1.明日の参議院財政金委員会
明日(14日(火)の参議院財政金委員会で質問にたちます。11:36~12:04です。黒田日銀総裁、麻生金融大臣に聞きます。
①暗号資産の税制について②米国の有識者の間で「ハイパーインフレが来る」と大ブーイングのMMTを日本は異次元緩和の名の下でやっているのではないか?(8日の黒田総裁のまやかし答弁に対する追求)③明日、金利を1%上げると日銀の収益はどうなるか?等です。
議事録が出次第、議事録を載せます。
2.MMTを日本で実行?だとすればハイパーインフレのリスク
昨日更新の言論プラットフォーム「アゴラ」に5月9日の参議院財政金融委員会で行った私と黒田日銀総裁との「日銀はハイパーインフレになると米国で大ブーイングのMMTを異次元緩和という形で日本で実行しているのではないか?」との質疑の議事録を載せていただいています。黒田総裁の答弁は①財政再建に努力しているからMMTではない。②今、日銀がやっていることは引受けではないからMMTではない、とのこと、苦しい、ですね~。
今度の火曜日には①財政再建は努力しているだけで進行していないのではないか?②今、やっていることは実質財政ファイナンスではないのか?を聞いてみます。(①明日の参議院財政金委員会 ご参照)http://agora-web.jp/archives/2038977.html
3.260回週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」
260回週刊朝日「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」は「猫の手も借りたいほどの労働力不足?」というタイトルで以下のとおりです
「(前略)。
改正出入国管理法が成立した。猫の手も借りたいほどの人手不足の業界もあるだけに、むげに全否定するわけにはいかないだろう。
一方で、もろ手を挙げて賛成する法律でもない。
まず第一に、本当に人手不足ならば賃金はもっと上がっているはず。劇的に上がっていないのに人手不足と言われても、「なんだかな~」と思ってしまう。
政府のこれまでの政策とも矛盾する。経団連に賃上げ要請してきた一方で、外国人労働者を呼び込もうとする。労働供給を増やせば賃下げにつながるので、「やりたいのは賃上げか賃下げ、どっち?」と思う。
政府の賃上げ要請を最初聞いたとき、「日本は本当に資本主義国家なのか?」と私はのけぞった。まさに社会主義的、計画経済的。
資本主義国の政府がなすべきは、労働需要を増やす環境づくりのはず。外国企業の日本誘致や海外進出した日本企業の呼びもどしだ。
それでこそ、日本人労働力の需要が増え、賃金が上がる。現在、人余り気味のホワイトカラーへの影響が特に大きい。モノやサービスと同様、賃金も需要と供給の関係で決まるはずだ。
日本政府は企業を呼び込む(=労働需要を増やす)努力をしないばかりか、逆に供給を増やそうとする。
これでは日本人労働者が救われない。だからこそ、受け入れ外国人の上限数を明確にすべきだと思う。
その点、トランプ米大統領を見習うべきだ。厳しい移民政策で労働供給を制限し、企業の米国回帰や外国企業の米国誘致で、職の安定と賃上げを図っている。
日本経済新聞の10月3日付夕刊I面に「農業ロボ育め 米で投資拡大」という記事が掲載された。
(中略)
これがあるべき姿だ。人手不足ならばヽ経営者は機械化で生産性を向上させる。
人手不足なのに機械化を進めず、「外国人の受け入れ拡大」とその場しのぎの対応をとるならば、日米農業の生産性はますます差がつく。人手不足は槻械化の好機ととらえるべきだ。
(略)
今回の法律の最大の問題点は、「移民にどんなスタンスをとるか」について国民的議論がないままで、その場しのぎの対応をとることだ。その結果、移民や外国人労働力の受け入れ問題が迷走すると思っている。」
4.暗号資産が投機の対象なら金融所得税制(20%源泉分離)にすべきでは?
