(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません
私の個人的見解・分析であることをご理解ください)
1.「危険」
本日は、円安が進んでいるのに株が大幅安。
この選挙戦での自民をはじめ、国民民主、れいわの財政バラマキ派が議席を伸ばしそうだとの報道を見るにつけ、いよいよXデイ(株、円、国債の大暴落)の日が迫ってきたのかな、と思ってしまう。本日のマーケットの動きがその予兆かもしれない。
長いマーケット経験から、私は政治イッシューがマーケットに影響を与えるのはごく短期。 . マーケットのトレンドは変わらない、と思っていたが、さすがに「よくぞここまで来たものだ」とさえ思える日銀の財務悪化下にあっても財政バラマキ派が国民に支持されるこの危機感の無さを考えると、今回ばかりは政治がマーケットにとんでもないショックを与える初めてのケースになるかもと思ってしまう。英国トラス政権ショックどころではない事態に備えたほうがいいのかも。
2.「異常な拡張を続けた財政金融政策のツケは?」
以下、10月19日の朝日新聞 原編集委員の「多事奏論」の一部
「(石破首相は)モリカケ問題で安倍政権批判が強まっていた7年前、日本記者クラブでの講演でアベノミクスや異次元金融緩和を批判していたからだ。「こんな政策をいつまでもできるわけがない」「おかしくないかと誰も言わない自民党は怖い。大東亜戦争の時はそうだった」とも。あれから変節したのか」
「だが実はその道のプロたちにはこの間に異常な拡張を続けた財政金融政策に疑問を投げかける声が少なくない」
まさにその通り。金融や財政のド素人のとんでも金融・財政論を信じる政治家を選べば、日本の未来はない。その危機は目前に迫っていると私は思う」
https://www.asahi.com/articles/ASSBK32KHSBKULFA01QM.html?iref=pc_ss_date_article
3.[日経新聞社説]「財源を語らぬ大盤振る舞いは無責任だ」
10月15日の日経新聞、社説でいわく「財政規律が緩む背景には、成長で税収を増やせば財源は捻出できるとの甘い見通しがある。こうした景気頼みの楽観論に委ねるほど日本の財政に余裕はない」
まさにその通り。ただ一つだけコメントすれば、現状は「日本の財政に余裕はない」どころの話ではない。崖っぷちどころか、体の4分の3は崖からはみ出ている。
この選挙のあとのマーケットには十分注意したい。市場の暴力が起きるかもしれない。そうなれば、次の政権は極極短期政権になる可能性もある。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK140KG0U4A011C2000000/
4.「行き過ぎた金融緩和の弊害は急速な円安と物価高」
10月16日の日経新聞「大機小機」いわく「石破首相は8月に出した著書で、「『アベノミクス』とは一体何だったのか、その功罪についてきちんと評価すべき時期が来たのではないか」と述べている。(略)石破首相は、禁じ手でもあった異次元の金融緩和を「延々と10年続けてしまったこと」で、「国家財政と日銀財務が悪化」したとしている。
行き過ぎた金融緩和の弊害は、急速な円安というかたちでも表面化した。物価高を助長し、個人消費に打撃を与えた」――>まさにその通り。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84125110V11C24A0DTC000/
5.「維新は財政バラマキ派?」
元日経新聞記者の磯野直之氏から私のXに以下のリツイートをいただいた。
「財政バラマキ色が際立っている国民民主党とれいわが議席を大きく伸ばすと、与党や野党第一党の中でも財政拡張派が発言力を強め、財政破綻や円暴落の危機を近づける恐れがあるのは確かだ。 ただ、藤巻氏所属の維新も消費税率8%への減税などを公約している」
以下のように返信した。
「確かにそれはそうですが、『全政党の中では(幸福実現党を除けば)バラマキ志向は一番薄く、かつ財源を明示しており無責任ではないのかな』とは思っています。教育無償化など結果平等ではなく機会平等を謳っています。財源を示しながら。
私は7年間でパーティー開催ゼロ回、息子の健太も3年間でゼロ回。パーテー券1枚も売ったことがないからリベートなどあるわけがないし、大量購入者のために便宜を図る必要もない。寄付金も7年間トータルで51万5000円、息子は3年間でゼロ。毎年パーティー券収入と寄付金が何千万にもなる(と新聞で読んだことがある)某政党とは違います。我々親子は極端かもしれないけれど、維新は皆似たり寄ったり。又、組合からの支援もない。だからしがらみのない政治が出来、ばらまく必要もなく、国全体として本当に必要な分野に集中して財政を突っ込むことができます。維新が無茶苦茶な財政拡張派にならなくて済む理由です」
6.「日銀が保有国債を売ると日銀バランスシートは縮小するのか?」①
昨日、以下の質問を私のX にいただいた。
「藤巻さん、素人質問なのですが、、、今ある590兆円規模の国債が何の問題もなく処分できたとして(市中で売れる、ないしは政府から償還される)、受け取った現金はどうなるんですか?資産の部に現金として載ってくるのなら、BSの規模は変わらないですよね?」
以下のように返信した。
「今、日銀がやっている異次元緩和(=日銀保有国債<日銀の資産>が増え、日銀当座預金<日銀の負債>も増える)と反対のことをやるのですから、日銀の資産も負債も減少します。なお、現金や預金は国民や企業にとっては資産ですが中央銀行にとっては負債であることに注意をしてください」
7.「日銀が保有国債を売ると日銀バランスシートは縮小するのか?」②
更に質問が続いた。
「日銀が10億の国債をみずほ銀行に売りました。その10億はどこに行くんですか?」
以下のように返信した。
「みずほ銀行が日銀に預金している日銀当座預金が10億円減ります。すなわち日銀のバランスシ➖トは資産の国債が10億減り、負債の日銀当座預金が10億減るのです。バランシートは縮小します」
8.「格付け低下の可能性はあるのか?」
更に質問が続いた。
「ただ、政府から償還される分の現金はマーケットに出ますよね。
日銀のBSは縮小してもマネーサプライは減らないのでは?」
以下のように返信した。
「政府の銀行は日銀です。政府から満期で国債が償還されると元本分のお金が政府が日銀に預金している政府預金(日銀当座預金同様、日銀の負債)が減ることによって行われます。皆さんの住宅ローン返済は皆さんの銀行預金残高が減ることによって返済されるのと同じです。民間が保有している元本分のお金は、日銀当座預金に振りかわりますから日銀のバランスシート規模は変わりませんが、日銀が保有している分の国債(次銀の資産)については、政府預金の減少(日銀の負債)が日銀保有国債の減少で相殺されます。したがって日銀バランシートは縮小されますのでマネーサプライは減少します。
蛇足ですか「政府は国債を借り続ければいい」と言うとんでも金融論を唱える人がいますが、国債元本償還日に、日銀もしくは民間が償還元本金額を政府預金口座に入れてくれなければ(=借換債の購入)政府は政府預金の残高が不足し元本が償還できず、デフォルトとなります。借換債を購入するか否かは、購入者の意思次第であって義務ではありません。日銀が買オペ額を減額しで、購入者としての地位から撤退し始めるとこのデフォルト確率が高まります。国際格下げの可能性が高まるということです。ジャンク債カテゴリーに近づいている日本にとってはXデイの1つとなりえます」