1.少子化問題
言論プラットフォームアゴラに、拙文「フジマキが考える少子化の真の問題と対策」を載せていただきました。
http://agora-web.jp/archives/2039303.html
2.日銀は大丈夫か
昨晩 アップしたyou tube「日銀は大丈夫か?」の議事録を3に載せてあります。先週木曜日の財政金融委員会の私と若田部副総裁との質疑です。日銀が債務超過になる可能性は極めて高いのではないか?と質疑をしました。債務超過になれば、日銀と発行する通貨の信任は失墜です。
副総裁は「中央銀行の財務が悪化することによって、それが通貨の信認あるいは中央銀行の政策遂行能力を毀損することを懸念する見方があるということについては私どもも認識してはおります。」と逃れようとしていますが、「私どもは認識しております」ではなく日銀マンなら、「充分承知しています」が正しい答弁でしょう。債務超過になっても大丈夫だと思う市場関係者がいたら教えて欲しいです。
この日、私はFRB(米国中央銀行)の利益が12兆円(2015年)から7兆円(2018年)に減っている。15年12月に利上げを開始しFRB 当座預金への支払金利が増えたからだ。一方FRB の受取利息はほとんど増えていない。増えないのは保有国債が長期固定金利だから当たり前の話(=満期が来るまで受け取り利息は変わらない)。日銀はFRBの10分の1の利益しかない。利上時に支払金利は急増するけど債務超過にならないのか?と聞いたら「受取利息も増えるから大丈夫だ」と若田部副総裁は繰り返し答弁される。FRBも日銀も同じようにほとんどの保有国債が長期“固定”金利だ。だからこそFRBの受取利息は増えていないのに、どういう理屈で日銀は受取利息が増えるのか?と聞いているのに「受取利息が増えるから大丈夫です」としか答えない。まともな回答だと思いますか?そんな回答で日銀は債務超過にならないと信じられますか?
長期日本国債は個人向け以外、ほとんど全部、固定金利(微々たる額の物価連動債はある)です。したがって満期が来るまで受取利息は変わりません。満期が来た分だけ新しい金利に変わり受け取り収入が増えます。日銀の国債保有額は490兆円ですが、今年4月から1年以内に来る満期国債はたった54兆円しかありません。ですから日銀の収入はほとんど増えないだろうと何度申し上げても若田部副総裁は「保有国債からの収入が増えるから日銀は大丈夫だ」とおっしゃるのです。たしかにyou tubeを聞きなおすと、私は「日銀が保有しているのは長期国債だから」としか言っていません。長期国債は固定金利債だということは金融関係者なら常識だからわざわざ言う必要もないと思ったのです。でも副総裁は知らないのでは?と思わざるを得ません。変動金利だと誤解しているのではないでしょうか(皮肉ではなく、本当に)? そうでなければ、長期金利が上がるから日銀の受け取り収入が上がるなどシャーシャーとは言えないはずだと思います。
3.日銀は大丈夫か?(議事録)
財政金融委員会・令和元年五月二十三日
日本維新の会の藤巻です。よろしくお願いいたします。日本維新の会・希望の党を、会派を代表して御質問させていただきます。 今日は、日銀の財務の健全性についてお聞きしたいんですが、若田部副総裁、前回、私がFRB、アメリカの中央銀行であるFRBの純利益が利上げを始めてからぐっと減ってきていると。二〇一六年には十兆円の純利益があったものが、二〇一八年は七兆円に下がってきている、三兆円も減ってきたと。この理由は何かというふうにお尋ねしましたら、当然のことながら、FRB当座預金、これ日銀当座預金に相当する部分ですね、JPモルガン・チェースとかシティバンクがFRBに預金しているその預金金利を引き上げてきたから。要するに、これは金利引上げの唯一の手段、異次元の量的緩和をやった以上、ここに金利を、付利金利を上げていくのが唯一の手段ということで、FRBもそれを採用しているわけですね。それがゆえに純利益が減ってきたというふうに御回答なさいました。もちろんそうだと思います。 じゃ、日本は大丈夫か。アメリカのFRBの純利益は現在十兆円ある。日銀の純利益は一・三兆円で十分の一しかない。これで本当に日銀当座預金の金利を上げて、日銀は、財政はもつのかという質問をさせていただいたときに若田部副総裁は、これは支払金利は上がるかもしれないけれども、保有国債、これは長期金利ですけれども、上がっていく、だから受取利息も増えていく、だから大丈夫ですよという御回答をされました。 じゃ、そこでお聞きいたします。FRBはどうなんでしょうか。ちょっと待ってください。FRBの受取利息というのは二〇一六年、千百十一億ドル、約十三兆円ぐらいですね。