9日の日銀ヒアリングの中で黒田総裁が私の暗号資産に関する質問に対し「この暗号資産というものは法定通貨ではありませんし、その値動きが極めて激しいということもあって支払決済には余り使われておりませんで、ほとんど投機の対象となっております」と答えられた。暗号資産が投資対象として利用されているというデータを下に「金商法の規制対象の暗号資産を金融所得税制の枠組みで捉えよ(20%の源泉分離)」と次回質問時には攻めるつもりでしたが、データの替わりにこの黒田発言が使えるかも。なにせ日銀総裁発言なのですから。(①明日の参議院財政金委員会 ご参照)
5.外貨預金の為替益も20%源泉分離にすればドル預金急増で、銀行も景気も助かる
8日は銀行協会の方々をお呼びして、外貨預金の為替益を「20%の源泉税」扱いに国税当局に要望を出したら?と提案。20%源泉分離にしたら、銀行にドル預金がたくさん集まる。ジャパンプレミアムで$調達に汲々としている邦銀にとっていいではないか? ドル高円安になって日本経済万々歳ではないか?という理由です。
国税当局は仮想通貨税制を20%源泉分離にすると外貨預金との平仄が合わないとおっしゃる。ではセットで変えれば、という話です。どちらも租税法の大家・金子弘先生が譲渡所得とおしゃっているのですから。
雑所得とは他の9分類の所得区分にはいらないものと法律で定義している以上、金子宏先生の譲渡所得説が間違いというのを立証するのは国税当局にあるはずです。当局にとって、これは難しいぞ~。
6.日本は計画経済国家ではないのか?
9日の財政金融委員会で、黒田日銀総裁に「日本では株式市場も国債市場も市場原理の働かない日銀が跋扈している。資本主義の根幹である市場経済を封印しており消費者物価2%達成のために日本をソ連のような計画経済国家にしていいのか?」と聞いたところ、黒田総裁の答えは「日本を計画経済という学者は誰もいません」でした。
不特定多数の需要と供給が「儲けたい」という理由で行動することにより、見えざる手で資源の最適配分がなされる」市場経済に対し、「政府・日銀が市場をコントロールしてしまう」のが計画経済というのではないのか?
私が1990年代後半最初にはインフレが必要だ(のちに資産インフレが必要に修正)論を唱え始めたときも、バブル崩壊がちかいぞとポジションを閉じたときも、日本に19のメガバンクは多すぎ3行くらいに集約するぞ、といった時も、そういうことを言う学者は一人もいらっしゃらなかったのだが。え、この人が学者という人がいる。その一方、学者がいつも正しいとは限らないと思います。
(参考)令和元年五月九日の財政金融委員会議事録
以下、令和元年五月九日の財政金融委員会での私と黒田日銀総裁との質疑の議事録です。長いですが時間がある方は読んでいただければ幸いです。質問通告を出してあったのに、黒田答弁は全部において極めて苦しかったと思います。ご自身でも苦しい答弁であることは充お分かりかと思います。もう異次元緩和の出口が無いのが明々白々ですから。
「日本維新の会・希望の党の藤巻です。両会派を代表して質問させていただきたいと思います。
これ質問通告していないんですけれども、今ちょっと見ていたら、為替が百十円を割って百九円台に突っ込んでいて、それなので、株も二百五十円安ぐらいになっている。昨日ニューヨーク・ダウが上がっているにも、上がっているというか、変わらなかったにもかかわらず、これきっと円高のせいだと思いますけれども、日本株が下がっているということで、ちょっとお聞きしたいんです。
これは質問通告はないので回答は結構ですけれども、回答がなくても、一応サジェスチョンというか、ということでお聞きしたいんですけれども、これ、もしこのまま中国発の貿易戦争で円高が進んでいった場合、日銀として取る手はあるんでしょうか。答えられなかったら答えられないで結構ですけれども。
○参考人(黒田東彦君) まず第一に、米中の貿易交渉がどのようになるかというのは、まだ今のところ分かりません。中国の代表団がワシントンに行って交渉を続けるということになっておりますので、私どもとしてはそれを注視しているというのがまず第一であります。
