(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません
私の個人的見解・分析であることをご理解ください)
1.「今後、日銀の通貨発行“益”は巨大な通貨発行“損”に変わり、それが長年続く」
通常、中央銀行の経常利益とは「通貨発行益」、すなわち「保有資産の受取利息―負債に対する支払利息」である。昔の日銀の負債はほとんどが「発行銀行券」であり、金利支払いは無かった。したがって私が金融マンだった頃の通貨発行益は保有資産からの受取利息そのものだった。イメージ的には年刊の経常利益は1兆円から1兆5000億円だったと記憶している。
ところが「異次元の量的緩和開始」の結果、日銀の負債の主体は「発行銀行券」から「日銀当座預金」に変わっている。
令和5年度のこの本来の「通貨発行益」は?とみると保有国債からの受取利息が1.7兆円に対し、支払利息の方は0.2兆円弱でやはり1.5兆円程度である。
お金をばらまいてしまった以上、今後の利上げは「日銀当座預金」に対する付利金利の引き上げで行われる。令和5年度の日銀当座預金への付利金利はほぼゼロ%だったから「通貨発行益」は、まだプラスだが、今後は政策金利引き上げに伴い、支払い金利が急増する。なにせ2024年3月末の日銀当座預金残高が561兆円だ。1%の金利上昇ごとに5.6兆円の支払い増だ。簡単に通貨発行“損”に変わる。保有国債は長期固定金利だから当面受取利息は増えない(=満期が来て新しい国債に入れ替わるまで受取利息は変わらない)のに支払い利息は政策金利の利上げのたびに即上昇する。とんでもない通貨発行“損”が長年続くのである。日銀とその発行する通貨が信用を保持し続得られるとは私は到底思えない。
2.「長期金利が0・1%上昇するごとに生じる日銀の保有国債評価“損”の2.9兆円とはいかに巨大か?」
長期金利が0・1%上昇するごとに日銀の保有国債評価“損”が2.9兆円増大すると述べてきた。この2.9兆円とは今までの日銀の毎年の利益(=通貨発行益)の2倍に相当する。たったの0.1%の上昇での日銀の毎年の利益(=通貨発行益)の2倍に相当する評価損が生じるのだ。背筋が凍る。
年間1500万円の収入の家計が長期金利が0.1%上昇するごとに保有資産の価値が3000万円ずつ下落するのだ。貴兄は寝られますか?長期金利は8月28日の0.89%から、先週末は1.06%と0.17%上昇している。
過去の日本の10年金利の最高は1980年4月の11%。日本版トラスショックが起きれば、簡単にこの程度は上昇すると思っている。円は当然紙くず。
3.「異次元緩和で一線を踏み外してしまった日銀」
そうは言いながらも、令和5年度の日銀の経常利益は4.0兆円、税引き前当期純利益は3・1兆円である。
これは株関係の利益が1.2兆円、為替差益が1.3兆円あるからだ。私が金融マンの時はこれらの項目は存在しなかった。株価が下落すれば、また円が上昇すれば、霧散するどころか大きな損失項目になりうる。これらの項目で当期純利益を上げ、債務超過を回避している中央銀行など、危なくてしょうがないし、すでに中央銀行の体をなしていない。世界の投資家がそのことに気が付けば、日銀が信用を失うのは必至であろう。
正当派金融論/伝統的金融論では「通貨の信用を守るために、価格が大きく上下する資産を中央銀行は保有してはいけない」が基本のキであったし世界の中央銀行の多くをいまもその基本を遵守している。ダントツに大やぶりしているのが日銀だ。
4,「中央銀行たるもの、中央銀行マンたるもの」
私がいくら「日銀の財務状況が危ない」と言っても多くの日本国民は聞く耳は持たない。それこそ「日銀とは公正無私の機関で日銀マンは中央銀行マンとして矜持を持って業務を行っている」と信頼しているからだだろう。だからこそ日銀と円の信用が保たれている。確かに異次元緩和開始前の日銀や日銀マンはそうだった。
しかし異次元緩和により、日銀は政府の破たん先送り策に手を貸し、泥沼に引く図離婚でしまった。正当派金融論/伝統的金融論からするともうとんでもなく滅茶苦茶なことをしまくっている。
それに世界が気が付いた時、信頼・信用はもろくも崩れ去り、日本人はとんでもないほどのツケを払わされることになる。出口(解決策)は中央銀行のとっかえしかないと私は思っている。人災。
5.「夕食会」
金曜日は根津さん(根津百貨店元社長、に津美術館理事長・館長)、渥美さん(元鹿島建設社長、現顧問)、柳井純ちゃん(元三菱商事副社長、私の雙葉幼稚園時代のクラスメート)、田辺さん(元三菱商事副社長、私が理事をしている東洋学園の評議員)、安倍寛信さん(元三菱商事中国支社長、安倍元首相の実兄)と私の6人で会食@六本木ヒルズのイタリアン「イル ブリオ」
安倍さんとは安倍さんが三菱商事中国支社長の時にお会いして以来だが、あとの5人はしょっちゅう会っている仲間。根津さんは同じ歳、渥美さんは一つ上で30年来、柳井純ちゃとは70年来のお付き合い。
面白いのは完璧な割り勘。通常6人だと総額を6等分するのだが、我々は一人一人当たり何を食べたか、何を飲んだかで別々の請求書で払う。おごった、おごられたの友人関係ではない。