(ここに述べる意見/分析は日本維新の会の公式見解でも分析でもありません
私の個人的見解・分析であることをご理解ください)
1.「『長期金利は政策次第で安定的な移行も十分可能』などとのお花畑的な発想は?」
昨晩以下のようなリツイートが私のX に来た。
「日銀の国債買いオペ減額による金利上昇は避けられないが、急騰は抑制可能であり、政府も財政運営で対応できる。日銀の債務超過は直ちに問題とならず、インフレも制御手段があるため、「金利急騰・財政破綻・インフレ暴走」は不可避とは言えない。政策次第で安定的な移行も十分可能」
以下のように回答した。
「マーケットのド真ん中にいて、6.1国債の暴落、タテホショック、ブラックマンデイ、バブル崩壊、資金運用部ショックを経験、生き延びてきた身としてはそんなお花畑的な発想は持てませんな。 一応私が(当時世界1の銀行と言われ、とてつもなく大きなリスクも取っていた)モルガン銀行の東京支店長兼在日代表に、実績を買われてなった時(当時、外銀の日本人東京支店長は東京市場で私一人だった)、米国の通信社は「モルガンは、国債のスタートレーダーを東京支店長に抜擢した」と世界中に打電した。ド素人の分析ではなく(過去の話とはいえ)それだけの実績と経験を持った男の感想であることはお忘れなく」
2.「過去の日本の長期金利のレベル」
今、日本の長期金利は1.3%だが1980年4月は11%を記録している。1985年に10年金利の債券先物市場ができたが、今でも取引に使われている仮想国債は6% 10年満期のものである。なぜ6%のクーポンか?債券先物を創設した198 5年当時の10年金利平均は6%だからである。当時に比べて、今の1.3%が正当化される理由は何か? 名目長期金利は実質長期金利+期待インフレ率+政府の倒産(=財政破綻)確率で決まる、が伝統的金融論の教えである。今の日本の金利がここまで低いのは、ひとえに日銀が国債発行額の95%を買い取っていたからである。その前も資金運用が最大の買い手だったり金融危機の際に資本投入をした金融機関に融資需要がなくなったにもかかわらず利益を上げなければ、頭取はクビとのプレッシャーを与えるなど、官が銀行に強制的に国債を買わせる仕組みを作っていたからである。そのような仕組みがなくなっている現在、日銀が買わなくなれば、長期金利は跳ね上がる。私は日銀が完全撤退すれば、低く見積もって30%位までは跳ね上がると思っている。1998年のロシア長期金利は80%位まで上昇したと記憶している。ちなみに私の計算では、今長期金利が0.1%上昇するごとに日銀の保有債券評価損は2.9兆円ずつ増える。長期金利が上昇すれば日銀は聞くだけで即倒してしまうほどの債務超過だ。
3.「保有国債の評価損が拡大しつつあるときに買い迎えるサラリーマントレーダーなどいない」
長期金利がマイナスからプラスに転じた頃だったか、もう少し後だったか忘れたが、マスコミに機関投資家が0.8%になったら猛然と買うというニュースがたくさん流れた。なぜ皆が0.8%と言うのか不思議に思った。どうせ右へならえで右の人がそう言ってるかだろう。私は期間投資家の0.8%で買い始める宣言は「0.8%で上昇は止まりますから皆さんぜひ買ってくださいな。皆さんが買い始めてくれるなら私も買いに行きますよ」との表明に過ぎないと書いた。実際、長期金利が0.8%に上がっても誰も買う気配を見せなかった。その後1.2%と言う数字もマスコミをにぎわした。誰も未だに買う気配を見せない。保有国債の評価損が拡大しつつあるときに買い迎えるサラリーマントレーダーなどいない。マーケット経験のない経験者が買い向かう判断などできるわけもない。株主が怖いし、ましてや倒産が怖いからだ。 しかも、過去10年間で発行国債の95%をも買ってきた日銀が撤退を始めると言うのだから、こんな低金利の国債を先頭を切って買うプロなどいないだろう。