そして、二〇一八年、千百二十三億ドル、十二億ドル、約千四百億円ぐらいしか増えていないわけですよ。支出の方、支払利息の方は三兆三千億円増えています、二〇一六年から一八年まで。これは当然支払金利増えますから、当然三兆三千億円の支払金利増える。しかし、それを相殺する受取利息の方はたった千四百億円しか増えていないわけですよ、日本円に換算して。これは当たり前の話でね、アメリカだって日本だってFRBであろうと日銀であろうと、保有国債はほとんどが長期国債なんですから。長期国債であれば、それは長期金利が上がったからっていったって受取利息増えるわけがないんですよ。それでもこの前の御回答、確かに金利引上げのときには支払金利、日銀当座預金の付利金利を上げていく、損は大きくなるかもしれないけれども、受取利息が増えるから大丈夫だ。まだ同じような回答されるんでしょうか。お聞かせください。
○参考人(若田部昌澄君) まず、FRBの利息収入につきましては、委員御指摘のとおり、二〇一五年以降、千百億ドル程度で安定的に推移してきているということは、これは事実でございます。 その背景につきましては、FRBの保有債券残高が再投資によっておおむね維持されてきた。つまり、額の部分がまず一定であったということに加えて、日本とは異なりまして、FRBの場合は利上げを開始した時点では長短金利差が相応にございました。その後、米国の長めの長期金利が総じて安定的に推移したことから、保有債券の利回りが安定していたためと理解しております。つまり、残高が大体一定であって、そしてそれに係る長期金利というのも大体安定的であるので利息収入も安定的に推移してきたということです。 ここで、FRBが利上げをしたときには、アメリカにおいて長短の金利差が相応にありましたので、その長短金利差が縮小するような形で行われたと。日本の場合はその長短金利差というのはもうほとんどございませんので、これから先上がる場合には長期金利が上がる、つまり短期金利が上がると同時に長期金利も上がるというような場合を想定しておりますので、そのような形で先日はお答えさせていただいたと。つまり、その出口、いわゆる出口においては、長期金利が上がることによってその再投資をする部分の利息収入というのは増えるではないかということを考えていると、そういうふうに申し上げた次第でございます。
○藤巻健史君 今、副総裁は、長期金利が安定していたから収入が増えなかったとおっしゃいますけれども、長期金利、二〇一六年の平均長期金利一・八四%ですよ。二〇一八年の長期金利の平均二・九一%ですよ。一%上がっていますからね。それでも安定的だったとおっしゃるんですか。 一%金利が上がっても全然収入増えていない。平残は同じだったとおっしゃいましたよね。金利は上がっているんですよ、一%も。でも、収入増えていない。当たり前ですよ。だって、長期国債というのは満期が来るまでそのレート、昔のままのレートなんですから。それが長期国債なんですから。 ほとんどが長期国債だったから、満期が来ていないから収入が上がっていない、それは当たり前の話でしょう。今、長短金利差を広げた、それ、長短金利差が開いたところで、満期が来なかったらそんなの関係ないじゃないですか、古いレートなんだから。 要は、若田部副総裁が、前回に同じですよ、日銀も同じ、この前お聞きしました、五十四兆円しか来年満期来ないんですよ、一年間、一月一日からね。五十四兆円分しか、五百兆円ぐらいでしたっけね、国債の、四百九十から五百兆ぐらい持っている国債のうち、五十四兆円分しか新しい利回りに変わらないわけですよ。長短金利差、上げようが下げようが関係ないじゃないですか、だってもう持っているものは満期が来るまで変わらないんですから。受取利息が増えるなんて聞いたことない。 変動金利なら、変動金利資産ならいいですよ、別の話ですよ。でも、長期国債であれば変わらないんです。五十四兆円分しか上がらない。だから、収入増えないんじゃないんですか。それを、支払金利は増えるけれども、受取金利が上がるから日銀の財務大丈夫なんて、これ詭弁じゃないですか。どうしてそういう結論が出るか、私は非常に疑問なんですけれども、どうでしょう。
