以下のようにリツイートしておいた。

「中央銀行が政策を間違えれば国民に多大な損害が生じると言う点はあってます。今の日銀は多くの間違い(=正当派金融論が基本のキとして、やってはいけないことを大胆にやっている)をおこなっています。財政ファイナンス(=政府の歳出を中央銀行が紙幣を刷ることによって賄う)を行ったり、債務超過になり通貨の信用が失墜するのを防ぐために価格が大幅上下する株のような金融商品を買ってはいけないとかの大原則を破っているのです。近いうちに通貨の信用が失墜すると(=ハイパーインフレ)いうコストを国民が負担することになるでしょう。

しかし、おっしゃるようなこと、すなわち世界最悪の財政国で中央銀行の赤字を補填するために政府が発行する国債を中央銀行が新たに通貨を発行しその損失を埋めるなどというニュースが流れれば、その中央銀行はその途端に信用を失い円は紙屑化します。  したがってそのような解決策は不可能です。

歴史的に見てこのような状態になったとき取りうる選択肢は2つしかありません。

中央銀行は社会にとって必要不可欠なインフラですから何とか解決しなくてはならないのです。1つの方法は昭和21年に日本が行った方法。日銀はそのままにして古い通貨を無効にして新しい通貨を発行する。2番目は第二次世界大戦後にドイツが行った方式で古い中央銀行(ライスバンク)を廃し、新しい中央銀行(ブンデスバンク)を作ることです。ライヒスマルクは法定通貨でなくなり新しい中央銀行が発行するブンデスマルク(=ドイツマルク)がユーロが通用するまで法定通貨となりました。実はもう一つ解決方法があります。法定通貨を円からドルに変えることです。しかしこれは国の威信が失墜しますので、その選択はしないでしょう。

要は日本でいえば今の円は紙屑となり、新しい通貨が通用することになるということ。円だけで資産を持っている人は、財産を実質的に国に没収されると言う意味です。少しでも紙屑になる円をドルに変えヘッジをしておけと私が主張している理由です」

 

6,「一国の経済の根幹をなす中央銀行がバブルに巻き込まれている」

昨日、私のX に以下のリツイートが来た。

「後学の為にご意見伺いたいんですが、貴方の定義する日本人に必要な『危機管理と資産防衛』とは、具体的に何が該当するのでしょうか? 30年前の日本株バブルと現在とではPER.PBRがまるで違うのは当然ご存知と思いますが…」

以下のように回答した。

「小幡教授の論考をよく読んでください、特に最後の章。今回は中央銀行が作り出したバブルだという点。もし日銀が本当に流動性回収(=国債買い入れオペ減額)を始めたら大変なことが起きますよ。小幡教授曰く『しかも、今回の銀行は、市中の商業銀行よりも、一国の経済の根幹をなす中央銀行がバブルに巻き込まれているのである。(中略)バブル崩壊のコントロール、軟着陸を実現するための最重要プレーヤーの行動が今後縛られることになり、また信用もされていないのである』」

 

7.「ギリシャにハイパーインフレが発生しなかった理由」

昨日、私のX に以下のリツイートが来た。

「(ハイパーインフレは)財政ファイナンスの末期に発生している… 世界恐慌を懸念させた[ギリシャ危機]でさえハイパーインフレには陥って居ないのですが…それは?」

以下のように回答した。

「ギリシャの通貨はユーロであり、ユーロを発行している欧州中央銀行が債務超過になりユーロの信用が失墜したわけではないからです」

 

8.「消費税増税のせいで日本は経済成長をしていないのか?」

昨日、私のX に以下のリツイートが来た。

「経済成長してないというので何を見て言ってるのか知りたかっただけですけどね。マネタリーベース対GDP比で伸びてないってことが言いたいのでしょうか? それは経済成長してないとは言わないですよね。ちなみに日本の伸びが欧米より低いのは2度の消費税が原因かと思います」

以下のように回答した。

「日本の消費税は、欧米の消費税、売り上げ税に比べて低いのですか高いのですか?消費税率によって経済成長率が左右されるのならば、今頃日本は世界1の経済成長国ですね。他国に比べて消費税率は低いのだから」

 

9.「日銀が財政ファイナンスをしているかにコンセンサスはあるか?」

昨日、私のX に以下のリツイートが来た。

日本が財政ファイナンスしているかは別にコンセンサス取れてないぞ。 フジマキ先生ばかり見てるとバランス狂うぞ(笑)」

以下のように回答した。

「定義にコンセンサスは必要ありません。屁理屈か否かだけです。財政ファイナンスとは政府の支出を中央銀行が紙幣を刷ることによって賄うこと。発行国債の53%も中央銀行が保有していて、この定義に反しているのですか?財政ファイナンスは英語ではマネタイズイションといいます。中央銀行が国債を現金化(日銀当座預金を含む)することだからです。日本銀行が国債を買って日銀当座預金を100倍にも増やしているのはマネタイゼーション(財政ファイナンス)の定義に反してますか?黒田前日銀総裁や麻生前財務大臣が私の質問に対し、今、日銀がやっている事はデフレ脱却目的だから財政ファイナンスではないとの答弁していましたが、詭弁だとは思いませんか?私はいつも家から火が出ていれば失火だろうが放火だろうが火事である。財政ファイナンスの定義は、目的等で決まるものではない。火が出ていると言う事実で決まると反論していましたが」

 

10.「何、今、1兆円くださいだと?」

昨日、私のX に以下のリツイートが来た。

「ほー じゃあ あなたに1万円あげるから 1兆円頂戴。大差ないんでしょう?」

以下のように回答した。

「日本にはまだ外為市場があります。小学校3年生でも知っていることを知らないのなら幼稚園から出直してください」

 

11。「ハイパーインフレになれば政府が2000ドル持っていれば財政再建可能」

昨日、私のX に以下のリツイートが来た。

1ドル=1兆円なら2000ドル持ってたら財政再建されちゃうのは理解しているだろうか?

以下のように回答した。

「その通り。だから、ハイパーインは究極の財政再建だと言っている。しかし国民生活は地獄」