(臨時版・本日第2弾)主要中銀「禁じ手」踏み込む、通貨の価値は何が担保しているか?

2020年04月10日

 

1.主要中銀「禁じ手」踏み込む FRBが低格付け債購入

「世界の中央銀行が前例のない資金供給策を連発する。米連邦準備理事会(FRB)は一般企業に間接融資する緊急措置を発動」FRBはつい最近CP、社債の購入という間接的な購入にしろ緊急処置を決めた。では日銀はどうだ?とみるとすでに多額のCPや社債を、それも直接的に購入している。それどころか、まだ他の中央銀行が踏み込めない株でさえ大量購入し、もうすぐ日本一の株主だ。他の中央銀行が財務の不健全化を心配し、緊急時までは決して踏み込まなかった政策を日銀は平時から黙々と行ってきた。これらの値段が下落し、中央銀行の財務の健全性が失われれば、その中央銀行の信用と発行する通貨は地に落ちる。そしてこれらの金融商品は、大恐慌以来の不景気になれば倒産等で、通常は下落する。中央銀行がこれら金融商品の値段を一人で持ち堪えられるかのこわ~い世界に突入した。その中で断トツのトップを走っているのが日銀である。為替とは相対的なものだ。どちらがより弱いかで決まる。世界の通貨で最後まで残るのは基軸通貨のドルだろう。ドル買いをお勧めする。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57898980Q0A410C2000000/

 2.通貨の価値は何が担保しているのか?

Twitterに「アメリカの方が、国債の額多くて アメリカの方が、対外純資産 飛び抜けてマイナスなんだけど 何故ドルなのでしょう? 教えてください」との質問があったので「FRBがつぶれる可能性はほぼゼロですが、日銀がつぶれる(=正確に言えばつぶさざるを得ない。もちろん中央銀行は社会に不可欠な存在ですから新しい中央銀行は作られる。しかし今、流通している円は紙切れ化で新しい新円が発行される)確率が極めて高いからです。財政ファイナンスのせいです」と返答したところ「何故、円の価値が日銀によって担保されていると考えるのか? 円の価値を担保するのは、物価上昇率と経常収支と外貨準備と対外純資産ではないのか?  日本は 物価上昇率が0%台 経常収支が20兆円 外貨準備が130兆円 対外純資産が340兆円 高々10兆円の純資産の日銀が債務超過でも円の価値は毀損しない」という反応が来た。

私の回答は以下の通り。

「通貨は中央銀行の債務であり、その価値は発行主体の財務の健全性に拠ります。ドイツでは第2次世界大戦直後、貨幣価値が急落した(=ハイパーインフレ)ため、当時の中央銀行であるライヒスバンクをつぶし、ブンデスバンクを作りました。新しい通貨ドイツマルクで通貨の価値が戻りハイパーインフレを収めました。当時のドイツの物価上昇率も経常収支も外貨準備も対外純資産国の状況も、な~んにも変わらないのに、中央銀行を変えることで通貨価値を復旧させたのです。通貨の価値とはひとえに中央銀行の財務の健全性に拠っているのです」 

3.コロナ禍で広がる「日本化」現象 山川哲史氏

山川さんには大変大変申し訳ないが「政府・中銀には財政赤字の一時的な急拡大、中銀バランスシートの毀損、更には寛容な信用緩和策に伴うモラルハザードの拡散といった、正常時では極めて正当な議論をいったん棚上げし、企業・家計に対する直接的な信用・雇用保障といった領域まで踏み込んだ、果敢な政策対応が求められている」とは無責任な発言だと思う。YVコメンテーターも「大胆な政策を」と叫ぶ。それが出来ればおいに決まっている。しかし、その結果がどうなるかをきちんと検討してからの話だ。山川さんおっしゃる「極めて正当な議論を棚上げしてきた」結果が今の日本だ。、日本は世界最悪の財政状況という危機を「異次元緩和」で先送りをしてきた結果、今、崖プッチに立っている。確かに果敢な政策対応が求められてはいるが、その果敢な政策対応が、その日本を崖から突き落とす可能性がある。他国の状況とは全く違うことを認識しなければならない。そのうえでどこまでの対応なら「崖っぷちから落ちなくて済むか」を考えねばならない。黒田日銀総裁は、その状況が十分わかっていると思うので政府に説明していると私は思っている。だから他国よりよほどの小粒政策しか取れないのだ。私は、どうあがいても日銀はつぶれるしかないと思っているが、できればコロナ禍の最中に起きて欲しくない。コロナ禍の最中に起こればあまりに悲惨である。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57869600Z00C20A4TCR000/