「円崩壊はまだ先の話か?」「日銀は本音を話しているのか?」「ばらまいたお金は既にインフレ税で回収を始めている」他

2024年08月18日

(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません。私の個人的見解・分析であることをご理解ください)

 

1.「円崩壊はまだ先の話か?」

昨日、私のXのフォロワーの方から「じぇいさん」が以下のツイートをご自身のXに載せていらっしゃる。どう思いますか?」との問いが寄せられた。

「円に対する危機感はグローバルに活躍する金融人であれば、発生確率はともかくとして、皆リスクシナリオとして考えているテーマだと思います。円安円高については、私のビューはトレーディング観測期間に照らし相対的に短いものであり藤巻さんの視点はツイートからもより長い十年超スパンだと考えます」

以下のように回答した。

「じぇいさんの米国に関しての分析は現地にいらっしゃる方の分析で、非常に参考にしています。ただドル/円に関しては少し違うかと。  円は日銀がまだ債務超過ではないから安定しているだけです。債務超過になり、(すぐにではなく格付け機関や米銀の審査部が債務超過が一時的でない、どんどん大きくなると判断し)日銀当座預金を閉鎖すれば、一晩で暴落すると思います。そしてその日銀債務超過はまじかに迫っています。それも他国中央銀行とは比較にならないほど急速にかつ膨大に。なにせ長期金利が0.1 %上昇するごとに2.9 兆円の国債保有評価損が大きくなり、日経平均が1000円下落するごとに2.9 兆円の評価益が吹っ飛ぶのです。さらには短期金利を1%上げると5兆円の支払い金利が生じるのです。年刊金利収入が1.8兆円しかないのにもかかわらず、です。年間金利収入が26兆円もあるFRBとは話が違います」

 

2.「日銀は本音を話しているのか?」

昨日、以下のようなリツイートを私の Xにいただいた。

「前回の日銀金融政策決定会合では1%程度まで段階的に利上げするというコメントがあったようにそれほど債務超過を懸念していないように見えます。またバランスシート正常化には時間がかかるよなあ、的なのんびりした意見しか出てませんし、先生と日銀のトーンが違いすぎて戸惑っております」

以下のように回答した。

「一般社会と同じように、日銀にも本音と建前があります。本音を正確に伝えたら、その日に日銀が終わってしまうでしょうから、本音を言えるはずはありません。ご自身で勉強され、日銀のバランスシートや損益計算書を見て判断するしかありません。また学者時代や日銀審議委員だった頃の植田さんの発言と今の発言を比べてみればなんとなくお分かりになるのではないでしょうか。今の日銀がやっていることに対して、かなりの懸念を表明していました。国会での私との質問に対する答弁でも、苦悩がにじみでていると私は見ています。

そもそも日銀マンにとって垂涎の的であった日銀総裁のポジションを日銀マンが誰1人取りに行かなかった、またその事態であれば、財務省の最高の下り先であるポジションを財務省マンでさえ誰もとりにいかなかった。それからも普通だったら簡単に推測できると思います。

植田総裁がやり始めたのでは無いのですが、今の日銀は彼の考えでは、あるべき姿ではないと思っているとおもいます。しかし危機は先送りすればするほど、膿は溜まっていき、破壊したときのエネルギーはものすごいものになります。中央銀行は社会にとって不可欠な存在ですから、早く新しい中央銀行の創設準備をしておかないと大変なことになると私は思っています。またそれに気がつかない人たちは持っている資産(年金を含め)の全てがパーになってしまいます。そのような事態に備えているつもりの私でも相当なダメージを受けるでしょう。財政論や正当派金融論ではやってはいけないと説き、それを歴史が証明している「財政規律の無視」や「財政ファイナンス」を大々的にやってきてしまったツケなのであり、それらを辞めさせられなかったのですから致し方がないと思っています」

 

3.「ばらまいたお金は既にインフレ税で回収を始めている」

昨日、以下のようなリツイートを私の Xにいただいた。

「どことは言いませんが、ばら撒きを誇っていた政党がありまして 当時の野党もばら撒きを主な支援としていましたからね せめて無利子貸し付けにしてくれよと言いたかったです」