次に、為替市場の動向は当然経済や物価に影響を与えますので、その限りでは注視しているということは事実ですけれども、為替政策自体、つまり為替の安定であるとか為替介入であるとか、これは御承知のように財務省の所管でございますので、私どもとしてその為替の安定に向けて何か行うといったものではないというふうに思っております。
○藤巻健史君 今円高が急速に進んでしまうと、私思うに、今、日銀は手がないと思うんですね。だとするならば、唯一考えられる政策というのは、やっぱり米ドル債、アメリカ国債の購入しかないのかなと思うんですけどね。異次元量的緩和は当然これ継続できます。要するに、別に、日本国債を買わなければ異次元緩和できないわけじゃなくて、買うものは何でもいいわけですから、米国債を買ってお金を供給できる。そして、ドル円が進みます。あっ、ドル高、円高が防止できます。かつ、FRBも今バランスシートの縮小に極めて苦慮しているわけですから、FRBから直接買ってあげれば、アメリカは反対しようがないんですね。だから、唯一の策は、米国債の購入かなと私は思っています。まあこれ以上、今日は質問通告ないので、これは今後で結構でございますので、一応コメントでございます。
次、お聞きしたいんですが、暗号資産についてお聞きしたいと思います。
二〇一三年に、当時のバーナンキFRB議長は、米上院国土安全保障・政府問題委員会に宛てた書簡の中で、仮想通貨は一九九〇年から注目を浴びてきた点に言及し、効率性や安全性などが求められるとはいえ、ビットコイン・アンド・アザー・バーチャル・カレンシズ、メイ・ホールド・ロングターム・プロミスという表現で、長期的な価値があることを認めていらっしゃいます。
これに関し、二〇一三年十一月十九日の日経新聞ですけれども、基軸通貨であるドルを発行するFRBにとってもビットコインは無視できない存在になりつつあると書いてあるわけですね。
要するに、ビットコインなり暗号資産が浸透すると、確かにドルは基軸通貨としての位置をちょっと侵害されるというところもあるので、ちょっと問題なのかなという点もあるんですけれども、それでもFRB議長は暗号資産についての意義を認めていらっしゃったと思うんですが、黒田日銀総裁はどういうふうに今お考えか、お聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) この暗号資産というものは法定通貨ではありませんし、その値動きが極めて激しいということもあって支払決済には余り使われておりませんで、ほとんど投機の対象となっております。このため、中央銀行間の国際的な議論でも、通貨という呼び方は避けて暗号資産というふうに呼ばれることが多くなっております。
日本銀行は、暗号資産について、これが支払決済への人々の信認を損なうおそれがないかといった中央銀行としての観点から、引き続きその動向を注意して見ていきたいというふうに考えております。
○藤巻健史君 今お聞きしていると、極めて後ろ向きな態度にお聞きしたんですけれども、でも、例えば、日本国内での取引であればそれは円でもいいかと思うんですけれども、普通の通貨で、法定通貨でいいと思うんですけれども、外国貿易をする場合には、今世界では、銀行勘定、銀行での勘定を持っていない十七億人いるわけですよ。彼らはその法定通貨では、だから世界の貿易の中に入れっこないわけですね。だって銀行口座を持っていなかったら決済できませんからね。
その点は、暗号資産というのは、その十七億人を世界経済の中に取り込むという意味では極めて重要なツールだと思うし、そうすれば世界経済も物すごく広がっていくというふうに思うんですが、それでも通貨として余り認めないというふうにおっしゃるんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたのは日本銀行としての考え方ですけれども、BISの会議その他で、ほとんどの先進国の中央銀行は全く同じ考えであります。
○藤巻健史君 法定通貨対暗号資産との戦いというのは確かにあるとは思います。
これちょっと次回に、これ以降、たくさん今日は聞きたいことがあるので回しますけれども、先ほど、熊野議員の方から日銀デジタルという話が出てきたわけですよね。
