1.日本の株式市場は楽観過ぎないか?
米国がくしゃみをしたら日本は風邪をひく。ロシアはこの原油価格があと3か月続くとデフォルトするという(真偽のほどはわからない)うわさも聞く。欧米株の動きを見ていると日本市場はあまりに楽観的に思える。日銀を信じすぎているのではないか?今はもうけを考える時期ではない。いかに財産を守るか?破産しないか?を考える時期だ。こういう時は「楽観論を唱え相場を上げて自分だけ売り抜けよう」という輩も出てくるから注意だ。マーケットの怖いところだ。(誤解されると嫌だから明言しておくが、私は今、株を持ってもいないし、ショートもしていない)。自己責任で自分の頭で考えることが必要だ。ドルでの現金化(長期債はダメ・短期債)、個人にはドルMMF をお勧めする理由)これも自己責任でご判断を)
2・日本株の方が下落率が小さい現象は継続するか?
2月19日に29,409ドルをつけてから昨日まで昨日の18,591ドルまでNYダウは37%下落した。一方、日経平均は23,400円から16,888円へと28%の下落にすぎない。日銀の買い支えと減損会計が下落を小さくしているのだろう。米国は完全な時価会計だから1セントの評価損でも損を認識する。一方日本は45%の評価損まで表面化させなくてすむ。期末が迫っているので売却損を表面化させたくない心理が強く出ている気がする。だから不安でも売り渋りが起こる。しかしこの分析が正しいと、3月末までにコロナ騒動が鎮静化していないと、期が変わったとたんに株価が米国の下落幅まで大幅に下落する可能性もあると思う。JPモルガン東京が新オフィスに移ったお祝いの会だったと思うが、期末近くに澄田日銀総裁が来店くださったことがある。その時、時価会計の重要性を私は説いた。その数日後、期が変わった途端に、株だったか債券だったか覚えていないが、売りが殺到し相場が大崩れた。総裁も時価会計の重要性をご理解くださっただろうと自己満足したことをよく覚えている。完璧な時価会計でないことの弊害で起きた相場だ。あれ以来、30数年間、期初の大崩れの記憶はないが他国との株の動きを見ていると、今年は、その可能性も捨てきれないと思う。頭に入れておいた方がよいだろう。
3.過剰な借金は悲劇を招く
私が「日銀が危ない」というと「過激だ」と反論する人がいるが、私の危機感は「過剰借金をすれば国も家庭も企業も危険になる」という極めて常識なところから出ている結論だ。ドイツ、スイスは財政均衡を憲法で定めている。彼らはアホなのか?そうではない。日本も財政法第4条で禁止している。それを目先のことのみにとらわれて特例法【=特例公債法】で先人の知恵を無視しているだけ。私は先人の知恵と同じことを言っているだけ。ドイツ、スイスでMMT 理論をぶってもアホ扱いされる。財政出動は今のような危機の時のみにつかう。普段は均衡財政が基本。
4.MMT 理論など、とんでもない(日銀倒産)
私が日銀は倒産(正しくは新中央銀行を創設)せざるをえなくなる。そうなると現在の円は紙っぺらになる。ドルを買っておいた方がいいと主張する理由でもある。今の日銀は第二次世界大戦直後のドイツとそっくりだ。「経済セミナー」2000年7月号の記事「第二次大戦後のドイツと第二次大戦後の中南米」を読んでいただきたい。「第二次大戦後のドイツにおけるハイパーインフレは新通貨の導入および独立性を持つ中央銀行の設立により急速に終息にむかった。ハイパーインフレは、独立性の高い中央銀行が設立され、政府の財政赤字を紙幣の増刷で賄うことを拒否したことで終息した。独立性の高い中央銀行は政府に対して財政の健全性を余儀なくさせたのであった。」MMT 理論などとんでもないという理由でもある。
5.日銀が債務超過になっても大丈夫か?
次の3つの条件が揃っている場合は、中央銀行が債務超過になっても大事と言われている。① 債務超過は一時的であると国民が信じる ②債務超過の原因が金融システムの救済であり、金融政策は厳格に運営されていると信じる ③ 財政が緊縮に向かっている
しかし日銀に今後起こり得る債務超過は、1〜3の条件すべてに反する。しかも、債務超過の額は半端な額ではないだろう。日銀の信用、その通貨の信認を維持することは、並大抵ではない。なお、私が国会で追及した時、黒田日銀総裁は「(景気が良くなった仮定だが)一時的なら債務超過の可能性もないことはない」としぶしぶ認められた。景気が良くなった時、債務超過が一時的であるはずがない。ドルを買っておいた方がいい。・