(臨時版)私は過激か?「日銀が国債全部買え」の方が過激ではないか?他

2020年05月12日

1.私は過激か?「日銀が国債全部買え」の方が過激ではないか?

一昨日、池田先生のツイートに「長期金利の上昇が日銀倒産危機を招くなら、日銀がすべての国債を買い取ればいいではないか?」とのご提案があった。「そうだ」と思われた方も多いのではないかと思う。しかし、これは私にはものすごい過激提案に思える。私が「日銀はつぶれざるを得ない」と発言すると「とんでもない過激な発言」と言われることもある。しかし、私は「日銀をつぶして新しい中央銀行の創設が不可避」との予想であり、中央銀行の存在自体を否定しているわけではない。社会のインフラとしての中央銀行は必要不可欠だと思っている。しかし「中央銀行が日本国債をすべて変え」という主張は、中央銀行自体の否定だ。政府の1機関になれ」という発想だ。確かに発券業務その他は政府の1機関となっても出来る。しかし中央銀行の独立性を無くせという発想は、金融の世界で生きてきた私にとっては、それこそ資本主義から共産主義に代わるくらいのレジームの変化です。なぜ世界中が中央銀行を政府から独立させたのか?政府が必要なたびに紙幣を発行しハイパーインフレにするのを防ぐためだったはずだ。金融のプロが、票集めのために短期的な視野を持ちがちでかつ金融の素人である政治から独立することは必要不可欠だ。

2.インフレにもなってもないのにハイパーインフレって言ってる

Twitterに以下の書き込みがあった。「フジマキはインフレにもなってもないのにハイパーインフレって言ってる」

私の回答は以下の通り「東大の岩本教授のおっしゃるように、数%のインフレ率の変動は,需給の関係で生じると考えてもいいが、ハイパーインフレーションの原因は巨額の財政赤字にあると考えられます。モノの需給と、財政赤字とインフレとハイパーインフレでは、発生原因が違うのですから、ステップを追ってデフレ=>インフレ=>ハイパーインフレとなるとは限りません。今デフレだからハイパーインフレにならないとの説明にはならないのです」以下、岩本先生の論文http://iwmtyss.blog.jp/archives/1074965246.html

3.日銀保有国債の無効化

Twitterに以下の質問があった。「先生、私も禁じ手を危惧する者なのですが、 2017年にスティグリッツ教授は、 政府・日銀保有国債の無効化主張-諮問会議 を提言しています。どう思われますか?」

私の回答は以下の通り。「そんなことをしたら同額の日銀負債、すなわち日銀当座預金(=日銀の負債、民間銀行の資産)の無効化ー>国民の銀行預金(民間銀行の負債、国民の資産)の無効化がおこります。国民の銀行預金消滅ということです。しかし考えてみると教授の主張は、私が主張する「日銀保有国債の減価(程度こそ違うが無効化と同じ)―>日銀の債務超過で円の価値暴落(=日銀当座預金、発行銀行券という日銀負債の減価)ー>個人資産の実質減価」というハイパーインフレ論と同じ理屈です。要はハイパーインフレにして財政再建するしか道がないと言っているのと同じです。国民は地獄。

4.債務超過になっても政府が資本注入すれば問題ないのか?

Twitterに以下の質問がきた。

「日銀が増資して、政府が資金注入すれば良いのではないですか? 財政法を根拠にできないと仰っていましたが 可能ですよね?」

私の回答は以下の通り。

「国が毎年黒字で資本注入するだけのお金を持っていれば問題ありません。 資本注入するお金を日銀が刷って日銀に注入するようでは世界の人たちは、日銀の財務が健全だとは決して思いません。円に見向きもしなくなります。円暴落に変わりはありません。ハイパーインフレ一直線です」

5.ビットコインの動向

前に何度か書いたか、私の見解は本日の日経新聞の記事と同じ。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58942990R10C20A5EE9000/

6.日本銀行券の発行を増やせるか?

Twitterに「日銀の負債が日銀当座預金だから利上げの時に、日銀に損の垂れ流しの問題が起きるのなら、日銀当座預金ではなく発行銀行券を増やせばいいではないか?」との趣旨の反論があったので、以下のように答えました。

「日銀当座預金は、民間銀行から国債を買うことによって簡単に増やせますが、発行銀行券は休日前等に人がATMで現金を引き下ろす党の行動をとらないと増えません。発行権残高はこの25年間で2倍にはなりましたがそれは低金利でタンス預金が増えたからです。発行銀行券は刷っても印刷局の倉庫の中にあるだけではブツでしかありません

7.日銀は倒産するか?

Twitterに以下の質問がきた。「日銀の負債は、現金、当座預金ぐらいのものです。これで、どうやったら倒産するんですか?」

私の回答は以下の通り。「日銀の負債は発行銀行券約110兆円、日銀当座預金400兆円です。日銀当座預金は民間銀行からの預金です。要求があれば支払い義務がありますし、金利が発生します(今、政策金利の引き上げはこの手法しかありません)、それをしなければ銀行はつぶれ、皆さんの銀行預金もパーです。」

8.池田信夫さんとの討論の続き

池田信夫先生から、以下の反論があった。「いやまったく違うと思います。藤巻さんのいうような古典的なハイパーインフレは起こらない。そういう過剰な緊縮財政が貯蓄過剰でデフレをまねいたというMMTの批判は正しい。統合政府の最適化が重要で、中銀の独立性なんて無意味」ので以下のように返事をした。

「今起ころうとしているのは、まさに古典的なハイパーインフレだと思います。もし日銀が(現在の体たらくでなく)政府から真に独立し中央銀行マンとしての矜持を持ち、頑として「財政ファイナンス」を拒否していたら財政規律は保たれ、このような非常時にこその大型財政出動が出来たと思います。「過去の中央銀行の歴史をみても、中央銀行の金融政策に対してはインフレ的な政策を求める圧力がかかりやすく、実際、財政支出を補うために通貨の増発が行われ、深刻なインフレを招いた例も少なくない。こうした経験を踏まえて、金融政策が短期的な利害に影響されず。中期的な視点に立って決定されるように、現在では、独立した中央銀行が金融政策を決定することが一般的になっている」(日本銀行の機能と業務)(2011年版)日本銀行金融研究所編)

9.国の借金/GDP比が減少していけば何も問題が起きないのでは?

Twitterに以下の質問がきた。「金利が1%で、インフレ率が例えば3%なら、GDP対比で見ると減少していく。 ハイパーインフレは回避できそうな気がするけど、どうなのだろうか。 およそ25年で物価は2倍に上がるけれども…」

私の回答は以下の通り。「インフレ率が3%になれば、日銀は政策金利は最低3%引き上げなくてはいけません。巨大な損の垂れ流しで債務超過です。日銀が国債を買えなくなったら長期国債は暴騰。支払金利額は暴騰。借金額/GDPの数値は急上昇してしまいます」