日銀デジタル、当然のことながら私も大賛成で、五千円札とか一万円札をなくすべきだと思っているんですね。その原因は、先ほどデメリット、メリットなんか質問がありましたけど、私は物すごいメリットがあると思っているんです、日銀デジタルは。
それはなぜかというと、今やっている異次元の量的緩和というのは、私は最初から間違いだと言っているわけです。要するに、日銀の金融政策というのは伝統的金融政策に固着するべきだと。要するに、景気が悪かったら金利を下げる、景気が良かったら金利を上げるという伝統的金融政策に固着するべきであって、今みたいに異次元の量的緩和は、私は最初から間違いだと思っています。
当時私は、今の日銀のマイナス金利政策じゃなくて藤巻流マイナス金利をずっと言っていたんですけれども、これは藤巻は頭がおかしくなったと言われていました、確かに。それは確かに預金金利にも、それから貸出金利もマイナスにしちまえという説だったので、常識からは離れていたんですよね。
でも、だから、そういう意味では、かなり頭がおかしくなったと言われたんですが、唯一まともな反論が日銀の内部から来たんですよ。それは何かというと、マイナス金利にすると、たんす預金が増えてしまう、これが最大のネックであるという反論を、ああ、これは私、非常にロジカルな反論だと思ったんです。
だとするならば、たんす預金なくしちまえばいいじゃないかと。たんす預金をなくせれば、マイナス金利、簡単にできますから、それこそ伝統的金融政策に戻れて、日銀というのは今の政府の紙幣印刷所から、きちんとした中央銀行としての役割を戻せるわけですよ。そういう意味では、日銀デジタルというのは極めて重要かなと私は思っています。
でも、今日も、これもちょっと質問通告しているわけじゃないので、今日は、次回以降にこれ議論させていただきたいと思います。
次の質問通告をした質問に入りますけれども、MMTについて。これ、先ほどもう既にいろいろ話が出てきて、回答も聞きました、MMTについての回答を聞いた、どう思っていらっしゃるかということを聞いたんですけれども、先ほど総裁がおっしゃったように、MMTというのは、自国通貨建てで借金をしている限りインフレが加速しなければいつでも借金を大きくしても大丈夫だという理論だったというふうに、総裁おっしゃったとおり、私もそう思います。
で、なぜ自国通貨なら大丈夫なのか、彼らが言っていることですけどね、他国通貨で発行したらどうして駄目なのか教えていただきたいんですが。
○参考人(黒田東彦君) それは非常に単純な話だと思います。先進国は余りしておりませんけど、途上国は外貨建ての国債、外貨建ての社債、外貨建ての銀行の借入れ等がありますので、それの返済のためには、経常収支黒字でお金が入ってくる、あるいは資本がたくさん流入してくる、あるいは外貨準備が十分あるということがないと、まさにアジア通貨危機であれメキシコ通貨危機であれ、様々な金融危機、通貨危機というのは外貨建ての債権の返済が滞ってなっているということでありますので、そういう意味では外貨建ての国債と自国通貨建ての国債とは性質が異なっているということは事実だと思います。
○藤巻健史君 そうですよね。日本が例えば百億ドルの国債を発行したとすると、一ドル百円のときは一兆円が調達できるわけですけど、満期が来て百億ドル返そうと思った、そのときに一ドル三百円だったら三兆円が必要ということで資金繰り破綻しちゃう可能性がある、だから他国通貨建てでは財政危機のリスクがある。しかし、自国建て通貨を発行している限り、中央銀行は紙幣を刷れますから、だから破綻しないというのがMMTだと私は思うわけですね。要するに、紙幣をどんどん発行するためには中央銀行は何か資産を買わなくちゃいけないんで、そのときに発行された国債を買ってお金をばらまいていくということだと思うんです。
で、私もそれは、だからそういう意味で言うと、自国通貨建てで発行していれば財政は破綻しないです、当たり前の話です。しかし、日銀が刷りまくるということによってハイパーインフレが起こっちゃうと、こういうリスクがある、これがMMTに対する一番の批判だと思いますし、これ、大門さんが後で、資料配っていらっしゃいましたけど、これ一ページしか付いていませんけれども、MMTについてはもうこれ三ページぐらいたしかこの四月十七日の資料がたくさん出ていて、この大門さんの配られた資料ではクルーグマンとかパウエルとかシラーだけですけれども、これ、あとサマーズとかイエレンとかもうそうそうたるメンバーが何十人と反対意見言っていますよね。基本的にはやっぱりMMTをやるとハイパーインフレになってしまうという批判だったと思うんですけど。