以下のように回答した。

「そうですね。ばらまけば、増税で歳出を補うのが常識です(=一時的に国債発行で回収を遅らせることがありますが)。

先日、日経新聞に物価上昇(インフレで)一人当たりの年間支出が9万円増えているというような記事がありました。政府はコロナ対策で配布した一人当たり10万円の回収を既に始めていたわけですね。増税だと選挙に落ちるのでインフレ税という国民が文句を言いにくい形で。インフレとは実質債権者(=国民)から債務者(=国)への富の移行ですから。タクシー初乗り1兆円ともなれば政府の1330兆円の借金などピーナッツになり究極の財政再建を果たします。一方、国民生活は地獄です」

 

4.「消費税の大幅増額又は大幅減税でX デイを逃れうるか?」

昨日、以下のようなリツイートを私の Xにいただいた。

「消費税の大幅引上では、もう間に合わないのですか?」

以下のように回答した。

「消費税を明日から40%か50%にするなど今の日本国民が受け入れるとは思えません。なお、逆に消費税の大幅減税をやればいいと主張する人がいますが、それをやれば昨年、英国のトラス政権の減税案で起きたことと同じことが起きると思います。円安、日本株安、債券安の日本売りです。昔から外国人が「日本はまだ大丈夫」と思っていたのは、他国よりはるかに低い消費税を上げる余地がまだ十分にあると思っていたからといわれています。しかし昔は、20%に上げれば何とかなるかな?というレベルだったのが今や、30%か40%上げなければ無理なところまで来てしまいました。こうなると残るのはハイパーインフレという大増税しかないでしょう。

 

5.「日本を正常な状態に戻していく方法は?」

昨日、以下のようなリツイートを私の Xにいただいた。

「今の状態で日銀は政策金利を上げていくのも地獄、上げないのも地獄ですが、藤巻さんは日本を正常な状態に戻していくには、何をしていったらいいとお考えでしょうか?」

以下のように回答した。

「第2次世界大戦の後にドイツがやったように中央銀行のとっかえ又は昭和21年に日本が行った預金封鎖と新券発行しかないでしょう。いずれにしても旧通貨は法定通貨では無くなり紙くず(=子供銀行の通貨と同じ)です。バラマキ(=財政規律の無視)と過激な財政ファイナンスを行ってきたのですから、時すでに遅し、です。我々が出来ることは今回の政策ミスを反省して、ドイツのように(=憲法に財政均衡条項を入れた)2度と同じ間違いをしないようにすることだけです」

 

 

6.「経常収支の黒字は民間のこと、財政収支の赤字は政府のこと」

昨日、以下のようなリツイートが私の Xにきた。

「まったく違います。財政赤字じゃないですよ。経常収支ですよ。コレは黒字です。何言ってもですか」。

以下のように回答した。

「勘違いし易いのですが、経常収支の黒字は民間のこと、財政収支の赤字は政府のことです。経常収支が赤字化すると、経済学では、長期金利が上昇するか、その国の通貨が安くなるか、またはその両方が起きると言われています。ただこれはハイパーインフレの原因にはなりません。悪性インフレにはなるかもしれません。ハイパーインフレは中央銀行の財務の悪化によって起こります。歴史的に見てその多くは財政ファイナンス(政府の歳出に対し増税ではなく通貨の増刷(注:当座預金残高の増加でも同じ)で対処すること)で起きています。なにせ通貨が信認を失うのですから次元が違うのです」

 

7.「FRBと日銀の収益力の差」

昨日、以下のようなリツイートを私の Xにいただいた。

「何故FRBはそれだけの収益があるのでしょうか?

お教え下さい(・∀・)」

以下のように回答した。

高い金利の米国債やモーゲージバックセキュリティーを買っていたから。一方、日銀はマイナス金利の日本国債さえ買っていた。さらに言えば、日銀が国債爆買いをやっていて金利を低く抑えていたから。すべてマーケットを人為的にコントロールしようとすれば、いろいろなところで咎を受ける。