○参考人(若田部昌澄君) 今御質問になったのは、出口の際において、付利金利を引き上げれば、日銀当座預金に関わる支払利息が増加して収益を下押しすることになるということでございます。これは委員御指摘のとおりです。ただ、その下押しのタイプというのは、まさに付利金利の引上げのペースやあるいはバランスシートの規模などによって、これまた大きく変わってくるものでございます。 もちろん、他方、経済・物価情勢が好転し付利金利を引き上げるという場合には、ちょっと先ほど申し上げましたように、長期金利も相応に上昇すると考えられますので、先ほど申しましたように、日本銀行の保有国債についてはより高い利回りの国債に順次入れ替わっていくため、受取利息は増加いたします。その際、再投資による受取利息の改善の効果というのは、これまた償還を迎える国債及び新たに買い入れる国債の年限構成や金利水準、再投資の規模などに依存するということでございます。 その場合にどのような、実際にいわゆる出口を行ったときに付利金利の引上げで実際の収益がどうなるかというのは、これまたその際の経済・物価情勢や金利環境に加えて、日本銀行がどのような手段でどのような順序で用いるのかということにも、大きく変わるものであります。また、バランスシート全体についてもこれは考える必要があるということでございます。 ですので、その意味の形で、金利がこのようになったからといってこうであるというようなことについて、そのお答えをするというのは余り適切でないというふうに考えております。
○藤巻健史君 よっぽど私の説明が悪いんでしょうかね。
長期国債しか持っていないんだから、長期金利はそんなに、長期国債は保有しているんだから収入はそんなに増えるわけないって何度も申し上げているのに、上がります、上がりますと言われたら、こっちも、こんなの単なる、数字をベースにできない単なる議論になっちゃっているわけですよ。 それならば、是非、シミュレーション結果を出していただきたいと思うんですよね。FRBは、これ、スタッフペーパー出しています、公開しています。要は、金利が上がったときに、FRBの人は、収入がどう変わるか、そういうのをちゃんと出しているわけですよ。日銀はそういうシミュレーションやっていないんですか。FRBはやっているけれども、日銀はやっていないんだったら、それは非常に怠慢なんですけど、やっているならば、そこまでそんな数字的にどうしたって納得ができない説明をされるんだったらば、大丈夫だというシミュレーションを出してくださいよ。どうですか。
○参考人(若田部昌澄君) 様々な市場の動きなどが日本銀行の収益に与える影響については、これは既にほかの委員にもお答えしていることでございますが、内部的に確認を行っているということは事実でございます。 その上で、いわゆる出口に向かうというときに日本銀行の収益がどうなるかにつきましては、先ほど申し上げたように、将来における経済・物価情勢や金利環境に加え、その下で日本銀行がどのような手段をどのような順序で用いるかなどによって大きく変わります。ですので、非常に多様なシミュレーションがあるということでございます。 ただし、FRBがその収益のシミュレーションを出したというのは、まさにFRBが出口戦略を取るということを公表し、それと併せて、市場参加者の金利見通しなどを使ってそのスタッフペーパーを書いたということでございまして、日本銀行の場合はまだそのいわゆる出口ということを議論する段階にはないということが一番大きな理由です。 物価安定の目標の実現にこれはまだ時間が掛かりますので、そのことを考えた上で、現時点で収益に関する具体的なシミュレーションの数字を出すということは、まさにアメリカのFRBの例にも鑑みて、市場との対話という観点からもかえって混乱を招くおそれがあるというふうに考えています。 もっとも、日本銀行としましては、金融政策運営の考え方について人々の幅広い理解を得ていくことは重要であると考えておりますので、今後とも、その時々の状況に応じてしっかりと説明していきたいと思います。
○藤巻健史君 しっかり説明してくれないからそういう危惧しているんですよ。さっきのは何ですか、長期国債の方から受取利息があるとか。全然、それは小学生でも分かるじゃないですか、そんなこと。私の説明、よっぽど悪いですか、本当に。 これ、シミュレーションを出せと言っているのは別に私だけじゃなくて、二年前、平成二十七年二月二十五日、私も所属していたんですけれども、国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会で、菅野さん、当時はJPモルガン・チェースのチーフエコノミストでしたけれども、日銀出身ですよね、為替課長とか調査統計局の審議役とかをやっていらっしゃったと思いますけれども、彼がこの調査会、参議院の調査会に来て、したがって、日銀はこのストレステストの結果を国民に公表すべきだ、どういうリスクがあるのかを国民に知らしめた上で、追加緩和をするのかしないのか、そしてどの時期に量的緩和の縮小に向かうのかを説明すべきだというふうに思っておりますと明言されているわけですよ。エコノミスト、私、彼だけじゃないですよ、何人も聞いていますよ。 ここまで来たのならば、これは最後の最後までボクシングやらも打ち合って、ノックダウンされてもう再起不能になるのか、それとも将来のことを思ってタオルを投げ入れる、ここでストップさせる。もうその選択、まあそうしたところで大変な私は日本経済に対してダメージが起こると思いますけど、その選択の時期に来ているんじゃないですか。それを、シミュレーション結果を見せていただければそれ判断できますけれども、大丈夫だ大丈夫だと言って、何か全然理屈になっていない理屈を言って、精神論を言われても困るんですよ。 これ、委員長にお願いしたいんですが、シミュレーション結果を出すように請求していただきたいと思います。