4.「素人の考えは『下手な考え。休むに似たり』」
私が参議院議員第1期の時、参議院の調査会で土木が専門の某京都大学教授が「国債は暴落はしません。科学的調査の結果です。債券の保有機関に聞いたら、絶対売らないという。自売れば、価格が下がって、自分で自分の首をしめるからだ。マーケットをしらない人ほど暴落、暴落と騒ぐ」と私の顔をわざと見ながら、おっしゃった。
なにを言う、この人?と思ったものだ。
質問したらたじたじでした。議事録を見ればお判りでしょう。
まず第1に私が、国債マーケットではバリバリの実務者だったということを知らずに人を馬鹿にするな、ということ。2番目にそんなアンケートを科学的という笑い話。過去、幾多の危機でまっさくに逃げ出した(=売りに入った)のは日本人の国債村の人間だ。損を最小限におさえようとするのがプロの責務だ。第3に、日本は、毎年、30兆円~40兆円の新発国債を発行している。保有国債を誰も売らなかったとしても、個素新発国債を買い増す人がいなくなれば国債相場の需給は大崩れだ。質問したらたじたじ尾だったことは議事録を見ていただければわかる。
素人のマーケット分析など、こんなものだ。
5.「統合政府で考えると日本は極めて危険」
昨日、以下のようなリツイートが私のX に来た。
「債権者の日銀が債務超過になるってことは、債務者の政府は資産超過になります。日銀は政府に国庫納付しているので、連結で考えればプラスマイナスゼロ。これがいわゆる統合政府なんだが、何故か日銀債務超過論者はこれはスルー。」
以下のように返答した。
「政府単体で考えると、長期運用、長期調達(=国債発行)で、金利上昇期でも、まだ何とかなったが連結で考えると、長期運用、超短期調達(=日銀当座預金)で、金利上昇期に極めて危険な状況に日本国はなってしまった。金利急上昇期に変動金利で住宅ローンをめちゃくちゃに借りまくっているようなもの。財政ファイナンスとは統合政府論の実践であるが、財政ファイナンスが危険と言われる理由の1つ。2年ほど前のシリコンバレー銀行のバランスシートと同じであるが、危険度は格段に大きい。農中の長期運用、短期調達問題が異次元に可愛く見える」。
6.「日本は、金融機関が潤沢な預金で国債を買うからまだ大丈夫か?」
昨日、以下のようなリツイートが私のX に来た。
「ドルを買うのは賛成だけど、日本の財政破綻と結びつけるのがなぁ。。日本は金融機関が潤沢な預金で国債買う限り、まだまだ当面破綻しないよ」
以下のように返答した。
「2012年以降、日本政府の発行した国債の95%相当額を日銀が買っています。その日銀が国債買いオペを減額していくと言うのです。(私が銀行員の頃は日銀は短期国債のみの30兆円程度の保有。今は580兆円)長期金利急騰は自明。倒産したくない銀行ならばよっぽど金利が上がらない限り国債なんか買わないですな。長期金利が急騰すれば政府は予算も組めなくなるし、日銀はとんでもない債務超過。日銀が国債を買い続ければ、お金が市中に流れ込み続け、インフレ急加速」。
7.「日銀が今大々的にやっていることは過去、世界中でハイパーインフレを引き起こし現在では世界中で禁止されている財政ファイナンスそのもの」
2013年4月から10年間の国の新規国債発行額は約480兆円、同期間の日銀保有国債の増加額は約456兆円(元日銀理事山本謙三さん著の「異次元緩和の罪と罰」より(講談社現代新書)より。
国の歳出を中央銀行が新しくお金を発行して賄っていることに変わりはない、これは、過去世界のいたるところでハイパーインフレを起こした経験から世界中で禁止されている財政ファイナンスそのもの。