(臨時版)緊急事態宣言について、体力のない日銀はコロナとの戦争に打ち勝てるか?他

2020年04月07日

1.「太っても筋肉質のFRB」VS「ジャンクフードの食べ過ぎでブクブク、超メタボの日銀」

本日は朝600から610までTBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線」に出演させていただいた。FRBのバランスシートは大型財政出動で大きくなったがそれでも日銀の4分の1程度(対GDP比)。さらには昔、買った国債やMBSの利回りが2.6%くらいあったから多少金利が上昇しても(現在10年金利067%)評価損は発生しない。・一方、日銀の保有国債利回りは0.3%弱だから少しでも金利が上昇すると評価損の発生。それも保有額が巨大だから尋常ではない額の評価損だ。だから「FRBは大型経済対策発動後も『太ってはいるけど筋肉質』、一方、日銀は『ジャンクフードを食べすぎで超メタボ』」と表現したら、例えのしかたが生島ヒロシさんに大受けだった。コーナーの最後は「だからドルを保険の意味で持ちましょう」としめくくった。 

2.緊急事態宣言について

国の最大の責務は「国民の命と財産をまもること」だ。緊急事態宣言を出さずにコロナが収束するのが経済的には望ましいが、「出さなければ命を守れない」と安倍さんは判断したのだろう。この機にあたっての緊急事態宣言は致し方ないと思う。しかし非常事態宣言を出した以上、補償は必要で、そのコストを払う覚悟を決めたということでもある。コロナ禍が収束した後で大型財政出動の財源として大増税を国民にお願いすることになるだろう。これは世界中どの国でも同じで大型経済対策は一時的に赤字国債の増発で賄い、将来的に大型増税で返済していくことになる。他国は消費増税だろうが、日本での消費増税や課税最低限の引き下げは政治的に無理な感じだ。3.11の復興増税(2.1%増を25年間)のような形も考えられるが規模が違うし収入減による所得税の落ち込みもひどいだろうから、これも難しい。平時に積み上げた莫大なる累積赤字額がさらに大きくのしかかることも考えると、やはりハイパーインフレ税という税の形をとっていない増税に頼るしかないと私は思う。大型経済対策の裏で日米の長期金利がじわじわと再度上がり始めた。保有国債の利回りが低いがゆえに黒田総裁は気が気ではないだろう。この評価損は株の評価損より深刻だ。「日銀の保有国債評価損発生―>円暴落―>ハイパーインフレによる大型経済対策財源確保」は充分ありうるシナリオだ。その可能性がある以上、紙切れになる円を今のうちに売ってドルを確保するのは合理的な選択だと私は思う。 

3.体力のない日銀はコロナとの戦争に打ち勝てるか?

コロナとの戦いは戦争だ。普通の戦争なら戦勝国は敗戦国から多額の賠償金を取ることにより経済的ロスを補填できる。しかし、この戦争は勝っても負けても大きな負担が残る。平時から体力のある米国などは生き延びると思うが、すでにICU入りしている日本経済は疑問だ。中央銀行をつぶすという緊急大手術が必要になると私は思う。ただつぶれるのは日銀であり価値がなくなるのは日銀が発行する紙幣だけ。日本自体は(新しい中央銀行が創設され)必ず復活する。だからこそ少しでもドルを持ち、この混乱期を生き延びることを私はお勧めする。、