○委員長(中西健治君) 後刻理事会で協議いたします。
○藤巻健史君 じゃ、次の問題に行きますけれども、日銀は邦銀に保有債券の時価会計を一生懸命推薦していますけれども、依頼というか指導しておりますけれども、日銀自身はなぜ時価会計をやらないで減価償却法、簿価会計なんでしょうか、お教えください。
○参考人(若田部昌澄君) まず、先生も御案内のとおり、会計基準を整備する役割を担っておりますのは、これは財務会計基準機構の中に設置されております企業会計基準委員会でございまして、日本銀行は銀行が用いる会計手法について指示しているわけではございません。 そう申し上げた上で、日本銀行では有価証券の評価方法については中央銀行としての財務の特性や保有の実態等を踏まえた方法を採用しています。この中央銀行というのは、アメリカの連邦準備制度理事会も欧州中央銀行、ECBも同様に行っている手法でもって行っているということです。 具体的には、国債については、一部の例外を除くと、昭和四十八年以来売却を行っていないことなどを踏まえて償却減価法を採用しております。
○藤巻健史君 要するに、それ昔の話であって、確かに、民間金融機関も満期まで持つものは簿価会計でいいことになっていますよ。ということは、逆に言うと、日銀は今買っている大量の国債を、インフレになろうと金融引締めがなろうとずっと保有しているということですか。売るんじゃないんですか。もし、満期まで全部持つつもりであるならば、それ、お金じゃぶじゃぶのままですよ。今と反対のことをできないということですよ。 それ、やる気ないんですね。要するに、幾らインフレ率が上がっていっても、お金回収する気はない、世の中にお金じゃぶじゃぶのままだ、こういう考え方でよろしいんでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 金融政策にとって何が望ましいかというのは、日本銀行が独自にこれは判断するものでございますが、今の御質問は、あくまでその有価証券の評価方法について中央銀行がどのように行っているかということについての御質問だと思います。 その意味におきましては、先ほども申し上げましたように、米国の連邦準備制度理事会も欧州の中央銀行であるECBも同様に、日銀同様に、その有価証券の評価方法については償却原価法を採用しているということでございます。
○藤巻健史君 それは思うに、例えば株、株は、この前も申し上げましたけれども、日本銀行だけですよ、金融政策で株持って、それも日本最大の株主になるというね。そんな、ほかの、FRBも持っていないでしょう。それから国債、国債も、例えば私が金融マンだったときは三か月国債までで、ほとんど長期国債なんていうのは成長通貨を供給する以外買わなかったですよ。だから、持っているのはほとんど短期国債だったから、時価会計する必要なかったんですよ、満期までで。事態が変わっちゃっているんですよね。だから、当然のことながら時価会計しないといけないと思います。 日銀が簿価会計だからといっても、もし実質的に債務超過になったら、市場は当然のことながら時価会計やりますよ、これは当たり前の話です。簿価会計で大丈夫だというんだったら、山一証券だってリーマンだって潰れていないんですから。みんな時価会計をして、日銀といえども中央銀行といえども、財務内容がおかしくなったといえばお金はすっと逃げていくわけです。要するに、円が暴落していっちゃうということなんです。ですから、簿価会計、ここでこの会計については終わりますけれども、こんな簿価会計やっているから日銀の債務状況は大丈夫だという話にはならないと思います。 で、お聞きしますけれども、今莫大なる国債を日銀は持っていますけれども、長期金利が幾らまで上がると評価損が生じるんでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) 日本銀行では、保有国債の評価方法について償却原価法を採用しているというのは先ほど述べたとおりでございます。