(臨時版)中央銀行が国債を引き受けると、ハイパーインフレがいとも簡単に生じる(岩本東大教授が数式での説明)他

2020年05月09日

1・中央銀行が国債を引き受けると、ハイパーインフレがいとも簡単に生じる(岩本東大教授が数式での説明)

東京大学大学院経済研究科岩本康志教授のこの論文すばらしい。実務者の感覚を数式できちんと説明くださっている。岩本先生いわく「ハイパーインフレーションの原因は巨額の財政赤字にあると考えられている」「国債の信用力が失われて市場が国債を買わなくなり,中央銀行が引き受けるようになると,ハイパーインフレの道を歩み始める。ハイパーインフレという異常な状況がいとも簡単に生じる」。いとも簡単に、である。このことを数式で説明されている。岩本教授は「数%のインフレ率の変動は,需給の関係で生じると考えていいが,ハイパーインフレ―ションの発生は巨額の財政赤字による」とも書かれている。http://iwmtyss.blog.jp/archives/1074965246.html 

2.米国の糸目をつけない財政支援

日経曰く「各国は糸目を付けずに財政支援を拡充してきた。特に米国の動きは迅速かつ巨額だ」その結果、米政府債務のGDP比は今年9月末で108%にも達するとのこと。その結果第2次世界大戦後の1946年度末(106%)を超え、最高となるそうだ。すごいな、債務が対GDP比108%、大丈夫かな?ところで日本は?昨年末ですでに237%。ちなみに財政がどれほど悪いかは対GDP比でみる。大雑把に言ってGDPが2倍大きければ税収も2倍となるからだ、すなわち対GDP比は借金を税収で返す困難さの指標だ(税金で借金を返す必要のないと思っているMMT信者には無用の数字かもしれないが)さらに日経新聞、続けて曰く「すでに巨額に膨れ上がった財政負担は一段と膨らみかねない。そんな恐怖から各国は経済封鎖の解除を急ぐ」。平時に借金を積み上げてしまった日本が米国やドイツに比べてみみっちいコロナ対策しか打てない理由である。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58876210Y0A500C2MM8000/ 

3.ハイパーインフレで苦しんだジンバブエと、ハイパーインフレにならなかったチャド

原田泰氏は経済企画庁から早稲田大学教授を経て、最近まで日銀の政策委員会審議委員だった方だ。本田悦朗氏、高橋洋一氏、藤井聡氏らとともにリフレ派の代表格で日銀内の異次元緩和推進派だった方だが、「エコノミスト 2008.9.16」(毎日新聞出版)に以下の文章を書いている。それなのになぜリフレ派に転向してしまったのか謎である。

ハイパーインフレで苦しんだジンバブエと、ハイパーインフレにならなかったチャドとの差について書いている。「一方、同じアフリカでも中央部のチャド共和国は、むしろデフレーション(物価の持続的下落)になっている。アフリカの国がすべてインフレになったわけではない。困難な状況の中、政府がお札を刷りたかったのは、ジンバブエもチャドも同じだったはずだ。そして、ジンバブエは、お札を刷りまくった揚げ句、220万%というインフレになった。一方チャドはお金を刷らなかった。どちらの国も厳しい状況にあるが、ジンバブエは内政の混乱のうえに、インフレという困難も引き起こしてしまった。お金を刷らなかったら、インフレだけは回避できただろう。お札を刷らず、困難に耐えていたチャドのほうがまだマシだったと言える」

4.インフレヘッジとしてビットコイン購入

米CNBCニュースが(legendary trader という形容詞を使っていたが)Paul Tudor Jones 氏がインフレヘッジとしてビットコインを購入していると報道していた。Paul いや~懐かしい。よく電話で議論した。しかし写真見ると歳取った。私もだが。考えることは同じか。

2020/05/07 · Legendary trader Paul Tudor Jones is reportedly buying bitcoin as an inflation hedge as central banks around the globe print money