(臨時版)日銀破綻のメインシナリオ発生か?(米長期金利の上昇)

2020年03月18日

守れ日本・破綻寸前 自分のお金はこうして

(本日 発売)

1.日銀破綻のメインシナリオ発生(米長期金利の上昇)

保険の意味でドルMMF の購入がますます必要になってきたと思う。昨日のNY ダウの動きを見て総裁は今頃、一安心しているかもしれない。しかし日銀には次なる、そしてさらに大きい危機が迫る。米長期金利の上昇だ。本日発売の拙著では「日銀の危機」を大きく取り扱っているが、それはなにもコロナウイルスが拡散することを予想していたわけではない。景気が悪くなって日銀が危機に陥るのはむしろサブシナリオだった。これからは、本に書いたメインシナリオによる「日銀危機発生」の可能性が大きくなってきた。要は、今のコロナ・ショックが理由で日銀危機に陥ったわけではないということ。財政出動によって生じた財政破綻危機を異次元緩和という財政ファイナンスで先延ばしにしたツケを払う際に危機が起こるということだ。溜まった膿に針を刺すのはなにもコロナ・ショックだけではない。

米国長期金利の上昇が急だ。昨日の東京時間で米債10年物金利が0.76%まで下がっていたのに、今は1.08%と30bpも上昇した。先日0.32%を記録した時に比べると76bpもの上昇だ。コロナ対策の財政出動による国債増発を嫌ったものかもしれないし、世界的なドル不足を反映したものかもしれない。 しかしこのまま米国ドルが上昇すると、それにつられて、円長期金利が上昇するかもしれない。もしくは日銀が必死で、国債価格の下落(=金利の上昇)を抑えれば日米金利差拡大で円安ドル高が進行。インフレ率が上昇し、それによっても日本の長期金利は上がらざるを得なくなる(=スタグフレーションの発生)。日銀の場合、超低金利の国債を爆買いしてきたから、金利がほんのちょっと上昇すれば債務超過である。それも保有国債額が巨大であるがゆえに債務超過の増大ぶりはすさまじいだろう。どのくらいの長期金利上昇で日銀が債務超過に陥るかは、最後部に示す。

昨日の10年物日本国債の金利は0.0%。3月9日につけた△0.165%から16.5bp上昇した。特に理由もないの、にだ。長期金利の30bp(日経平均が14000円の場合)、55bp(日経平均がこれ以上落ちない場合)の上昇は決して想定外の話ではない。ごくラフな計算で正確性には乏しいかも知らないが、いかに小さな金利上昇で日銀の債務超過問題が生じるかだけはご理解いただけるだろう。日銀の債務超過で、何が起きるかのブレインストーミングが必要な段階に来ている。 日本政府のこの時期の財政出動発表は政府に取って長期金利上昇を招く可能性がありカケである、と先日述べた理由でもある。

日銀の命運は米長期金利に握られたともいえる。中央銀行が株、長期国債、不動産市場棟値段が大きく動く市場でモンスターであるのは計画経済そのものだ。計画経済は長く続くわけが無い。人間の浅知恵など諸問題を押し付けてくる市場には対抗できない。今、世界最大の計画経済国家・日本がそれを実証しようとしている。

(長期金利がいくらになったら日銀が債務超過になるか)

私の超ラフな計算によると10年物が0.3%になると債券に評価損が発生する(注①)。現在の「準備金+引当金」9.4兆円から現在の株の評価損3.25兆円(注②)を差し引いた6.15兆円は長期金利が0.55%になればぶっ飛ぶ(注③)。日銀の債務超過が発生する(これ以上の株の評価損が膨らまないとの前提)。もし株が14,000円まで下落するとなると10年物金利0.4%で日銀債務超過の発生だ。

(私の超ラフな計算の前提、根拠)

(注①)2019年9月末で日銀の保有国債の平均利回り0.26%。たしかデユアレーションが7年~8年だったと思うので10年モノ国債金利が0.3%になると債券で評価損が発生すると予想

(注②)2018年9月末(日経平均24,000円)に7.2兆円あった株式評価益が18000円で消え去るとの日銀答弁があったので、7.2兆円÷(24,000-18,000)で1000円当たり1.2兆円の減。それ以降、高い値段の株式を購入しているから1000円当たり1.3兆円の評価減少と仮定。現在(19,5-17)×1.3兆円=3.25兆円の損が発生中と推定。

(注③)(株価がこれ以上落ちない場合) 昔、私が国会で質問した時、日銀は「金利が1%パラレルシフトで上昇すると24兆円評価が落ちる」と答弁したので0・1%あたり2.4兆円の評価減と推定。6.15兆円÷2.4兆円=2.56 0.3%+0.256%=0.556%

(注④)(株価が14,000円まで落ちた場合)(19,5‐14)×1.3兆円=7.15兆円 。(9.4兆円ー7.15兆円)÷2.4兆円=1.0 0.3%+0.1%=0.4%

2.自宅待機(余談)

昨晩はNYに電話をしなくてはならない用事(何かのディールではない)があったので、頑張って起きていたのに、何度電話しても誰も出ない。昼間にはハワイの会計士に電話したのにこれも出てこない。アメリカ人、みんなコロナで自宅待機なの? と思っていたら、やっと、メールが返ってきて電話も通じた。上記の計算(長期金利がいくらになったら日銀が債務超過になるか)はその待ち時間にしたもので頭が回っていない。ロジックに誤りがあったら教えていただきたい。日本・破綻寸前 裏表紙