そのため、長期金利が上昇し、国債の市場価格が下落したとしても、決算上の期間損益において評価損失が計上されることはございません。 その上で申し上げますと、平成三十年九月末において日本銀行が保有する国債には七・二兆円の含み益がございました。また、同時点の長期国債の保有状況を前提として、国債の金利がイールドカーブ全般にわたり一%上昇するという場合の影響を試算すると、長期国債の時価総額は二十九兆三千億円程度減少するということになります。 こうした下で、平成三十年九月末時点での国債保有状況を前提として、あくまで機械的に計算しますと、国債金利が〇・二%強上昇すると、保有長期国債の時価が簿価を下回る計算になります。ただ、繰り返しになりますが、日本銀行においては、国債保有の評価方法について償却原価法を採用しておりますので、決算上の期間損益において評価損失が計上されることはございません。
○藤巻健史君 時価会計、何度も申し上げますけれども、時価会計だから大丈夫だって、もう自己満足でしかありませんよ、そんなもの。一発で市場は、簿価会計で大丈夫なんていうのは自己満足でしかなくて、やっぱり全て危ないと思えば時価会計でするのが市場ですからね。 それと、申し上げますけれども、今一%上がると二十九兆円とかおっしゃって、評価損が出ると言いましたけど、今、内部留保というか、資本金一億円と内部留保が八・四兆円しかないんですよ、これ。一%上がったらば、たった一%に上がったらば物すごい評価損が出るんですけど、それを見て、日銀の信用とか日銀券の信用というのは失墜しないと思っていますか。やっぱり、中央銀行が債務超過になったり、たとえ時価評価であってもですよ、簿価会計になれば、簿価会計で債務超過になったらとんでもない話で、さっきみたいに、短期金利が上がっていけば簿価会計上でも債務超過になる可能性は十分あると思うんですけどね。でも、時価会計であっても、これだけの債務を持っていて、長期金利が上がってきたらば、評価損がむちゃくちゃだということになって、世界の人間は、投資家は大慌てしますよ。大丈夫ですか。
○参考人(若田部昌澄君) これはそもそも論になりますけれども、委員御指摘のように、中央銀行の財務が悪化することによって、それが通貨の信認あるいは中央銀行の政策遂行能力を毀損することを懸念する見方があるということについては私どもも認識してはおります。ただ、これは中央銀行、特に管理通貨制度で不換紙幣を発行している中央銀行においては、そもそも継続的に通貨発行益が発生してまいりますので、やや長い目で見るならば必ず収益が確保できる仕組みになっております。ですから、民間の企業体と、それと中央銀行の違いというのはそこにあるということです。 また、中央銀行は、自身で支払決済手段を提供できます。国債を購入するためには、日銀当座預金にあるその銀行の口座に振り込むと。日銀が人件費やその他の経費を払うときにも、同じように日銀が支払うことができるということになっていますので、収益が振れても債務不履行に陥るということはなく、金融政策や金融システム安定のための政策遂行力には影響がないというのが、これが中央銀行の中央銀行たるゆえんだと考えます。 いずれにせよ、管理通貨制度の下では、通貨の信認を担保するものは適切な金融政策運営によって物価の安定を図ることでございまして、これはまさに日銀法に書かれているとおりでございます。日本銀行としては、ただ、財務の健全性についても留意しつつ、適切な経済政策運営を努めていく方針でございます。
○藤巻健史君 今、副総裁は、通貨発行益が長い間には必ず確保できるから日銀の信認は保たれるとおっしゃいましたけど、今問題になるのは、先ほど来問題にしているのは、通貨発行損が出てくる、巨大な通貨発行損がしばらくの間ずっと続くということ、それでも信認が確保できるのかという話ですよ。 いいですか、通貨発行益、当然のことながら受取利息と支払利息の差ですからね。昔みたいに発行銀行券だけだったなら、負債がね、日銀当座預金、私の頃でも四兆円から六兆円ありましたけど、ほぼゼロ。発行銀行券であれば通貨発行益ありますよ。国債から受取収入があって、発行銀行、金利ゼロなんですから。 今問題なのは、三百九十兆もある日銀当座預金に金利を払う。さっき言いましたように、三百九十兆円あれば一%で三・九兆円、受取利息は一・二兆円、物すごい債務超過、通貨発行損が巨大に発生するわけですよ。それがプラスの通貨発行益になるまで日銀保っていられると思うんですか。要するに時間軸の問題ですよ。 そんな損を垂れ流している、債務超過になったところが、いずれ十年後に通貨発行益が出るから日銀大丈夫なんて誰が思います。そんな長くないというんだったら、さっき申し上げたようにシミュレーション出してくださいよ。シミュレーション出していただいて、通貨発行益がすぐ出てくるんなら私だって納得しますよ。どう考えて、通常、私の悪い頭だったらば、通貨発行益出るのは相当先ですよ。それまで日銀保っていられるんですか。