そういうことで、私もMMTというのは大反対であるんですが、じゃ、このアメリカの重鎮たちが大反対している、こんなことをやっていたらハイパーインフレになっちゃうよということを日本は異次元緩和でやっているんじゃないですか。まさにケルトン教授は日本は実験中であるとおっしゃっているんですから、MMTを実行しているのは日本であり、そしてアメリカの重鎮はみんな危ないぞというふうに言っているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) この点については全くそうでないというふうに考えております。
まず第一に、MMTの議論で言われているのは、言わば財政赤字とか債務残高を全然考慮しないで、言わば大量にというか無制限に国債発行して減税や公共事業に充てると、その国債を中央銀行に全部引き受けさせてやっていくという議論でして、そうなったら当然ハイパーインフレーションのおそれがあるということで、到底米国の学会でも受け入れないわけであります。
私どもが現在やっていることは、財政当局は財政政策として機動的な財政運営をしつつ、中長期的な財政の持続性を確保するための財政再建の努力というものを引き続きやっておられて、それが十分な成果を上げることを期待しているわけですし、私ども自体は、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために大胆な金融緩和をしているわけですけれども、国債も、あくまでも市場で流通している債券の一番大きな債券であり、重要な債券である国債を自主的に市場から購入しているということで、MMTの考えているようなことをやっているということは全くありません。
○藤巻健史君 全く分からなかったんですけどね。私は、全く同じことを日本が、MMT理論を全く実行しているというふうに取れるんですが。
今、黒田総裁がおっしゃっていた財政事情を考慮せずに国債を大量に発行した。日本は世界最悪の赤字国ですよ。対GDP二三六%の赤字発行しているんですから、もう一番最悪の状況なのに赤字国債を発行し、それを実質日本銀行が引き受けているのに、まさにMMTを実践しているというふうにしか思えません。
それで、ついでにそれに関連してですけれども、そうやって紙幣を刷るために日本銀行は大量に日本株を買い、そして大量に日本国債を買い、それから、まあ程度はまだ大したことはないという、大したものですけれども、九百億円、年間九百億円でJ―REITを買っている。
日本株ですね、日経新聞、この前の日経新聞によりますと、これ何日だったかな、四月十七日の日経新聞ですね、日銀は二〇二〇年末にも日本最大の株主になると推計し、機関投資家、外国人が主導して発展してきた日本の資本市場は、中央銀行が主導するこれまでにない段階に入ると書いてあるわけですよ。要するに、中央銀行で、世界の中央銀行で株を買っている中央銀行って、金融政策でですよ、ありますか。私の理解ではないんですよ。その唯一の中央銀行が日銀で、それが日本株の最大の株主になってしまう。
ましてや、国債はもっとひどいですよね。保有高、ストック面でいうともう四〇%を、発行高の四〇%を超す保有主である。そして、フローで見たって、平成二十九年だと、たしか百四十一兆円国債発行されておるうち九十一兆円だったかな、九十兆円ぐらいを買っているわけですよ。七割から八割の国債を買っているわけです、発行市場で、発行市場じゃなくてフローで見るとね。これこそ昔のソ連である計画経済そのものじゃないんですか。市場を、市場原理の働かない政府とか日銀とか機関が圧巻する、ばっこするのを私は計画経済だと言うんです、と思うんですけれども、ここまで日本のせっかく資本主義の根幹である市場を壊して、そして計画経済まで持っていって、これ問題ないと思っていらっしゃるんでしょうかね。
