(臨時版)日銀の弱弱しさ、黒田総裁に読ませたい本、オリンピックと小池知事他

2020年04月13日

1.日銀の弱弱しさ .黒田総裁に読ませたい本

私が「日銀がつぶれる」というと「とんでもない」と反論する方が多い。それは「日銀は絶対だ」と思っているからだろう。明治の頑固おやじのように、デンと座っていて、「何があってもゆるがない存在」のはずだと信じているからだろう。かっての日銀はそうであり続けようと自分たちを律していた。私が金融マン時代は、長期国債にも株にも社債、CPにも不動産にも、値段が大きく上下する金融商品には決して手を出さなかったのだ。しかし、日銀は異次元緩和という、国の財政破綻の先延ばし策で、その中央銀行としての「基本のキ」を破った。それもどの金融商品でも市場でモンスター的存在にまで買いまくっている。。特に長期国債で著しい。まさに財政ファイナンスだ。他国の中央銀行は、(長期国債に関しては日銀より格段に小規模ではあるものの購入はしていた)が、今までは中央銀行としての「基本のキ」は守っていた。だから、まだ中央銀行がつぶれる可能性はごく低い。日銀はかなり高い。紙幣が紙くずになる可能性だ。今後、株価が下がった、長期国債の値段が下がった(=長期金利が上昇)、地価が下がった。会社がつぶれたで、と債務超過を心配し、大騒ぎしなくてはならない。デンと座っているどころか、「あっちへちょろちょろ」、「こっちへちょろちょろ」の何とも頼りない存在だ。特に長期金利の上昇は致命的となる。私が早くドルに換えた方がいいとドルMMFをお勧めする理由だ。

2.黒田総裁に読ませたい本

先日、自宅の書庫を覗いていたら1992年発行の「日本銀行の機能と業務」という本を発見した。日本銀行金融研究所の発行である。すなわち日銀自身が書いた本だ。いわく「銀行券は日本銀行にとって負債(いわば、日本銀行の発行する債務証書)であり、日銀はそうした負債に見合う資産として、発行券発行額以上の発行担保物件を保有しなければならないことになっている。なお、これらの発行物件については、中央銀行の資産としての健全性に関して充分な注意が払われている」。だから以前は値段が下がると保有資産価値が発行銀行券額以下になってしまう長期国債、株、社債、CP、不動産には決して手を出さなかったのだ。ちなみに当時は日銀当座預金をここまで膨らますことなど想像だにしていないだろうからこの本では日銀当座預金には触れていない。この本の「発行銀行券」は「発行銀行券+日銀当座預金残高」と読み替えるべし。日銀が債務超過になれば円でドルを売ってくれる外国人はいなくなり(技術的に不可能となり、日本円は地域商品券と同じになる(理由は昨日、1昨日の拙文ご参照)石油も海外農産物もマスクも買えなくなる。円の価値大暴落、ハイパーインフレ。

3.日銀は法的に倒産という概念は無いのではないか?

Twitterで「日銀は法的に倒産という概念は無いのではないでしょうか?」という質問があったので、お答えする。概念はある。日銀法第60条第2項で解散した場合の残余財産の配分について規定しているのだ。先人はその可能性もきちんと考えている。世界では、戦後、ドイツが当時の中央銀行をつぶし今の中央銀行・ブンデスバンクを作った例もある。

4.MMTについてどう思うか?

Twitterで「MMTについてどう思うか?」と聞かれたので以下のように答えた。

「ブードゥー経済学。米国の正統派経済学者で認めている人はほぼゼロ。日本でも専門家で賛同している人はゼロと認識している。昔ならこういう経済学は新聞記者の知性でブロックされマスコミに載ることはなかった。SNSが発達した現在、素人のトンデモ理論が知性・見識のチェックを受けずに世間に広まってしまう。SNSの危険な側面」

5.オリンピックと小池知事

テニス仲間のお医者様よりメールが来た「いま安倍首相小池知事専門家マスコミが感染症に積極的な発言をしていますが二月にオリンピックをやめて感染対策に全力をつくすべきだと主張した人がだれもいなかったのは誠に残念なことです」AGREE.病気の蔓延の観点からも経済的損失の点からも、この失政のつけは大きい。小池知事は今、この辺をどう釈明するのか?