○参考人(若田部昌澄君) これはまたそもそも論になりますけれども、中央銀行において、債務超過というのをそれほど心配する必要がないというのが元々の話でございますので、管理通貨制度の下でまさに不換紙幣を発行しているところで、やはり長い目で見れば通貨発行益が発生すると。このことが私は国民にも理解されているというふうに考えますので、そのことについて我々が懸念しているということはございません。
○藤巻健史君 国民は理解できていないと思うから、だからこそシミュレーション結果を出していただきたい。そうすれば納得しますよ、そういう結果を見れば。出さないということは、出すと大変なことになっちゃう、もうどうしようもないから出さないんじゃないですか。
○参考人(若田部昌澄君) シミュレーションそのものにつきましては、先ほど申し上げましたように、出口がまだ、そこに近づいていないという段階においてそのことを発表するということについては、市場に混乱をもたらすおそれがあるということで、これまでもシミュレーションの発表というのは控えさせていただいております。 しかし、それを踏まえた上で申し上げたいのは、中央銀行において債務超過であるとか、あるいはそれによる破綻みたいなことを心配するということは、懸念は当たらないのではないかと、そういうふうに考えております。
○藤巻健史君 過去、債務超過になった中央銀行はありますか。
○参考人(若田部昌澄君) 海外において中央銀行が債務超過になった事例は存在します。 例えば、先進国の例と、比較可能な先進国という例でございましたらば、一九七〇年代に旧西ドイツのブンデスバンクにおいて、マルク高が生じたために保有外貨資産に多額の評価損が発生しことから債務超過となった事例がございます。その後は当期利益を処理に充当して債務超過を解消しました。この間も、旧西ドイツにおけるインフレ率というのは第二次オイルショックの影響で多少五%程度にも上がったことがございますが、七八年二・七%、七九年四%、一九八〇年五・四%と。それから後はインフレ率も非常に低位で安定したということでございますので、この間も中央銀行に対する信認は維持されており、物価や金融システムの安定の面で大きな問題は生じていないというふうに考えます。 つまり、歴史的な事例を見ても、中央銀行が債務超過になったということにおいて、日本が比較可能な先進国においてそれが大変大きなインフレになったというようなことはないということでございます。
○藤巻健史君 私、ブンデスの例はちょっと存じ上げなかったんですけれども、マルク高でそういうことになったということは、スイス・ナショナル・バンクと同じだと思うんです。つい最近はスイス・ナショナル・バンク、確かに債務超過になっていますよ。同じようにスイス・フラン高になって、どんどんスイス・フラン高が進行していくから介入をやったわけですよ、スイス・フラン売りのユーロ買い。ユーロをたくさん持っちゃった。でも、介入が止まらなくてどんどんどんどんスイス・フランが強くなって、ユーロが安くなっていった。でも、そういうようなのはきっと、ブンデスも同じだと思いますけれども、そういう場合には、逆に通貨が、ドイツ・マルクにしろスイス・フランにしろ安くなればユーロが、例えばスイス・フランで言えば保有のスイス・フランが値段が上がる、債務超過がすぐ解消されるわけです。それはマーケット分かっているからですよ。 一時的に通貨が高くなって債務超過になるんだったら逆転すればすぐ戻ると。そういうことによって通貨がクラッシュすることはない、通貨がクラッシュすればすぐ債務超過が改善、純資産になるわけですから。そういうことがマーケットは分かっているから中央銀行は大したことないわけですよ。 今の日銀の状態はそれとは全く違いますからね。しかも、財務が、財政赤字が極めてでかいわけです。要は、財務、どうなっちゃうのと。要するに、債務超過になったときどうなるのか、誰がお金を入れてくるのか。国が入れる、国は赤字ですから。これが黒字だったら大したことないんですよ、政府がお金を入れることによって純債務になるんですから。でも、国は大赤字なんですよ。
○委員長(中西健治君) 時間が参りましたので、おまとめください。
○藤巻健史君 はい。じゃ、終わります。 大赤字なんですから、それどうやっちゃう。まさにネズミ講、ポンジーゲームじゃないかという話になるわけで、これはもう大変なことになるんだと私は思います。これは後、続けてやりたいと思います。
ありがとうございました。