基本的には、ソ連もそうですけれども、計画経済というのは一生懸命これ何とか何とかやっていって最後にうみがぼおんと出るわけですよ。私は、それがハイパーインフレだと思っていますけれども、同じように財政危機があった、財政破綻、資金繰り倒産するのは嫌だったから日銀が引受けをして紙幣を刷って、何とか日本銀行、日本の財政破綻を防いでいた。それをどんどんどんどん、その結果、株式市場と債券市場と、そして不動産でもちょっとですけれども、まさに市場原理の働かない日銀なんというものがばっこしちゃったと。これは、私は非常にゆゆしき問題だと思うんですよね。
私が少なくても金融マンだったときは、日銀は株も買っていなかった、国際市場においてもほとんど存在感がなかった。非常に、まさに市場経済でしたよ。それが何でこんな計画経済を許すのか。消費者物価指数二%を達成するためにそんなに大きいコストを払っていいのかと。どうなんでしょうね。
○参考人(黒田東彦君) 私は、日本経済が計画経済になっているというふうに全く考えておりません。日本銀行による国債あるいはETFの買入れが市場原理を失わせたといった指摘も当たらないというふうに思います。
例えば、ETFにつきましても、先ほども申し上げたように、日本銀行のETFを通じた株式の保有割合は市場全体の四%程度にとどまっておりまして、市場の機能度に大きな影響を与えていることはないというふうに考えております。
なお、国債については、確かに残高の四割程度を今保有していることは事実ですが、これはあくまでも長短金利操作付き量的・質的金融緩和ということで大幅な強力な金融緩和をするということの効果であります。
金融政策は、伝統的な金融政策でも公定歩合その他短期の金利はコントロールしていたわけですね。現在、短期金利はゼロ以下になっていますので、これ以上のマイナス金利というのはどこの国でもやっていませんので、それは実際上機能しないということで、十年国債の金利をゼロ%程度にするということで国債の買入れを行っているということでありまして、あくまでもそういったことを通じて市場金利を適切な水準に引き下げるということでありまして、国家が経済活動を統制するといった意味での計画経済になっているとは全く考えておりませんし、そういうふうに言う内外の学者の人も一人もいないと思います。
○藤巻健史君 学者は言わなくても私は言っていますけどね。
確かに、短期市場は日銀がコントロールする、これは昔からそうですよ。これは、それをもって計画経済と言う人はいないと思いますけれども、少なくとも私が金融マンのときは、短期市場は日銀がコントロールしますけれども、長期金利はマーケットが決めると、これは金融界の常識だったわけですよ。それを日銀がこれだけコントロールしているというのは、まさに私は計画経済だと思うわけですよ。もし日銀が国債市場から撤退したと考えたときに、金利どのくらい跳ね上がると思います。もう私はめっちゃくちゃ跳ね上がって、予算なんか組めないと思いますけどね。
それと関連して申し上げますと、よく財政規律が崩壊したと言います。例えばイタリアなんかは、財政がおかしくなると途端に長期金利が上昇して、国民が財政赤字がたまったりすると大変だと気が付くわけですよ。ところが、日本においては、日銀がこんなに圧倒的にゼロ金利で、腕力で金利を抑えていますから、これは財政危機が、幾ら借金がたまっても誰も警戒しないわけですよ。
そうやってまさに異次元の量的緩和で、財政危機を、規律をなくしている。要するに、異次元の量的緩和をやることによって、まず計画経済になった、財政規律を崩壊させた、そして地銀がもう、これは今日は質問しませんけれども、地銀経営が苦しくなっている。そろそろ限界じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうかね。
○参考人(黒田東彦君) 財政運営につきましては、政府、国会の責任において行われるものであるというふうに認識しておりまして、具体的にコメントするのは差し控えたいというふうに思います。
その上で、一般論として、従来から申し上げているように、我が国の政府債務残高が極めて高い水準にある中で、政府が中長期的な財政健全化について、市場の信認をしっかりと確保することは重要でありますし、二〇一三年の政府、日本銀行の公表しました共同声明におきましても、政府は持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進するということになっております。
