1.平時に財政再建をしていなかったことが悔やまれる。
昨日の夜9時からのNHKスペシアルで「コロナ対策で財政赤字が積み上がったが、どうするか?」との問いに対して西村大臣の答えは「これから経済をいかに発展させていくかが大事」と答えになっていなかったと私は思うが、伊藤隆敏教授は、私の従来の主張と同じで「もともと対GDP比200%を超える債務は異常である。平時に財政再建をしていなかったことが悔やまれる」との発言をされた。財政楽観論者やMMT信者のせいで、ここまで財政赤字が積み上がってしまった日本はこれから大変な時期を迎えるだろう。
2、将来は増税時代がやってくる
米国ではCNBCでハーバード大のロゴフ教授が、コロナ対策が積み上がった債務返済のため「今すぐにではないが、かなりの増税は間違いない」と発言していた。日米の報道を見ていても、コロナの医療面の問題が鎮静化してくれば、次は経済の病に世間の注目は向いていくと思う。
3.世界のマーケットは日銀の財務内容を注目し始めるだろう
私が金融マンだった頃と違い、昨今、経済力の衰えた日本は外国人投資家にとって興味の対象外だった。しかしコロナ禍対応で、世界が日銀と同じこと(=国債を買い取って政府にお金を提供する)を大規模に始めたために、日銀が今後、どうなるかを世界が注目し始めたと思う。日銀は財政ファイナンスの規模で世界断トツのトップを走っているからだ。もし日銀が財務超過になり倒産したら、他の中央銀行・政府はすぐに軌道修正をするだろう。それぐらい、他の中央銀行は日銀の後方を走っているからだ。日銀のバランスシートは対GDP比105%なのに米国FRBはコロナ禍でこれだけバランスシートを膨らませても25%に過ぎない。その意味で日銀は炭鉱のカナリアである。日銀の財務内容、そしてその結果、マーケットがどう見ていくかを、世界の市場関係者が注目してみていくことになるだろう。長期金利を日銀が抑えきれなくなった時に日銀は終わりを迎える。
4.起こりうる日銀倒産はコロナ禍のせいではない。平時のバラマキのせい。
コロナ対策に関する借金の積み上がりは、1115兆円と積み上がったこれまでの借金の1割にも満たない。きっと政府・日銀は日銀倒産をコロナのせいにしたいのだろうが、コロナ禍はきっかけに過ぎない。平時のバラマキ、財政規律の無視のせいだ。それをきちんと分析しておかないと、又、財政赤字を積み上げて同じ間違いを将来、起こすことになる。せめてもの不幸中の幸いにするために分析と責任の所在はしっかりしておく必要がある。