1.歴史は繰り返す
(問)国債がこんなに激増して財政が破綻(はたん)する心配はないか。 (答)国債がたくさん増えても全部国民が消化する限り、少しも心配は無いのです。国債は国家の借金、つまり国民全体の借金ですが、同時に国民がその貸し手でありますから、国が利子を支払ってもその金が国の外に出て行く訳ではなく国内で広く国民の懐に入っていくのです。(中略)従って相当多額の国債を発行しても、経済の基礎がゆらぐような心配は全然無いのであります」。MMT信者の発言かと思いきや、実は戦時中に大政翼賛会が隣組に150万冊配った宣伝読本『戦費と国債』からの抜粋だ。この戦時国債はハイパーインフレで紙くず同然となった。
今は、第2次世界大戦中と同様のコロナ戦争真っ最中だから異端な対応をするのはしかた無いと思う。しかし日本は平時なのに戦時体制の財政バラマキを行ってしまった。だから財政・金融も臨界点に近いことを頭に入れながら対策を練らないと、異次元に悲惨な状況に陥ってしまう。「もっとばらまけ、もっとばらまけ」の主張は無責任だ。生きるか死ぬかの人や自殺者が増えることを是が非でも避けなければならない。それを防ぐことに資金を集中させないと、この国は持たない。
2.国債発行額の50%も日銀が保有して財政ファイナンスではないのか?
以下、2013年4月12日、就任直後の読売国際経済懇話会における黒田総裁の、講演だ。「日本銀行による多額の国債買入れが、内外の投資家から、ひとたび『財政ファイナンス』と受け取られれば、国債市場は不安定化し、長期金利が実態から乖離して上昇する可能性があります。これは、金融政策の効果を減殺するだけでなく、金融システムや経済全体に悪影響を及ぼしかねません」
このような認識を持つ黒田総裁は、ご自身率いる日銀が、なんと国債発行額の50%近くも保有するようになってしまった現在、ドキドキではないのか?長期金利があと、たった0.3%上昇すると日銀は債務超過になる。一晩で動く幅である。米国は昨日、一昨日と2晩で0.1%上昇した。
3.財政ファイナンスが引き起こしたインフレ
以下、日本銀行総裁時代の白川総裁がフランス銀行「Financial Stability Review」(2012年4月号)に掲載した論文の邦訳である(日本銀行の邦訳)
2012年4月21日
「歴史的にみれば、中央銀行による財政ファイナンスがインフレをもたらした事例は少なくない。例えば、1920年代前半のオーストリア、ハンガリー、ポーランド、ドイツのハイパーインフレ、第二次大戦後1950年頃までの日本のインフレは、いずれも、中央銀行の財政ファイナンスが原因となっている8。そうした経験に学んできたからこそ、現在は中央銀行の独立性が重要という考え方が確立されており、多くの国で中央銀行による財政ファイナンスは認められていない」日銀が発行国債の50%近くを保有している現実は財政ファイナンスではないのか?
4.供給が破綻されないとハイパーインフレは起こらないのか?
Twitterに「終戦直後のハイパーインフレは、生産設備が破壊され製品が市場から無くなり、すべてのものが「オークション状態」になって発生したものです。 生産過剰・モノ余りの現在の日本では、よほど無茶なことをしない限りハイパーインフレは起きません」というリツイートがあったので、以下のように回答した。
「昭和21年、日銀が『預金封鎖&新券発行』でハイパーインフレを収めたのはなぜでしょう。信用の無くなった旧紙幣を廃し、新円を発行し中央銀行の財務内容を変えたせいではないですか?この処置をする前日と翌日では、日本の生産設備は何も変わりません。ハイパーインフレになるかならないかは中央銀行の財務内容がポイントだということがこの例でお分かりにならないでしょうか?ドイツがハイパーインフレを鎮静化するために旧中央銀行(ライヒスバンク)を廃し、新中央銀行(ブンデスバンク)を設立し新券に切り替えハイパーインフレを収めた例からもお分かりかと思います」
5 懸案事項一つ片ずけ。
昨晩は米国で起きた中程度の懸案を解決し、今、気分はルンルン。しかしそれにしても悪戦苦闘した。(5年半も海外にいて15年間も外資で英語で仕事をしていたのにもかかわわず)英語が下手で有名な)私は昨晩も電話で大苦戦だった。(普通の人は)私が「Pardon」と聞き返せば、ゆっくりと、または言い回しを変えてくれるのに、昨日の電話先の人は、何度「Pardon」と聞いても同じ言い回しで、同じスピードで繰り返すのだ。だから事案が解決した時は喜びも一層大きかった(苦笑い)
6.婦人画報
先月末に発売された婦人画報6月号の連載では「日本の財政出動が小粒な理由は?」というタイトルで書いています。