日本銀行としては、物価の安定という自らの使命を果たすため、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要であるというふうに考えております。
○藤巻健史君 財政再建をしなくちゃいけないのに、日銀が異次元の量的緩和をやって長期国債の爆買いをしているから、長期金利が全く上がらず、まさに財政規律を壊している、まさに日銀が財政再建の妨害していると、私にはこう思えてしようがないんですけどね。
それはともかく、ちょっと時間がないので、幾つか問題を質問して。今ステルステーパリングやっているというふうに聞いていますけれども、どこまで購入量、購入量じゃなくて購入量増ですよね、増やす方ですから、よくみんな間違えているところありますけど、購入量じゃなくて購入増を減らすつもりなんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、物価の安定に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブを形成するということで長短金利操作を行っておりますので、具体的な国債買入れ額は金融市場の状況に応じて変動するということでありまして、最近の国債買入れのペースはひところよりも減少しております。これもゼロ%程度という長期金利の操作目標を実現するために必要な買入れを実施した結果であります。
テーパリングというのは、たしか米国のFRBが金融政策の正常化に向けた出口政策の一環として国債買入れ額を意図的、段階的に減額したものでありまして、日本銀行の国債買入れ額の変動はこういったテーパリングとは全く性格を異にするものであるというふうに考えております。
したがいまして、その購入額というのは変動するわけでして、どこまで減らすとかそれ以上減らさないとか、何かそういう目標があるわけではなくて、あくまでも長期金利の操作目標を実現するために必要な買入れを行っていくということでございます。
○藤巻健史君 私の質問は、もうちょっと言っちゃうと、購入量をこれ以上減らせるかという質問になるんですけどね。購入量は購入増ですよね。いつもマーケットの人たちも、みんな間違えている人多いんですけど、あれ購入増、目標であるのは八十兆円増やすということですから、毎年ね。今ペースが落ちているといっても、それを増やすと、どのくらい増やすかという問題があるということを注目してお話聞きたいんですけれども。
参議院の調査会で、ある大学の教授の方が、国債市場は崩れるわけはないと、なぜならば誰か売ると国債市場が崩れちゃうから、自分で自分の首を絞めたい人なんかいないから売る人はいない、だから、国債市場は崩れないとおっしゃった。全くマーケットを知らない人だなと私は思って質問していたら、答えられなかったんですけど、向こうは答えられなかったんですけど。
今、今年度予算でいうと三十二兆円の赤字があるわけですよ。満期が来ても当然のことながら国は返すお金がないから、新発国債三十二兆円と借換国債をもう一回発行して、だから百四十兆ぐらい発行しているわけですね。だから、百十兆円ぐらいの満期が来た国債を全員がまず借り換えてもらわなくちゃいけない。それプラス三十二兆円というのが毎年新しく、三十兆円かは知りませんけど、三十数兆円が毎年出てくるわけですよ。誰かが買い増さなくちゃいけないわけですよね。買い増さなかったら需給は崩れるんですから。それを誰が今買い増すかというと、今、日本で国債を買い増しているのは日銀と外国人しかいないですよ。外国人が買っている理由って、これ、私に言わせると裁定取引なんですけど。
もし日銀が今年度でいうと三十二兆円以下になったらば、その買い増さなくちゃいけない国債というのは誰が買うのか。要するに、売らないだけじゃないですよ。今現状としては、日本の国債参加者、どんどん国債保有額減らしていますよね。ゆうちょだって八〇%以上持っていたものが三〇%ぐらいになっちゃってきているわけで、これ幸いとばかりにリスクは全部日銀に押し付けようということで、どんどん減らしているわけですよ。都銀もそう、地銀もそう。増やしているのは日銀と外国人。それで、三十二兆円、今年度でいえば三十二兆円分だけは誰かが買い増してくれなかったら、国は資金繰り倒産なわけです。日銀が最低限三十二兆円買わないと、若しくはそれ以上にどんどん外国人が買い増してくれるんだったらともかくとして、そういう裁定取引でやっている外国人にそんなことは期待できないわけですね。今年よくたって、来年は駄目かもしれない。
