(臨時版・本日第5弾)下落幅で判断するのはミスリード

2020年03月17日

(下落幅で判断するのはミスリード)

昨日のNY 市場の下落幅は 2997㌦で下げ幅過去最大だそうだ。しかし、昨晩、相場を見ていながら「これで世の中終わりだ」との恐怖感を感じなかったのはブラックマンデーを経験していたからだと思う。もちろん当時は最前線で戦っていたのに対し、今はポジションを持っていないのが大きな理由だ。しかし、昨日の下げはブラックマンデーほどではないのも大きな理由だ。恐怖感を抱くのは下落の額ではなく率である。昨日の下げは12.9%だがブラックマンデー^はその2倍近くだった。だから、昨日の下げくらいではアク抜け感は感じられないし、今、現役のディーラーだったとしても買い出動はしないだろうし、FRBも無駄球を売ったなと思うのはそんなところに原因がある。今晩は大丈夫でもまだまだ大きな下げがある予想する。「1億円の株が12.9%1290万円下がる」のと「1000万円の株が23%230万円下がる」のでは後者の方が圧倒的に大変な事態だ。1億円の運用資金を持っている人は前者なら1株保有していて1290万円の損、後者なら10株持っていて2300万円の損だからだ。ディーラーの身になって考えればすぐわかる。昔、テレビに出ていた時、MC がニューヨークダウの下落幅が日経のそれより大きかったのを見て、「ニューヨークは大変なことになりましたね」と言っていた。率では日経の方がよほど大きかったのに、だ。「ニューヨークの前に日経を心配しろよ、この人、わかっていないな」と思ったものだ。

 マスコミが下落幅最大、と騒いでも、実務家にとって幅はたいした指標ではない。ミスリードだ。マーケットを判断するときは下落率、上昇率でみなくてはいけない。過去最大の下げだから「市場はあく抜けしたとみる」のは危ない。

 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO56882050X10C20A3MM0000/