誰が日銀の代わりに買い増してくれる人がいるのか。私は少なくともこんなレベルで買い増してくれる人は誰もいないと思うんですよ。かなりむっちゃくちゃに金利が上がれば別ですよ。そうしたら、政府、予算組めなくなりますからね。だから、そういう意味でいうと、日銀は未来永劫に国債を買い続けていかないと、資金繰り倒産なのか、国がというような状況になってしまうと思うんですが、どうなんでしょうか、大丈夫なんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 国債も、金利、価格と量と需要曲線があるわけでして、何か絶対量でこうなると誰かが絶対的にその分をどんな金利であれ買ってくれないと大変なことになるということではないので、現に、現時点では日本銀行が市場から大量に国債を買っていますので、その結果、銀行で担保繰りが苦しくなってきているということで、むしろ、その担保繰りを容易にするような措置を、日本銀行で受け入れる担保の範囲を広げたぐらいでありまして、全ては量と金利というのは相関しているわけですので、何か一定の量があると絶対に購入されないということはないわけでして、量と金利、それから先ほど言ったいろいろな担保繰りの話とかその他も含めて、一定の均衡値が成り立つと。
そういう上で、日本銀行としては、あくまでも現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和という中で適切なイールドカーブ、具体的には十年物国債の操作目標としてはゼロ%程度というのを維持する、確保するために必要な買入れを行っているわけですけれども、御指摘のように、買入れ量はどんどん減って今三十兆円ぐらいになっていると思いますけれども、別にこれが更に減ったからといって、御指摘のような何か大変なことが起こるとか、そういうふうには考えておりません。あくまでも、我々は、長期国債の操作目標がゼロ%程度になるように必要な買入れを行う、それはあくまでも二%の物価安定の目標を達成するために行っているということでございます。
○藤巻健史君 私は三十年来マーケットにどっぷりつかってきた人間で、黒田総裁もマーケットに多少なりとも関わりがあった人間だと思うんですけれども、その事態のときにそんな程度の認識でいいのかなと私はつくづく思いますけれどもね。
それはもうあれなので、ちょっと最後になります。時間がないので一言で結構ですけれども、日本銀行、このまま行って、利上げのときに債務超過になる可能性があるかどうか教えてください。
○委員長(中西健治君) 黒田総裁、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、仮に二%の物価安定の目標が達成できるという状況になって金利を引き上げていくということになりますと、付利金利を引き上げるということが一つの方策になると思います、米国等の例を見てもそうですけれども。
そうなりますと金利の支払が増えますけれども、他方で、そういうときには当然長期金利も上がっていっているということですので、保有している長期国債も金利の高いものに買い換えていくということになると思いますので、現在の大幅な金融緩和、強力な金融緩和を出口に向かっていく、あるいは、それが出口のプロセスの中で日銀の収益にどういう影響が出るかというのは、今申し上げたようなどういったペースでその短期金利を上げていくかとか、どういったペースで長期金利が上昇していくか等によりますので、収益状況自体も一概には言えないわけであります。
したがいまして、債務超過になるとかならないとかいうことについて何か断定的なことを申し上げるのは差し控えたいと思います。
○藤巻健史君 突っ込みどころ満載の御答弁でしたけれども、時間が来ましたので次回に回したいと思います。
ありがとうございました」